宅建試験過去問題 平成19年試験 問41(改題)
問41
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBと建物の売買契約を締結しようとし、又は締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
- Aは、自己の所有に属しない建物を売買する場合、Aが当該建物を取得する契約を締結している場合であっても、その契約が停止条件付きであるときは、当該建物の売買契約を締結してはならない。
- 売買契約の締結に際し、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める場合において、これらを合算した額が売買代金の2割を超える特約をしたときは、その特約はすべて無効となる。
- 「建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合、その不適合がAの責に帰すことのできるものでないときは、Aは担保責任を負わない」とする特約は有効である。
- Bがホテルのロビーで買受けの申込みをし、3日後にBの自宅で売買契約を締結した場合、Bは、当該建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払っているときでも、当該売買契約の解除をすることができる。
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正解 1
問題難易度
肢174.2%
肢29.8%
肢310.8%
肢45.2%
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肢310.8%
肢45.2%
分野
科目:5 - 宅地建物取引業法等細目:9 - 8種制限
解説
- [正しい]。宅地建物取引業者は、原則として自己の所有に属しない不動産について売買契約を締結してはいけません。ただし、以下の場合には他人物売買が認められています(宅建業法33条の2)。
- 当該不動産を取得することについて売買契約(予約を含む)が成立をしている場合など、その宅地や建物を取得できることが明らかなとき
- 自ら売主となる未完成物件の売買契約で、保全措置が講じられているとき
- 宅地建物取引業者間の取引であるとき
宅地建物取引業者Fは、自己の所有に属しない宅地について、自ら売主として、宅地建物取引業者Gと売買契約の予約を締結した。(R3⑫-38-ウ)宅地建物取引業者Hは、農地の所有者Iと建物の敷地に供するため農地法第5条の許可を条件とする売買契約を締結したので、自ら売主として宅地建物取引業者ではない個人JとI所有の農地の売買契約を締結した。(R3⑫-38-エ)宅地建物取引業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物についての自ら売主となる売買契約を締結してはならないが、当該売買契約の予約を行うことはできる。(R1-27-ア)Aは、宅地建物取引業者ではないBが所有する宅地について、Bとの間で確定測量図の交付を停止条件とする売買契約を締結した。その後、停止条件が成就する前に、Aは自ら売主として、宅地建物取引業者ではないCとの間で当該宅地の売買契約を締結した。(R1-35-1)Aは、宅地建物取引業者でないCが所有する宅地について、自らを売主、宅地建物取引業者Dを買主とする売買契約を締結することができる。(H28-41-3)Cが建物の所有権を有している場合、AはBとの間で当該建物の売買契約を締結してはならない。ただし、AがCとの間で、すでに当該建物を取得する契約(当該建物を取得する契約の効力の発生に一定の条件が付されている。)を締結している場合は、この限りではない。(H27-34-1)当該宅地が、Aの所有に属しない場合、Aは、当該宅地を取得する契約を締結し、その効力が発生している場合においても、当該宅地の引渡しを受けるまでは、Bとの間で売買契約を締結することができない。(H22-40-4)宅地建物取引業者Eは、Fの所有する宅地を取得することを停止条件として、宅地建物取引業者Gとの間で自ら売主として当該宅地の売買契約を締結した。(H15-35-4)競売開始決定がなされた自己の所有に属しない宅地について、裁判所による競売の公告がなされた後、入札前に、自ら売主として宅地建物取引業者でない者と当該宅地の売買契約を締結すること(H13-34-エ)自己の所有に属しない宅地又は建物について、宅地建物取引業法で定める一定の場合を除いて、自ら売主となる売買の予約を締結すること(H13-45-イ) - 誤り。すべて無効ではありません。自ら売主となる売買契約では、損害賠償額の予定として代金の2割を超える金額を定めることは禁止されますが、2割を超える約定があった場合でも全体として無効にはならず、2割を超える部分のみ無効となります(宅建業法38条)。
宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の十分の二をこえることとなる定めをしてはならない。
前項の規定に反する特約は、代金の額の十分の二をこえる部分について、無効とする。
