宅建試験過去問題 平成24年試験 問39(改題)

問39

宅地建物取引業者A社が、自ら売主として建物の売買契約を締結する際の特約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはどれか。
  1. 当該建物が新築戸建住宅である場合、宅地建物取引業者でない買主Bの売買を代理する宅地建物取引業者C社との間で当該契約締結を行うに際して、A社が当該住宅の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、Bがその不適合をA社に通知すべき期間についての特約を定めないこと。
  2. 当該建物が中古建物である場合、宅地建物取引業者である買主Dとの間で、「中古建物であるため、A社は、当該建物が契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負わない」旨の特約を定めること。
  3. 当該建物が中古建物である場合、宅地建物取引業者でない買主Eとの間で、「A社の担保責任を追及するためにEがA社に通知すべき期間を、売買契約締結の日にかかわらず引渡しの日から2年間とする」旨の特約を定めること。
  4. 当該建物が新築戸建住宅である場合、宅地建物取引業者でない買主Fとの間で、「Fは、A社が担保責任を負う期間内であれば、損害賠償の請求をすることはできるが、契約の解除をすることはできない」旨の特約を定めること。

正解 4

問題難易度
肢16.5%
肢212.9%
肢312.5%
肢468.1%

解説

  1. 違反しない。契約不適合を担保すべき責任についての特約を定めなかった場合は、民法の規定が適用され、契約不適合を知った時から1年以内に通知でOKとなります(宅建業法40条1項)。よって、担保責任の通知期間を定めなかったとしても宅建業法の規定には違反しません。
    宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
  2. 違反しない。宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約において、契約不適合を担保すべき責任を負わない旨の特約を定めることは、民法の規定より買主に不利となるので禁止されています(宅建業法40条)。しかし、この規定は宅地建物取引業者間の取引には適用されません(宅建業法78条2項)。本肢では、売主・買主の双方が宅地建物取引業者ですので違反行為には該当しません。
    第三十三条の二及び第三十七条の二から第四十三条までの規定は、宅地建物取引業者相互間の取引については、適用しない。
  3. 違反しない。宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約では、契約不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間を、その目的物の引渡しの日から2年以上とする特約は認められています(宅建業法40条)。「2年以上」には本肢のようにちょうど2年も含まれるので、宅建業法の規定に違反しません。
  4. [違反する]。民法では、契約不適合(→契約について債務不履行)があった場合に、当事者の一方が相手方に対して損害賠償請求または契約解除ができる権利を定めています(民法415条1項民法541条)。また、契約解除をしても損害賠償請求できますし、その逆もしかりです(民法545条4項)。契約の解除をすることはできない旨の特約は、民法の規定より買主に不利な特約なので宅建業法違反となります(宅建業法40条)。
    債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
    当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
    解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。
したがって正しい記述は[4]です。