宅建試験過去問題 令和4年試験 問35(改題)

問35

次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。なお、書面の交付には、宅地建物取引業者の相手方等の承諾を得て行う電磁的方法による提供を含むものとする。
  1. 宅地建物取引業者の従業者である宅地建物取引士は、取引の関係者から事務所で従業者証明書の提示を求められたときは、この証明書に代えて従業者名簿又は宅地建物取引士証を提示することで足りる。
  2. 宅地建物取引業者Aが所有する甲建物を法人Bに売却するに当たり、Bが宅地建物取引業者であるか否かにかかわらず、AはBに対し、宅地建物取引士をして、法第35条の規定に基づく書面を交付し説明をさせなければならない。
  3. 法人Cが所有する乙建物の個人Dへの賃貸を宅地建物取引業者Eが媒介し、当該賃貸借契約が成立したときは、EはDに対し、宅地建物取引士をして、法第35条の規定に基づく書面を交付し説明をさせなければならない。
  4. 宅地建物取引業者Fが所有する丙宅地を法人Gに売却する契約を締結したとき、Gが宅地建物取引業者であるか否かにかかわらず、FはGに対し、法第37条の規定に基づく書面を交付しなければならない。

正解 4

問題難易度
肢13.5%
肢28.3%
肢326.0%
肢462.2%

解説

  1. 誤り。宅地建物取引業者は全従業者に対し、従業者証明書を携帯させなければならず、従業者は取引関係者からの請求に応じて従業者証明書を提示しなければなりません(宅建業法48条2項)。従業者証明書の提示に代えて取引士証を提示することは認められません。
    従業者は、取引の関係者の請求があつたときは、前項の証明書を提示しなければならない。
    宅地建物取引業者の従業者は、宅地の買受けの申込みをした者から請求があった場合には、その者が宅地建物取引業者であっても、その者に従業者であることを証する証明書を提示する必要がある。R5-37-3
    宅地建物取引業者の従業者は、取引の関係者の請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならないが、宅地建物取引士は、重要事項の説明をするときは、請求がなくても説明の相手方に対し、宅地建物取引士証を提示しなければならない。R1-40-1
    宅地建物取引士は、取引の関係者から請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならないが、法第35条に規定する重要事項の説明をする際は、宅地建物取引士証の提示が義務付けられているため、宅地建物取引士証の提示をもって、従業者証明書の提示に代えることができる。H29-37-4
    宅地建物取引士は、取引の関係者から宅地建物取引士証の提示を求められたときは、宅地建物取引士証を提示しなければならないが、従業者証明書の提示を求められたときは、宅地建物取引業者の代表取締役である宅地建物取引士は、当該証明書がないので提示をしなくてよい。H28-38-イ
    宅地建物取引業者の従業者である宅地建物取引士は、取引の関係者から事務所で従業者証明書の提示を求められたときは、この証明書に代えて従業者名簿又は宅地建物取引士証を提示することで足りる。H21-43-1
    宅地建物取引業者の従業者は、宅地建物取引業者が発行する従業者証明書をその業務に従事する間、常に携帯し、取引の関係者から請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならないが、従業者が宅地建物取引士である場合は、取引士証の提示をもってこれに代えることができる。H19-45-1
    宅地建物取引業者の従業者である宅地建物取引士は、取引の関係者から従業者証明書の提示を求められたときは、この証明書に代えて宅地建物取引士証を提示すればよい。H15-40-2
  2. 誤り。法人Bが宅地建物取引業者であるときは、重要事項説明書の内容の説明をする必要はないので誤りです。
    重要事項説明書の作成と交付は、買主や借主が誰であってもしなければなりませんが、その説明は買主や借主が宅地建物取引業者であるときに限り省略することができます(宅建業法35条6項)。
    宅地の売買について売主となる宅地建物取引業者は、買主が宅地建物取引業者である場合、重要事項説明書を交付しなければならないが、説明を省略することはできる。R5-42-ウ
    宅地建物取引士は、重要事項説明書を交付するに当たり、相手方が宅地建物取引業者である場合、相手方から宅地建物取引士証の提示を求められない限り、宅地建物取引士証を提示する必要はない。R2⑫-38-ウ
    建物の売買においては、その対象となる建物が未完成である場合は、重要事項説明書を交付した上で、宅地建物取引士をして説明させなければならない。H30-35-2