AB間で建物の売買契約を締結する場合において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額についての特約を、代金の額の10分の2を超えて定めた場合、当該特約は全体として無効となる。(R3⑫-27-1)A及びBがともに宅地建物取引業者である場合において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除があったときの損害賠償の額を600万円とする特約を定めた。(H30-29-2)Aは、Bとの間で、当事者の債務不履行を理由とする契約解除に伴う違約金について300万円とする特約を定めた場合、加えて、損害賠償の予定額を600万円とする特約を定めることができる。(H29-31-ウ)Aは、Bとの間における建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を480万円とし、かつ、違約金の額を240万円とする特約を定めた。この場合、当該特約は全体として無効となる。(H27-36-ア)A社は、Bとの間における新築分譲マンションの売買契約(代金3,500万円)の締結に際して、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額と違約金の合計額を700万円とする特約を定めることができる。(H25-38-イ)当該契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、違約金を定める場合、これらを合算した額について代金の額の10分の1とする旨の特約を定めることができる。(H23-37-3)A社は、宅地建物取引業者である買主B社との間で売買契約を締結したが、B社は支払期日までに代金を支払うことができなかった。A社は、B社の債務不履行を理由とする契約解除を行い、契約書の違約金の定めに基づき、B社から1,000万円の違約金を受け取った。(H23-39-1)当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を売買代金の2割とし、違約金の額を売買代金の1割とする定めは、これらを合算した額が売買代金の3割を超えていないことから有効である。(H22-39-2)Aは、当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を300万円とし、かつ、違約金を300万円とする特約をすることができる。(H22-40-2)Aの違約によりBが受け取る違約金を売買代金の額の10分の3とするとの特約を定めることができる。(H20-40-2)宅地建物取引業者が自ら売主となり、宅地建物取引業者でない者が買主となる宅地の売買契約において、損害賠償の額を予定し、その予定額が代金の額の2割を超える場合、その旨の説明があれば、その2割を超える部分についても有効である。(H16-37-4)Aは、Bの債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償額の予定や違約金を契約条項に定めることができるが、これらの合計額が代金の額の2/10を超える場合は、Bに不利になるので全額無効である。(H14-40-4) - 誤り。民法における売主の担保責任は原則として無過失責任ですので、その不適合について売主が無過失でも担保責任を免れることはできません。ただし、民法改正により損害賠償責任については売主の帰責事由が必要となっています。
売主が宅地建物取引業者、買主が宅地建物取引業者でない場合には、本肢のように「売主に過失があるときのみ契約不適合についての担保責任を負う」旨の特約は、民法の規定よりも買主にとって不利な特約であるため、宅建業法の規定により無効となります(宅建業法40条)。宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
2 前項の規定に反する特約は、無効とする。Aが宅地建物取引業者ではないBとの間で締結する宅地の売買契約において、当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間をBがその不適合を知った時から2年とする特約を定めた場合、この特約は有効である。(R2⑩-42-1)Aが宅地建物取引業者ではないEとの間で締結する建物の売買契約において、Aは当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を一切負わないとする特約を定めた場合、この特約は無効となり、Aが当該責任を負う期間は当該建物の引渡日から2年となる。(R2⑩-42-4)宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、取引の相手方が同意した場合に限り、買主がその不適合を売主に通知すべき期間を当該宅地又は建物の引渡しの日から1年とする特約を有効に定めることができる。(R1-27-イ)Aは宅地建物取引業者であるが、Bは宅地建物取引業者ではない場合において、本件契約の目的物である建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に対して追及するには目的物の引渡しの日から1年以内に通知しなければならないものとする旨の特約を定めた。(H30-29-4)Aは、Bとの間における建物の売買契約において、「AがBに対して、当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間は、建物の引渡しの日から1年間とする」旨の特約を付した。この場合、当該特約は無効となり、BがAに対して当該通知をする期間は、当該建物の引渡しの日から2年間となる。(H27-34-2)宅地建物取引業者でない買主Cとの間で土地付建物の売買契約を締結するにあたって、Cが建物を短期間使用後取り壊す予定である場合には、当該建物が契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負わない旨の特約を定めることができる。