宅建試験過去問題 令和3年10月試験 問43
問43
宅地建物取引業者の業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはいくつあるか。- マンションの販売に際して、買主が手付として必要な額を持ち合わせていなかったため、手付を分割受領することにより、契約の締結を誘引した。
- 宅地の売買に際して、相手方が「契約の締結をするかどうか明日まで考えさせてほしい」と申し出たのに対し、事実を歪めて「明日では契約締結できなくなるので、今日しか待てない」と告げた。
- マンション販売の勧誘を電話で行った際に、勧誘に先立って電話口で宅地建物取引業者の商号又は名称を名乗らずに勧誘を行った。
- 建物の貸借の媒介に際して、賃貸借契約の申込みをした者がその撤回を申し出たが、物件案内等に経費がかかったため、預り金を返還しなかった。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- 四つ
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正解 4
問題難易度
肢12.2%
肢23.6%
肢315.2%
肢479.0%
肢23.6%
肢315.2%
肢479.0%
分野
科目:5 - 宅地建物取引業法等細目:5 - 業務上の規制
解説
- 違反する。手付の分割払いは、信用を供与して契約締結を誘引する行為に該当するため、宅建業法違反となります(解釈運用-第47条3号関係)。
宅地建物取引業者が、手付の貸付け・立替え・猶予・分割払いなどの手段を用いて、契約締結を誘引する行為は禁止されています(宅建業法47条3号)。契約時点での経済的負担がないという安心感や希薄な責任意識に乗じて、契約を誘い込んだり契約を拒否しがたい状況にしたりして、取引を行うのは不当であるからです。手付の分割受領も本号にいう「信用の供与」に該当する。
宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
…
三 手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為Aは、売主としてマンションの売買契約を締結するに際して、買主が手付として必要な額を今すぐには用意できないと申し出たので、手付金の分割払いを買主に提案した。(R5-36-イ)宅地建物取引業者は、建物の売買に際し、買主に対して売買代金の貸借のあっせんをすることにより、契約の締結を誘引してはならない。(R2⑫-26-1)宅地建物取引業者は、契約の相手方に対して資金不足を理由に手付の貸付けを行ったが、契約締結後償還された場合は法に違反しない。(R2⑫-40-2)Aは、自ら売主として、建物の売買契約を締結するに際し、買主が手付金を持ち合わせていなかったため手付金の分割払いを提案し、買主はこれに応じた。(H30-40-ア)宅地建物取引業者が、自ら売主として、宅地及び建物の売買の契約を締結するに際し、手付金について、当初提示した金額を減額することにより、買主に対し売買契約の締結を誘引し、その契約を締結させることは、法に違反しない。(H29-34-1)Aは、建物の売買の媒介に際し、買主に対して手付の貸付けを行う旨を告げて契約の締結を勧誘したが、売買は成立しなかった。(H28-29-イ)Aが、宅地の売買契約締結の勧誘に当たり、相手方が手付金の手持ちがないため契約締結を迷っていることを知り、手付金の分割払いを持ちかけたことは、契約締結に至らなかったとしても法に違反する。(H28-34-4)A:購入を検討している。貯金が少なく、手付金の負担が重いのだが。B:弊社との提携している銀行の担当者から、手付金も融資の対象になっていると聞いております。ご検討ください。(H27-41-ウ)Aは、買主Bとの間で建物の売買契約を締結する当日、Bが手付金を一部しか用意できなかったため、やむを得ず、残りの手付金を複数回に分けてBから受領することとし、契約の締結を誘引した。(H26-43-1)A社は、本件手付金の一部について、Bに貸付けを行い、本件売買契約の締結を誘引した。(H24-34-ウ)A社は、建物の販売に際して、買主が手付として必要な額を持ち合わせていなかったため、手付を貸し付けることにより、契約の締結を誘引した。(H23-41-ア)Aは、建物の売買の媒介に関し、買主に対して手付の貸付けを行う旨を告げて契約の締結を勧誘したが、売買契約は成立しなかった。(H21-40-1)Aは、自ら売主として、宅地の売却を行うに際し、買主が手付金100万円を用意していなかったため、後日支払うことを約して、手付金を100万円とする売買契約を締結した。(H20-38-4)建物の販売に際して、手付について貸付けをすることにより売買契約の締結の誘引を行ったが、契約の成立には至らなかった。(H18-40-3)Aは、Bとの間で3,000万円の宅地の売買契約を締結したが、契約当日、Bが手付金を一部しか用意できなかったため、残りの手付金をAが貸し付け、契約の締結を誘引した。(H15-38-3)買主Bも宅地建物取引業者であるので、AがBに対し手付金を貸し付けて契約の締結を誘引してもさしつかえない。(H13-42-2)Aは、建物の売買の媒介をするに当たり、買主が手付金を支払えなかったので、手付金に関し銀行との間の金銭の貸借のあっせんをして、当該建物の売買契約を締結させた。(H12-35-4)Aは、Bの要求があった場合は、契約の締結を誘引するためBの手付金の支払いについて分割払とすることができる。(H12-40-3) - 違反する。宅地建物取引業者が契約の勧誘をするのに際し、正当な理由なく、当該契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒む行為は禁止されています(宅建業法規則16条の12第1号ロ)。本肢は事実を歪めて考える時間を与えることを拒んでいるため、宅建業法違反となります。
正当な理由なく、当該契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒むこと。
- 違反する。宅地建物取引業者が契約の勧誘をする際には、勧誘に先立って、①宅地建物取引業者の商号または名称、②勧誘者の氏名、③勧誘の目的を相手方に告げなければなりません(宅建業法規則16条の12第1号ハ)。本肢は、宅地建物取引業者の商号又は名称を名乗っていないので、宅建業法違反となります。
当該勧誘に先立つて宅地建物取引業者の商号又は名称及び当該勧誘を行う者の氏名並びに当該契約の締結について勧誘をする目的である旨を告げずに、勧誘を行うこと。
- 違反する。相手方が契約締結や買受けの申込みを撤回した際に、既に受領した預り金の返還を拒む行為は禁止されています(宅建業法規則16条の12第2号)。物件案内等でコストがかかっている場合でも、預り金の返還を拒むことはできません。
宅地建物取引業者の相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒むこと。
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