宅建試験過去問題 平成25年試験 問36(改題)

問36

宅地建物取引業者A社が行う業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定に違反しないものはどれか。なお、この問において「37条書面」とは、法第37条の規定により交付すべき書面をいうものとし、書面の交付には、契約の各当事者の承諾を得て行う電磁的方法による提供を含むものとする。
  1. A社は、宅地の売買の媒介に際して、売買契約締結の直前に、当該宅地の一部に私道に関する負担があることに気付いた。既に買主に重要事項説明を行った後だったので、A社は、私道の負担に関する追加の重要事項説明は行なわず、37条書面にその旨記載し、売主及び買主の双方に交付した。
  2. A社は、営業保証金を供託している供託所及びその所在地を説明しないままに、自らが所有する宅地の売買契約が成立したので、買主に対し、その供託所等を37条書面に記載の上、説明した。
  3. A社は、媒介により建物の貸借の契約を成立させ、37条書面を借主に交付するに当たり、37条書面に記名をした宅地建物取引士が不在であったことから、宅地建物取引士ではない従業員に37条書面を交付させた。
  4. A社は、宅地建物取引業者間での宅地の売買の媒介に際し、当該売買契約に当該宅地が種類若しくは品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関する特約はあったが、宅地建物取引業者間の取引であったため、当該特約の内容について37条書面への記載を省略した。

正解 3

問題難易度
肢13.6%
肢25.8%
肢382.2%
肢48.4%

解説

  1. 違反する。私道負担があると土地の利用者や建物の所有者(借地権者等)が、希望通りに土地を利用できない場合があります。一方、建物の貸借では直接的に制限を受けるわけではないので、私道負担に関する事項は、建物の貸借以外の取引で重要事項説明の対象となっています(宅建業法35条1項3号)。よって、37条書面にその旨を記載するのみでは足りません。
    当該契約が建物の貸借の契約以外のものであるときは、私道に関する負担に関する事項
  2. 違反する。供託所に関する説明は、契約成立後ではなく、契約締結前にしなくてはなりません。
    宅地建物取引業者は、契約が成立するまでに、営業保証金を供託しているときは供託所の名称と所在地、保証協会の社員であるときはその旨と保証協会及び供託所の名称・所在地について相手方(宅地建物取引業者を除く)説明しなくてはなりません(宅建業法35条の2)。なお、供託所等の説明は重要事項説明とは別なので、宅地建物取引士が説明しなくても書面の交付がなくても(口頭でも)問題ありません。
    宅地建物取引業者は、宅地建物取引業者の相手方等(宅地建物取引業者に該当する者を除く。)に対して、当該売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、当該宅地建物取引業者が第六十四条の二第一項の規定により指定を受けた一般社団法人の社員でないときは第一号に掲げる事項について、当該宅地建物取引業者が同項の規定により指定を受けた一般社団法人の社員であるときは、第六十四条の八第一項の規定により国土交通大臣の指定する弁済業務開始日前においては第一号及び第二号に掲げる事項について、当該弁済業務開始日以後においては第二号に掲げる事項について説明をするようにしなければならない。
  3. [違反しない]。宅地建物取引士の独占業務とされているのは37条書面への記名です。37条書面の「交付」は、宅地建物取引士でなくても行うことができます(宅建業法37条3項)。
    宅地建物取引業者は、前二項の規定により交付すべき書面を作成したときは、宅地建物取引士をして、当該書面に記名させなければならない。
  4. 違反する。契約不適合を担保すべき責任について定めがある場合には、37条書面に記載しなければなりません(宅建業法37条1項11号)。これは、相手方が宅地建物取引業者である場合でも省略できません。
    当該宅地若しくは建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置についての定めがあるときは、その内容
したがって正しい記述は[3]です。