    当該建物を借りようとする者が宅地建物取引業者であるときは、貸借の契約が成立するまでの間に重要事項を記載した書面を交付しなければならないが、その内容を宅地建物取引士に説明させる必要はない。H30-39-1
  3. 誤り。重要事項説明書の説明と交付は、契約が成立するまでの間に行う必要があります。本肢は、重要事項説明書の交付と説明を「契約が成立したとき」、つまり契約後に行うとしているため誤りです。
  4. [正しい]。宅地建物取引業の取引に関与した宅地建物取引業者は、契約の当事者に37条書面を交付する義務を負います(宅建業法37条1項)。37条書面の交付は、買主や借主が宅地建物取引業者であっても省略できないので、FはGに対し、37条書面を交付しなければなりません。
    Aは、37条書面を売買契約成立前に、各当事者に交付しなければならない。R5-43-2
    宅地建物取引業者である売主Aは、宅地建物取引業者であるBの媒介により、宅地建物取引業者ではないCと宅地の売買契約を令和6年4月1日に締結した。AとBが共同で作成した37条書面にBの宅地建物取引士の記名がなされていれば、Aは37条書面にAの宅地建物取引士をして記名をさせる必要はない。R4-32-1
    Aは、自ら売主として宅地建物取引業者ではないBとの間で宅地の売買契約を締結した。この際、当該買主の代理として宅地建物取引業者Cが関与していたことから、37条書面をBに加え、Cにも交付した。R4-44-1
    Aが自ら売主として建物を売却する場合、宅地建物取引業者Bに当該売却の媒介を依頼したときは、Bは宅地建物取引士をして37条書面に記名させなければならず、Aも宅地建物取引士をして37条書面に記名させなければならない。R3⑩-41-ア
    Aが自ら売主として宅地建物取引業者である買主と建物の売買契約を締結した場合、37条書面に宅地建物取引士をして記名させる必要はない。R2⑩-33-3
    宅地建物取引業者が、売主として、宅地建物取引業者との間で宅地の売買契約を締結した場合、法第37条の規定により交付すべき書面を交付しなくてよい。H30-28-イ
    Aは、売主を代理して宅地の売買契約を締結した際、買主にのみ37条書面を交付した。H29-38-1
    宅地建物取引業者Hは、宅地建物取引業者ではない売主Iから中古住宅を購入する契約を締結したが、Iが売主であるためIに37条書面を交付しなかった。H29-40-4
    Aは、自ら売主として、宅地建物取引業者Dの媒介により、宅地建物取引業者Eと宅地の売買契約を締結した。Dが宅地建物取引士をして37条書面に記名させている場合、Aは宅地建物取引士をして当該書面に記名させる必要はない。H28-42-3
    Aは、貸主Fと借主Gの間で締結される建物賃貸借契約について、Fの代理として契約を成立させたときは、FとGに対して37条書面を交付しなければならない。H28-42-4
    Aが自ら貸主として宅地の定期賃貸借契約を締結した場合において、借賃の支払方法についての定めがあるときは、Aは、その内容を37条書面に記載しなければならず、借主が宅地建物取引業者であっても、当該書面を交付しなければならない。H27-38-ウ
    宅地建物取引業者は、37条書面を交付するに当たり、宅地建物取引士をして、その書面に記名の上、その内容を説明させなければならない。H26-40-イ
    A社は、建物の売買に関し、その媒介により契約が成立した場合に、当該売買契約の各当事者のいずれに対しても、37条書面を交付しなければならない。H25-31-イ
    A社は、建物の売買に関し、自ら売主として契約を締結した場合に、その相手方が宅地建物取引業者であれば、37条書面を交付する必要はない。H25-31-エ
    A社は、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主との間で宅地の売買契約を締結した。この際、当該買主の代理として宅地建物取引業者B社が関与していたことから、37条書面を買主に加えてB社へも交付した。H24-31-1
    Aが、宅地建物取引士をして、37条書面に記名させた場合には、37条書面の交付を、宅地建物取引士でないAの代表者や従業員が行ってもよい。H22-37-1
    建物の売買契約において、宅地建物取引業者が売主を代理して買主と契約を締結した場合、当該宅地建物取引業者は、買主にのみ37条書面を交付すれば足りる。H21-35-2
    Aは、宅地建物取引士をして、37条書面を作成させ、かつ当該書面に記名させたが、買主への37条書面の交付は、宅地建物取引士ではないAの従業者に行わせた。H21-36-1
したがって正しい記述は[4]です。