宅建試験過去問題 令和7年試験 問29

問29

宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  1. Aが媒介により事業用宅地の賃貸借契約を成立させた場合、37条書面を交付しなければならないが、契約の当事者Bが宅地建物取引業者であるときは、交付する必要はない。
  2. Aが自ら売主としてCと既存の建物の売買契約を締結した場合、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項を37条書面に記載しなければならない。
  3. AがDを売主としEを買主とする宅地の売買契約を媒介した場合、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがないときは、定めがない旨を37条書面に記載しなければならない。
  4. Aが自ら売主としてFと建物の売買契約を締結した場合、代金についての金銭の貸借のあっせんに関する定めがある場合における当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置については、37条書面に記載する必要はない。

正解 2

問題難易度
肢15.2%
肢259.0%
肢325.2%
肢410.6%

解説

  1. 誤り。37条書面に関しては、契約当事者が宅地建物取引業者であっても省略できることはありません。よって、媒介をしたAは、Bが宅地建物取引業者であっても37条書面を交付する必要があります。
  2. [正しい]。既存建物であるときは、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項について記載しなければなりません(宅建業法37条1項2号の2)。当事者の双方が確認した事項がない場合は「無」と記載します(解釈運用-当事者の双方が確認した事項について)。
    当該建物が既存の建物であるときは、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項
    「当事者の双方が確認した事項」は、原則として、建物状況調査等、既存住宅について専門的な第三者による調査が行われ、その調査結果の概要を重要事項として宅地建物取引業者が説明した上で契約締結に至った場合の当該「調査結果の概要」とし、これを本条の規定に基づき交付すべき書面に記載することとする。これ以外の場合については、「当事者の双方が確認した事項」は「無」として書面に記載することとする。
    建物の構造耐力上主要な部分又は雨水の侵入を防止する部分として国土交通省令で定めるものの状況R6-40-エ
    宅地建物取引業者は、その媒介により建物の貸借の契約を成立させた場合において、当該建物が既存の建物であるときは、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項を37条書面に記載し、当該契約の各当事者に交付しなければならない。R3⑫-26-2
    既存の建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項がない場合、確認した事項がない旨を37条書面に記載しなければならない。R2⑫-37-1
    宅地建物取引業者が既存住宅の売買の媒介を行う場合、37条書面に当該建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項を記載しなければならない。R1-34-2
    建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者双方が確認した事項H30-34-エ
  3. 誤り。天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容が37条書面の記載事項となります(宅建業法37条2項1号)。任意的記載事項のため、定めがない場合は不要です。「無」と記載する義務もありません。
    敷金や共益費など借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的R6-40-イ
    損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは、その内容R6-40-ウ
    Aは、貸主Bと借主Cとの間で締結された建物の賃貸借契約を媒介したときに、借賃の額、支払時期及び支払方法について定められていたが、BとCの承諾を得たので、37条書面に記載しなかった。R6-44-2
    既存住宅の貸借の媒介を行う宅地建物取引業者は、宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面に建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項を記載しなければならない。R5-27-4
    宅地建物取引業者は、その媒介により建物の貸借の契約を成立させた場合において、借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額や当該金銭の授受の時期だけでなく、当該金銭の授受の目的についても37条書面に記載し、当該契約の各当事者に交付しなければならない。R3⑫-26-3
    Aは、自ら貸主として、Gと事業用建物の定期賃貸借契約を締結した。この場合において、借賃の支払方法についての定めがあるときは、Aはその内容を37条書面に記載しなければならず、Gに対して当該書面を交付しなければならない。R3⑫-40-4
    借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的R3⑫-42-ア
    契約の解除に関する定めがあるときは、その内容R3⑫-42-ウ
    天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容R3⑫-42-エ
    Aが媒介により建物の貸借の契約を成立させたときは、37条書面に借賃の額並びにその支払の時期及び方法を記載しなければならず、また、当該書面を契約の各当事者に交付しなければならない。R2⑩-33-1
    Aが媒介により宅地の貸借の契約を成立させた場合において、当該宅地の引渡しの時期について重要事項説明書に記載して説明を行ったときは、その内容を37条書面に記載する必要はない。R2⑩-33-2
    借賃の支払方法が定められていても、貸主及び借主の承諾を得たときは、37条書面に記載しなくてよい。H28-39-3
    宅地建物取引業者でない買主Bが、法第37条の2の規定に基づくクーリング・オフについてAより書面で告げられた日から7日目にクーリング・オフによる契約の解除の書面を発送し、9日目にAに到着した場合は、クーリング・オフによる契約の解除をすることができない。H27-39-1
    借賃の額並びにその支払の時期及び方法H25-35-ウ
    借賃以外の金銭の授受の方法H25-35-e
    宅地建物取引業者は、その媒介により建物の貸借の契約が成立した場合、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときには、その内容を37条書面に記載しなければならない。H23-34-3
    当該建物が種類若しくは品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任についての定めがあるときは、その内容H18-37-ア
    居住用建物の賃貸借契約において、貸主には代理の宅地建物取引業者Aが、借主には媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者Bがおり、Bが契約書面を作成したときは、借主及びAに契約書面を交付すればよい。H17-40-3
    貸主である宅地建物取引業者Cが、宅地建物取引業者Dの媒介により借主と事業用建物の賃貸借契約を締結するに当たって、Dが作成・交付した契約書面に法第37条違反があった。この場合、Dのみが監督処分及び罰則の対象となる。H17-40-4
    建物の賃貸借契約において、宅地建物取引業者(管理業務受託)が貸主代理として借主と契約締結した場合、法第37条に規定する契約が成立したときに交付すべき書面は、借主にのみ交付すれば足りる。H15-37-2
  4. 誤り。"あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置"とは、宅地建物取引業者が紹介したローンが不成立だった際の措置です。この措置は、"代金についての金銭の貸借のあっせんに関する定め"がある場合に限り、37条書面の記載事項となります(宅建業法37条1項9号)。
    宅地建物取引業者がローンをあっせんする場合は、35条書面にその内容と不成立のときの措置を記載し、さらに不成立だったときの措置については37条書面にも記載するという関係になっています。
    代金又は交換差金についての金銭の貸借のあっせんに関する定めがない場合、定めがない旨を37条書面に記載しなければならない。R2⑫-37-2
    Aが自ら売主として宅地の売買契約を締結した場合、代金についての金銭の貸借のあっせんに関する定めがある場合における当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置については、37条書面に記載する必要はない。R2⑩-33-4
したがって正しい記述は[2]です。
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