8種制限(全72問中37問目)

No.37

宅地建物取引業者A社が、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bと建築工事完了前のマンション(代金3,000万円)の売買契約を締結し、Bから手付金200万円を受領した。この場合において、宅地建物取引業法第41条第1項の規定による手付金等の保全措置(以下この問において「保全措置」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
平成23年試験 問38
  1. A社が銀行との間で保証委託契約を締結することにより保全措置を講じている場合、当該措置内容は、少なくともA社が受領した手付金の返還債務の全部を保証するものでなければならない。
  2. A社が保険事業者との間で保証保険契約を締結することにより保全措置を講じている場合、当該措置内容は、少なくとも当該保証保険契約が成立したときから建築工事の完了までの期間を保険期間とするものでなければならない。
  3. Bが売買契約締結前に申込証拠金5万円を支払っている場合で、当該契約締結後、当該申込証拠金が代金に充当されるときは、A社は、その申込証拠金に相当する額についても保全措置を講ずる必要がある。
  4. A社は、売買契約締結後の建築工事中に、さらに200万円を中間金としてBから受領する場合、当該中間金についても保全措置を講ずる必要がある。

正解 2

問題難易度
肢16.0%
肢278.8%
肢39.6%
肢45.6%

解説

  1. 正しい。手付金等の保全措置における銀行との保証委託契約は、手付金等の返還債務の全てを保証する内容でなくてはいけません(宅建業法41条2項)。
    前項第一号の規定による保証委託契約は、銀行等が次の各号に掲げる要件に適合する保証契約を買主との間において成立させることを内容とするものでなければならない。
    一 保証債務が、少なくとも宅地建物取引業者が受領した手付金等の返還債務の全部を保証するものであること。
    二 保証すべき手付金等の返還債務が、少なくとも宅地建物取引業者が受領した手付金等に係る宅地又は建物の引渡しまでに生じたものであること。
  2. [誤り]。手付金等の保全措置において、保険事業者との間で保証保険契約を締結することにより保全措置を講じている場合、当該措置内容は、少なくとも当該保証保険契約が成立したときから建物の引渡しまでの期間を保険期間とするものでなければなりません(宅建業法41条3項)。本肢は「建築工事の完了まで」としているため誤りです。
    第一項第二号の規定による保証保険契約は、次の各号に掲げる要件に適合するものでなければならない。
    一 保険金額が、宅地建物取引業者が受領しようとする手付金等の額(既に受領した手付金等があるときは、その額を加えた額)に相当する金額であること。
    二 保険期間が、少なくとも保証保険契約が成立した時から宅地建物取引業者が受領した手付金等に係る宅地又は建物の引渡しまでの期間であること。
  3. 正しい。宅建業法では、保全措置の対象となる手付金等を以下のように定義しています(宅建業法41条1項)。
    代金の全部又は一部として授受される金銭及び手付金その他の名義をもつて授受される金銭で代金に充当されるものであつて、契約の締結の日以後当該宅地又は建物の引渡し前に支払われるものをいう。
    売買契約締結前に支払った申込証拠金が代金に充当される場合、手付金等の一部とみなされるため保全措置の対象となります。
  4. 正しい。宅地建物取引業者が自ら売主となる完成前物件の売買では、手付金等の額が売買代金の5%又は1,000万円を超える場合に保全措置が必要となります(宅建業法41条1項)。
    本肢では、手付金が売買代金の5%を超えているため、その時点で保全措置が講じられているはずです。手付金受領の時点で基準額を超過しているため、後から受領する中間金200万円についても受領前に保全措置を講じる必要があります。
したがって誤っている記述は[2]です。