業務上の規制(全77問中15問目)

No.15

宅地建物取引業者がその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
  1. 建物の売却について代理を依頼されて広告を行う場合、取引態様として、代理であることを明示しなければならないが、その後、当該物件の購入の注文を受けたときは、広告を行った時点と取引態様に変更がない場合を除き、遅滞なく、その注文者に対し取引態様を明らかにしなければならない。
  2. 広告をするに当たり、実際のものよりも著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示をしてはならないが、誤認させる方法には限定がなく、宅地又は建物に係る現在又は将来の利用の制限の一部を表示しないことにより誤認させることも禁止されている。
  3. 複数の区画がある宅地の売買について、数回に分けて広告をする場合は、広告の都度取引態様の別を明示しなければならない。
  4. 宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に必要な都市計画法に基づく開発許可、建築基準法に基づく建築確認その他法令に基づく許可等の申請をした後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。
令和2年10月試験 問27
  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ

正解 2

問題難易度
肢13.2%
肢252.7%
肢333.1%
肢411.0%

解説

  1. 誤り。取引態様の別(売主、貸主、代理、媒介(仲介))は広告をするときに明示するとともに、注文を受けたときは注文者に対して遅滞なく明らかにしなければなりません(宅建業法34条2項)。広告時と取引態様が変わっていなければ省略できるという例外はありません。本肢は「広告を行った時点と取引態様に変更がない場合を除き」と例外的にしなくても良い場合があるという旨の記述ですので誤りです。
    宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する注文を受けたときは、遅滞なく、その注文をした者に対し、取引態様の別を明らかにしなければならない。
  2. 正しい。虚偽表示、おとり広告、優良誤認表示等の誇大広告は宅建業法により禁止されています(宅建業法32条)。誤認させる方法には限定がなく、一般消費者が誤認し得る程度であれば禁止されます(解釈運用-第32条関係)。条文に「利用の制限」という文言が含まれているように、取引物件にかかわる現在又は将来の制限の一部を表示しないことにより、一般消費者に有利であると誤認させることも誇大広告として禁止されます。
    宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあつせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。
    「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示」と認められるものとは、上記2の各項目について、宅地建物についての専門的知識や物件に関する実際の情報を有していない一般購入者等を誤認させる程度のものをいうこととする。
  3. 正しい。広告の都度、取引態様の別を明示する必要があります。片方の広告しか見ない人もいるので当然ですよね。取引態様の明示に関しては例外なしと覚えておきましょう(宅建業法34条1項)。
    宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する広告をするときは、自己が契約の当事者となつて当該売買若しくは交換を成立させるか、代理人として当該売買、交換若しくは貸借を成立させるか、又は媒介して当該売買、交換若しくは貸借を成立させるかの別(次項において「取引態様の別」という。)を明示しなければならない。
  4. 誤り。開発許可や建築確認の申請段階では広告をすることができず、許可等を受けた後から広告が可能となります(宅建業法33条)。たとえ許可や確認を受けられる見込みであってもダメです。
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     宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第二十九条第一項又は第二項の許可、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第六条第一項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあつた後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。
したがって正しいものは「二つ」です。