8種制限(全72問中31問目)

No.31

宅地建物取引業者A社は、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で、中古マンション(代金2,000万円)の売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結し、その際、代金に充当される解約手付金200万円(以下「本件手付金」という。)を受領した。この場合におけるA社の行為に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定に違反するものはいくつあるか。
  1. 引渡前に、A社は、代金に充当される中間金として100万円をBから受領し、その後、本件手付金と当該中間金について法第41条の2に定める保全措置を講じた。
  2. 本件売買契約締結前に、A社は、Bから申込証拠金として10万円を受領した。本件売買契約締結時に、当該申込証拠金を代金の一部とした上で、A社は、法第41条の2に定める保全措置を講じた後、Bから本件手付金を受領した。
  3. A社は、本件手付金の一部について、Bに貸付けを行い、本件売買契約の締結を誘引した。
平成24年試験 問34
  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. なし

正解 2

問題難易度
肢123.2%
肢267.7%
肢37.6%
肢41.5%

解説

  1. 違反する。宅地建物取引業者が自ら売主となって宅地建物取引業者以外の買主と売買契約をする際には、手付金等の保全措置を行う必要があります。完成済建物の場合には売買代金の10%を超える手付金等を受け取る場合には、受領前に保全措置を講じなければなりません。本問では「売買代金の10%=200万円」を超えて手付金等を受領する場合には保全措置が必要です。
    A社は買主から200万円の手付金を受領しているため、中間金100万円を受け取ると手付金等の合計額が200万円を超えることになります。よって、中間金の受領に既に受領済の200万円と合わせた300万円について保全措置を講じる必要があります。
  2. 違反しない。事実を時系列に並べると以下のようになります。
    1. 申込証拠金10万円を受領(売買代金の10%以下なので保全措置は不要)
    2. 210万円について保全措置を講じる
    3. 手付金200万円を受領
    申込証拠金と手付金を合わせた210万円について保全措置を講じてから受領しているため、宅建業法に違反しません。
  3. 違反する。手付金を貸付け(または分割払いに)することは契約の締結を誘引する行為として宅建業法で禁止されています(宅建業法47条3号)。本肢は、手付貸与の禁止に該当するため宅建業法に違反します。
    手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為
したがって違反するものは「二つ」です。