8種制限(全72問中38問目)

No.38

宅地建物取引業者A社が、自ら売主として行う宅地(代金3,000万円)の売買に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはどれか。
平成23年試験 問39
  1. A社は、宅地建物取引業者である買主B社との間で売買契約を締結したが、B社は支払期日までに代金を支払うことができなかった。A社は、B社の債務不履行を理由とする契約解除を行い、契約書の違約金の定めに基づき、B社から1,000万円の違約金を受け取った。
  2. A社は、宅地建物取引業者でない買主Cとの間で、割賦販売の契約をしたが、Cが賦払金の支払を遅延した。A社は20日の期間を定めて書面にて支払を催告したが、Cがその期間内に賦払金を支払わなかったため、契約を解除した。
  3. A社は、宅地建物取引業者でない買主Dとの間で、割賦販売の契約を締結し、引渡しを終えたが、Dは300万円しか支払わなかったため、宅地の所有権の登記をA社名義のままにしておいた。
  4. A社は、宅地建物取引業者である買主E社との間で、売買契約を締結したが、当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任について、「契約不適合による契約解除又は損害賠償の請求は、契約対象物件である宅地の引渡しの日から1年を経過したときはできない」とする旨の特約を定めていた。

正解 2

問題難易度
肢110.6%
肢258.2%
肢311.3%
肢419.9%

解説

  1. 違反しない。宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約において、債務不履行を理由とする損害賠償額の予定または違約金の定めをする場合は、これらの合算額が売買代金の2割を超えてはいけません(宅建業法38条)。
    A社が契約書に定めた違約金1,000万円は売買代金の2割を超えていますが、この規定は宅地建物取引業者間の取引には適用されないため、宅地建物取引業者である買主B社との間でした場合は宅建業法に違反しません(宅建業法78条2項)。
    第三十三条の二及び第三十七条の二から第四十三条までの規定は、宅地建物取引業者相互間の取引については、適用しない。
  2. [違反する]。自ら売主となり割賦販売を行った宅地建物取引業者は、割賦販売契約において賦払金の支払の義務が履行されない場合は、30日以上の期間を定めて書面で支払いを催告しなければなりません。この期間内に債務が履行されない場合は、契約を解除することができます(宅建業法42条)。本肢では「20日」としていますが、これでは足りません。
    宅地建物取引業者は、みずから売主となる宅地又は建物の割賦販売の契約について賦払金の支払の義務が履行されない場合においては、三十日以上の相当の期間を定めてその支払を書面で催告し、その期間内にその義務が履行されないときでなければ、賦払金の支払の遅滞を理由として、契約を解除し、又は支払時期の到来していない賦払金の支払を請求することができない。
  3. 違反しない。自ら売主となり割賦販売を行った宅地建物取引業者は、原則として、その物件の引渡しまでに登記の移転をしなければなりません。ただし、受け取った代金が3割以下であるときには、3割を超える代金支払いを受けるまで登記の移転をしなくても問題ありません(宅建業法43条1項)。
    宅地建物取引業者は、みずから売主として宅地又は建物の割賦販売を行なつた場合には、当該割賦販売に係る宅地又は建物を買主に引き渡すまで(当該宅地又は建物を引き渡すまでに代金の額の十分の三をこえる額の金銭の支払を受けていない場合にあつては、代金の額の十分の三をこえる額の金銭の支払を受けるまで)に、登記その他引渡し以外の売主の義務を履行しなければならない。ただし、買主が、当該宅地又は建物につき所有権の登記をした後の代金債務について、これを担保するための抵当権若しくは不動産売買の先取特権の登記を申請し、又はこれを保証する保証人を立てる見込みがないときは、この限りでない。
  4. 違反しない。宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約では、目的物の契約不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間について、引渡しから2年以上となる特約を除き、民法の規定(買主が知った時から1年以内に通知)よりも買主に不利な特約とすることができません(宅建業法40条)。
    しかし、この規定は宅地建物取引業者間の取引には適用されないため、宅地建物取引業者である買主E社との間でした本特約は宅建業法に違反しません(宅建業法78条2項)。
したがって正しい記述は[2]です。