宅建試験過去問題 令和3年12月試験 問40(改題)

問40

宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)についての宅地建物取引業者Aの義務に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、書面の交付には、契約の各当事者の承諾を得て行う電磁的方法による提供を含むものとする。
  1. Aは、自ら売主として、宅地建物取引業者Bの媒介により、Cと宅地の売買契約を締結した。Bが宅地建物取引士をして37条書面に記名させている場合、Aは宅地建物取引士をして当該書面に記名させる必要はない。
  2. Aは、Dを売主としEを買主とする宅地の売買契約を媒介した。当該売買契約に、当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合においてその不適合を担保すべき責任に関する特約があるときは、Aは、当該特約について記載した37条書面をD及びEに交付しなければならない。
  3. Aは、自ら買主として、Fと宅地の売買契約を締結した。この場合、Fに対して37条書面を交付する必要はない。
  4. Aは、自ら貸主として、Gと事業用建物の定期賃貸借契約を締結した。この場合において、借賃の支払方法についての定めがあるときは、Aはその内容を37条書面に記載しなければならず、Gに対して当該書面を交付しなければならない。

正解 2

問題難易度
肢17.4%
肢266.0%
肢310.6%
肢416.0%

解説

  1. 誤り。37条書面の交付義務がある宅地建物取引業者は、下表のとおり自ら貸借以外、すなわち売主業者・代理業者・媒介業者となる宅地建物取引業者です。よって、売主業者A及び媒介業者Bはともに37条書面の交付義務者となります。取引実務においては作成と交付は一方の業者が行いますが、もう一方の業者にも交付義務がある以上、交付した事実を証するため全ての業者が宅地建物取引士をして記名させる必要があります。この場合、Aの宅建士とBの宅建士が連名で37条書面に記名することになります。
  2. [正しい]。契約不適合責任に関する定めは37条書面の記載事項です(宅建業法37条1項11号)。37条書面は契約書面ですから、買主・売主の双方の交付します。よって、本肢は適切です。
    Aは、自ら売主となる宅地の売買契約において目的物が契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関する特約を定めたが、買主が宅地建物取引業者であり、契約不適合を担保する責任に関する特約を自由に定めることができるため、37条書面にその内容を記載しなかった。H29-38-4
    Aが売主を代理して中古マンションの売買契約を締結した場合において、当該建物が種類若しくは品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置についての定めがあるときは、Aは、その内容を37条書面に記載しなければならず、当該書面を、売主及び買主に交付しなければならない。H27-38-ア
    宅地建物取引業者は、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主との間で新築分譲住宅の売買契約を締結した場合において、その住宅が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置について定めがあるときは、当該措置についても37条書面に記載しなければならない。H26-40-ア
    A社は、宅地建物取引業者間での宅地の売買の媒介に際し、当該売買契約に当該宅地が種類若しくは品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関する特約はあったが、宅地建物取引業者間の取引であったため、当該特約の内容について37条書面への記載を省略した。H25-36-4
  3. 誤り。自ら貸借以外で取引に関与した宅地建物取引業者には37条書面の交付義務があります。このため、宅地建物取引業者が買主となる場合も、相手方となる売主に対して37条書面を交付しなければなりません。ちなみに、重要事項説明書(35条書面)は買主に対して交付するものですから、買主である宅地建物取引業者に交付義務はありません。
  4. 誤り。自ら貸借する取引は宅地建物取引業に該当しないため、自ら貸主となる宅地建物取引業者には37条書面の交付義務はありません。また、借賃の支払方法は必ず記載しなければならない事項です(宅建業法37条2項2号)。この2点で本肢は誤っています。
    既存住宅の貸借の媒介を行う宅地建物取引業者は、宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面に建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項を記載しなければならない。R5-27-4
    宅地建物取引業者は、その媒介により建物の貸借の契約を成立させた場合において、借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額や当該金銭の授受の時期だけでなく、当該金銭の授受の目的についても37条書面に記載し、当該契約の各当事者に交付しなければならない。R3⑫-26-3
    借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的R3⑫-42-ア
    契約の解除に関する定めがあるときは、その内容R3⑫-42-ウ
    天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容R3⑫-42-エ
    Aが媒介により建物の貸借の契約を成立させたときは、37条書面に借賃の額並びにその支払の時期及び方法を記載しなければならず、また、当該書面を契約の各当事者に交付しなければならない。R2⑩-33-1
    Aが媒介により宅地の貸借の契約を成立させた場合において、当該宅地の引渡しの時期について重要事項説明書に記載して説明を行ったときは、その内容を37条書面に記載する必要はない。R2⑩-33-2
    借賃の支払方法が定められていても、貸主及び借主の承諾を得たときは、37条書面に記載しなくてよい。H28-39-3
    宅地建物取引業者でない買主Bが、法第37条の2の規定に基づくクーリング・オフについてAより書面で告げられた日から7日目にクーリング・オフによる契約の解除の書面を発送し、9日目にAに到着した場合は、クーリング・オフによる契約の解除をすることができない。H27-39-1
    借賃の額並びにその支払の時期及び方法H25-35-ウ
    借賃以外の金銭の授受の方法H25-35-e
    宅地建物取引業者は、その媒介により建物の貸借の契約が成立した場合、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときには、その内容を37条書面に記載しなければならない。H23-34-3
    当該建物が種類若しくは品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任についての定めがあるときは、その内容H18-37-ア
    居住用建物の賃貸借契約において、貸主には代理の宅地建物取引業者Aが、借主には媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者Bがおり、Bが契約書面を作成したときは、借主及びAに契約書面を交付すればよい。H17-40-3
    貸主である宅地建物取引業者Cが、宅地建物取引業者Dの媒介により借主と事業用建物の賃貸借契約を締結するに当たって、Dが作成・交付した契約書面に法第37条違反があった。この場合、Dのみが監督処分及び罰則の対象となる。H17-40-4
    建物の賃貸借契約において、宅地建物取引業者(管理業務受託)が貸主代理として借主と契約締結した場合、法第37条に規定する契約が成立したときに交付すべき書面は、借主にのみ交付すれば足りる。H15-37-2
したがって正しい記述は[2]です。