宅建試験過去問題 平成28年試験 問28(改題)

問28

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間でマンション(代金4,000万円)の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定に違反するものの組合せはどれか。
  1. Aは、建築工事完了前のマンションの売買契約を締結する際に、Bから手付金200万円を受領し、さらに建築工事中に200万円を中間金として受領した後、当該手付金と中間金について法第41条に定める保全措置を講じた。
  2. Aは、建築工事完了後のマンションの売買契約を締結する際に、法第41条の2に定める保全措置を講じることなくBから手付金400万円を受領した。
  3. Aは、建築工事完了前のマンションの売買契約を締結する際に、Bから手付金500万円を受領したが、Bに当該手付金500万円を現実に提供して、契約を一方的に解除した。
  4. Aは、建築工事完了後のマンションの売買契約を締結する際に、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を1,000万円とする特約を定めた。
  1. ア、ウ
  2. イ、ウ
  3. ア、イ、エ
  4. ア、ウ、エ

正解 4

問題難易度
肢16.2%
肢29.3%
肢37.5%
肢477.0%

解説

  1. 違反する。建築工事完了前の建物の場合、受け取る手付金等(中間金含む)の額が売買代金の5%超、または1,000万円超ならば保全措置を講じなければなりません。また保全措置を講じた後でなければ手付金を受領してはいけません(宅建業法41条1項)。
    本肢では「受領した後、…保全措置を講じた」とあるので違反行為になります。
    宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建築に関する工事の完了前において行う当該工事に係る宅地又は建物の売買で自ら売主となるものに関しては、次の各号のいずれかに掲げる措置を講じた後でなければ、買主から手付金等を受領してはならない。ただし、当該宅地若しくは建物について買主への所有権移転の登記がされたとき、買主が所有権の登記をしたとき、又は当該宅地建物取引業者が受領しようとする手付金等の額が代金の額の百分の五以下であり、かつ、宅地建物取引業者の取引の実情及びその取引の相手方の利益の保護を考慮して政令で定める額以下であるときは、この限りでない。
  2. 違反しない。建築工事完了後の建物の場合、受け取る手付金等(中間金含む)の額が売買代金の10%超、または1,000万円超ならば保全措置を講じなければなりません。
    本肢の手付金400万円は、売買代金の10%ですので保全措置は不要となります(宅建業法41条の2第1項)。
    宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買(前条第一項に規定する売買を除く。)に関しては、同項第一号若しくは第二号に掲げる措置を講じた後又は次の各号に掲げる措置をいずれも講じた後でなければ、買主から手付金等を受領してはならない。ただし、当該宅地若しくは建物について買主への所有権移転の登記がされたとき、買主が所有権の登記をしたとき、又は当該宅地建物取引業者が受領しようとする手付金等の額が代金の額の十分の一以下であり、かつ、宅地建物取引業者の取引の実情及びその取引の相手方の利益の保護を考慮して政令で定める額以下であるときは、この限りでない。
  3. 違反する。買主はその手付を放棄して、売主である当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができます(宅建業法39条2項)。よって、AはBに手付金の倍額である1,000万円を提供しなければいけません。
    宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであつても、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
  4. 違反する。損害賠償額の予定や違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の2割を超えてはいけません(宅建業法38条1項)。よって、本肢の1,000万円は、4,000万円の2割である800万円を超えているので宅建業法に違反します。
    宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の十分の二をこえることとなる定めをしてはならない。
したがって違反する行為の組合せは「ア、ウ、エ」です。