宅建試験過去問題 令和6年試験 問4
問4
Aを売主、Bを買主として甲土地の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結された直後にAが死亡し、CがAを単独相続した場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。- 売買代金を受領したCが甲土地の引渡しを拒絶する意思を明確に表示したとしても、Bは、Cに対して相当の期間を定めた催告をしなければ、本件契約を解除することができない。
- Bが期日までに売買代金を支払わない場合であっても、本件契約の解除権はAの一身に専属した権利であるため、Cは本件契約を解除することはできない。
- Bは、売買代金が支払い済みだったとしても、甲土地の所有権登記を備えなければ、Cに対して甲土地の引渡しを請求することはできない。
- 本件契約が、Aの詐欺により締結されたものである場合、BはCに対して、本件契約の取消しを主張することができる。
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正解 4
問題難易度
肢17.3%
肢24.0%
肢312.7%
肢476.0%
肢24.0%
肢312.7%
肢476.0%
分野
科目:1 - 権利関係細目:8 - 売買契約
解説
- 誤り。契約の解除は、原則として相当の期間を定めて履行の催告をし、その期間内に履行がないときでなければすることができません(民法541条)。ただし、相手方がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、催告をせずに契約解除をすることができます(民法542条1項2号)。
当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
…
二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときBが引渡しを受けた甲自動車が故障を起こしたときは、修理が可能か否かにかかわらず、BはAに対して、修理を請求することなく、本件契約の解除をすることができる。(R3⑩-7-3)債務不履行に対して債権者が相当の期間を定めて履行を催告してその期間内に履行がなされない場合であっても、催告期間が経過した時における債務不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、債権者は契約の解除をすることができない。(R2⑩-3-3)①の契約については、Bの債務不履行を理由としてAに解除権が発生する場合があるが、②の契約については、Bの負担の不履行を理由としてAに解除権が発生することはない。(R2⑩-9-4)建物の構造耐力上主要な部分の契約不適合については、契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるか否かにかかわらず、Bは契約不適合を理由に売買契約を解除することができる。(R1-3-2)本件建物に存在している契約不適合のために請負契約を締結した目的を達成することができない場合でも、AはBとの契約を一方的に解除することができない。(H26-6-4)売買の目的物である新築建物に、建て替えざるを得ないような重大な瑕疵があって契約の目的を達成できない場合には、買主は売買契約を解除することができる。(H23-9-2)請負契約の目的物たる建物に契約不適合があり、目的物の修補に要する費用が契約代金を超える場合でも、Aは原則として請負契約を解除することができない。(H18-6-3)Aは、一旦履行の提供をしているので、これを継続しなくても、相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内にBが履行しないときは土地の売買契約を解除できる。(H18-8-2)Aが、この欠陥の存在を知らないまま契約を締結した場合、Bの担保責任を追及して契約の解除を行うことができるのは、その欠陥が契約及び取引の社会通念に照らして軽微でないときに限られる。(H15-10-2)Aは、この売買契約を解除せず、Bに対し、残代金の支払を請求し続けることができる。(H14-8-1)Bは、この不適合が売買契約及び社会通念に照らして軽微でない場合に限り、この売買契約を解除できる。(H14-9-4) - 誤り。相続人は、被相続人の契約上の地位を引き継ぎます。契約解除権は一身専属的な権利ではないので、解除権も相続されます(民法896条)。よって、相続人Cは契約を解除することができます。
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
AがA所有の建物について賃借人Cとの間で賃貸借契約を締結している期間中にAが死亡した場合、Aの相続人は、Cに賃貸借契約を継続するか否かを相当の期間を定めて催告し、期間内に返答がなければ賃貸借契約をAの死亡を理由に解除することができる。(R3⑩-3-イ)AがA所有の土地について買主Dとの間で売買契約を締結し、当該土地の引渡しと残代金決済の前にAが死亡した場合、当該売買契約は原始的に履行が不能となって無効となる。(R3⑩-3-ウ)Bが死亡しても賃貸借契約は終了せず賃借権はBの相続人に相続されるのに対し、Cが死亡すると使用貸借契約は終了するので使用借権はCの相続人に相続されない。(H21-12-4)Aの死亡によりCが単独相続し、甲地について相続を原因とするAからCへの所有権移転登記がなされた場合、Bは、自らへの登記をしていないので、甲地の所有権をCに対抗できない。(H17-8-1) - 誤り。売主は、売買の目的物を相手方に引き渡す義務を負います。売買契約は同時履行の関係にありますから、代金全額を支払ったBは、Cに対して甲土地の引渡しを請求することができます(民法533条)。登記は第三者対抗要件なので、当事者間の引渡しとは関係ありません。
双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
請負人の報酬債権に対して、注文者がこれと同時履行の関係にある目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権を自働債権とする相殺の意思表示をした場合、注文者は、請負人に対する相殺後の報酬残債務について、当該残債務の履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。(R6-5-3)Bは、本件代金債務の履行期が過ぎた場合であっても、特段の事情がない限り、甲建物の引渡しに係る履行の提供を受けていないことを理由として、Aに対して代金の支払を拒むことができる。(R1-7-4)Bが報酬を得て売買の媒介を行っているので、CはAから当該自動車の引渡しを受ける前に、100万円をAに支払わなければならない。(H29-5-1)請負契約の目的物に契約不適合がある場合、注文者は、請負人から履行の追完に代わる損害の賠償を受けていなくとも、特別の事情がない限り、報酬全額を支払わなければならない。(H29-7-3)Bは、自らの債務不履行で解除されたので、Bの原状回復義務を先に履行しなければならず、Aの受領済み代金返還義務との同時履行の抗弁権を主張することはできない。(H21-8-3)Aは、一旦履行の提供をしているので、Bに対して代金の支払を求める訴えを提起した場合、引換給付判決ではなく、無条件の給付判決がなされる。(H18-8-3)動産売買契約における目的物引渡債務と代金支払債務とは、同時履行の関係に立つ。(H15-9-1) - [正しい]。錯誤、詐欺、強迫による取消しは、瑕疵のある意思表示した本人だけではなく、その代理人や承継人もすることができます(民法120条2項)。相続人は一般承継人に当たるため、Cは詐欺を理由として契約を取り消すことができます。
錯誤、詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。
Aが甲土地を売却した意思表示に錯誤があった場合、Aの錯誤が重大な過失によるものではなかったとしても、BはAの錯誤を理由として取消しをすることはできない。(H30-1-2)
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