(H27-39-2)A社は、Bとの間で締結した中古住宅の売買契約において、引渡後2年以内に発見された雨漏り、シロアリの害、建物の構造耐力上主要な部分の不適合についてのみ担保責任を負うとする特約を定めることができる。(H25-38-ア)当該建物が中古建物である場合、宅地建物取引業者である買主Dとの間で、「中古建物であるため、A社は、当該建物が契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負わない」旨の特約を定めること。(H24-39-2)当該建物が中古建物である場合、宅地建物取引業者でない買主Eとの間で、「A社の担保責任を追及するためにEがA社に通知すべき期間を、売買契約締結の日にかかわらず引渡しの日から2年間とする」旨の特約を定めること。(H24-39-3)当該契約において、A社が当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、Bがその不適合をA社に通知すべき期間について、Bが知った時から2年間とする旨の特約を定めることができる。(H23-37-4)A社は、宅地建物取引業者である買主E社との間で、売買契約を締結したが、当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任について、「契約不適合による契約解除又は損害賠償の請求は、契約対象物件である宅地の引渡しの日から1年を経過したときはできない」とする旨の特約を定めていた。(H23-39-4)Aは、当該宅地の契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、Bがその不適合をAに通知すべき期間を当該宅地の引渡しの日から3年とする特約をすることができる。(H22-40-1)AがBとの間で締結した中古住宅の売買契約において、当該住宅を現状有姿で引き渡すとする特約と、Aが当該住宅の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負わないこととする特約とを定めた場合、その特約はいずれも有効である。(H21-38-ア)AがBとの間で締結した建物の売買契約において、Aは当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を一切負わないとする特約を定めた場合、この特約は無効となり、Aが当該責任を負う期間は当該建物の引渡しの日から2年間となる。(H21-38-ウ)Aは、自ら売主として行う中古建物の売買に際し、当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合をAに通知すべき期間を引渡しの日から2年間とする特約をした。(H21-40-4)Aは、当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間として、引渡しの日から2年で、かつ、Bが契約不適合を知った時から30日以内とする特約を定めることができる。(H20-40-4)買主Bとの売買契約において、物件が競売で取得した中古住宅であるため、現状有姿とし当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間を「引渡しから半年まで」と定めた契約書の条項は有効である。(H14-41-1)Aが、売買目的物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間について、その土地付建物の引渡しの時から1年間とする旨の特約をした場合は、その期間は、Bが契約不適合を知った時から1年間となる。(H12-40-1) - 誤り。次の条件のいずれかを満たす場合、クーリング・オフによる契約解除はできません。逆を言えば、どれにも該当しなければクーリング・オフできるということです(宅建業法37条の2)。
- 宅地建物取引業者の事務所等で買受けの申込みまたは売買契約(事務所等以外の場所で買受けの申込みをした場合を除く)をしている
- クーリング・オフについて書面で告げられた日から起算して8日を経過している
- 物件の引渡しを受け、かつ、代金全額を支払っている
- 買主が宅地建物取引業者である
Aは、Bから喫茶店で建物の買受けの申込みを受け、翌日、同じ喫茶店で当該建物の売買契約を締結した際に、その場で契約代金の2割を受領するとともに、残代金は5日後に決済することとした。契約を締結した日の翌日、AはBに当該建物を引き渡したが、引渡日から3日後にBから宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくクーリング・オフによる契約の解除が書面によって通知された。この場合、Aは、契約の解除を拒むことができない。(H27-34-3)Aは、喫茶店でBから宅地の買受けの申込みを受けたことから、翌日、前日と同じ喫茶店で当該宅地の売買契約を締結し、代金全部の支払を受けた。その4日後に、Bから法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフによる当該契約を解除する旨の書面による通知を受けた場合、Aは、当該宅地をBに引き渡していないときは、代金の全部が支払われたことを理由に当該解除を拒むことはできない。(H21-37-3)
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