宅建試験過去問題 平成14年試験 問9(改題)

問9

Aが、Bに建物を売却し、代金受領と引換えに建物を引き渡した後に、Bがこの建物に契約不適合があることを発見したが、売主の担保責任についての特約はない。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
  1. Bは、この不適合がAの責めに帰すべき事由により生じたものであることを証明した場合に限り、この不適合に基づき行使できる権利を主張できる。
  2. Bは、この売買契約を解除できない場合でも、この不適合により受けた損害につき、Aに対し賠償請求できる。
  3. Bが、Aに対し、この不適合に基づく権利を行使するには、Bが不適合を知った時から1年以内にAに通知しなければならない。
  4. Bは、この不適合が売買契約及び社会通念に照らして軽微でない場合に限り、この売買契約を解除できる。

正解 1

問題難易度
肢172.1%
肢26.1%
肢39.5%
肢412.3%

解説

  1. [誤り]。売主の担保責任は原則として無過失責任です。契約内容や契約目的から考えて不適合であれば、Bは、Aの帰責事由を証明しなくても担保責任を追及できます(損害賠償請求だけは帰責事由が必要)。
  2. 正しい。契約解除と損害賠償請求は、それぞれ独立した権利です。売買契約が解除できない場合であっても損害賠償をすることは可能ですし、その逆もまた然りです。
  3. 正しい。売主の担保責任の期間は、買主が契約不適合を知ったときから1年です(民法566条)。また担保責任を追及する権利は引渡しから10年すると時効により消滅します(最判平13.11.27)。
    売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。
    瑕疵担保による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用がある
  4. 正しい。債務不履行による契約解除は、債務不履行の度合いが「契約の目的及び社会通念に照らして軽微でない場合」に限りできます(民法541条)。
    当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
したがって誤っている記述は[1]です。