宅建試験過去問題 平成22年試験 問40(改題)

問40

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で宅地(代金2,000万円)の売買契約を締結した場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. Aは、当該宅地の契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、Bがその不適合をAに通知すべき期間を当該宅地の引渡しの日から3年とする特約をすることができる。
  2. Aは、当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を300万円とし、かつ、違約金を300万円とする特約をすることができる。
  3. Aは、Bの承諾がある場合においても、「Aが契約の履行に着手した後であっても、Bは手付を放棄して、当該売買契約を解除することができる」旨の特約をすることができない。
  4. 当該宅地が、Aの所有に属しない場合、Aは、当該宅地を取得する契約を締結し、その効力が発生している場合においても、当該宅地の引渡しを受けるまでは、Bとの間で売買契約を締結することができない。

正解 1

問題難易度
肢179.6%
肢24.3%
肢38.6%
肢47.5%

解説

  1. [正しい]。宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約では、宅地建物取引業者が売買目的物の契約不適合を担保すべき責任に関し、買主が売主に通知すべき期間について、引渡しから2年以上とする場合を除き、民法の規定よりも買主に不利な特約は無効となります(宅建業法40条)。
    2年以上であればいいのですから、通知期間を3年間とする特約は可能です。
    宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
  2. 誤り。宅地建物取引業者が自ら売主となる場合、損害賠償予定額と違約金の合計額が売買代金の2割を超えてはいけません。
    本肢のケースは合計600万であり、売買代金の2割(2,000万円×20%=400万円)を超えているため、そのような特約をすることはできません(宅建業法38条)。
    宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の十分の二をこえることとなる定めをしてはならない。
  3. 誤り。宅地建物取引業者が自ら売主となる場合、宅建業法で定める手付解除の規定よりも買主に不利な特約は無効となります(宅建業法39条2項・3項)。
    しかし、本肢の特約は、買主Bが手付解除できる期間を伸長するものであり、買主に有利なので有効に定めることができます。
    2 宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであつても、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
    3 前項の規定に反する特約で、買主に不利なものは、無効とする。
  4. 誤り。宅地建物取引業者は、原則として、自己の所有に属しない不動産について売買契約を締結してはいけません(宅建業法33条の2第1項)。ただし、以下の場合には他人物売買が認められています。
    1. 当該不動産を取得することについて売買契約(予約を含む)が成立をしている場合など、その宅地や建物を取得できることが明らかなとき
    2. 自ら売主となる未完成物件の売買契約で、保全措置が講じられているとき
    3. 宅地建物取引業者間の取引であるとき
    よって、宅地の所有権を有していなくても、取得契約を締結し、かつ、その効力が発生している場合であれば、引渡しを受ける前であっても売買締結をすることが可能です。
    宅地建物取引業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主となる売買契約(予約を含む。)を締結してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
したがって正しい記述は[1]です。