宅建試験過去問題 平成15年試験 問10(改題)
問10
Aが、BからB所有の土地付中古建物を買い受けて引渡しを受けたが、建物の主要な構造部分に欠陥があった。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。なお、担保責任についての特約はなく、欠陥については契約内容となっていないものとする。- Aが、この欠陥の存在を知って契約を締結した場合、AはBの担保責任を追及して契約を解除することはできないが、この場合の建物の欠陥は重大な契約不適合なのでBに対して担保責任に基づき損害賠償請求を行うことができる。
- Aが、この欠陥の存在を知らないまま契約を締結した場合、Bの担保責任を追及して契約の解除を行うことができるのは、その欠陥が契約及び取引の社会通念に照らして軽微でないときに限られる。
- Aが、この欠陥の存在を知らないまま契約を締結した場合、契約締結から1年以内に担保責任の追及を行わなければ、AはBに対して担保責任を追及することができなくなる。
- AB間の売買契約が、宅地建物取引業者Cの媒介により契約締結に至ったものである場合、Bに対して担保責任が追及できるのであれば、AはCに対しても担保責任を追及することができる。
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正解 2
問題難易度
肢122.0%
肢256.5%
肢312.4%
肢49.1%
肢256.5%
肢312.4%
肢49.1%
分野
科目:1 - 権利関係細目:8 - 売買契約
解説
- 誤り。契約不適合がある場合、買主は不適合の程度が軽微でなければ契約を解除することができますし、売主に帰責事由があれば損害賠償請求をすることもできます。本件は、契約不適合の程度が軽微かどうか明らかではありませんが、契約解除できる可能性があるので「できない」とする点で誤りです。また、損害賠償請求は売主に帰責事由があるときでなければできないので、"重大な契約不適合なので"という理由付けも不適切と言えます。
- [正しい]。契約の当事者は、相手方が債務を履行しないときに契約を解除することができますが、解除ができるのは、債務不履行が契約及び取引の社会通念に照らして軽微でないときに限られます(民法541条)。建物の主要な構造部分に契約不適合があったとしても、新品なのに汚れているとか細かなキズが付いているなど、軽微な場合には契約解除できません。
当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
売買代金を受領したCが甲土地の引渡しを拒絶する意思を明確に表示したとしても、Bは、Cに対して相当の期間を定めた催告をしなければ、本件契約を解除することができない。(R6-4-1)Bが引渡しを受けた甲自動車が故障を起こしたときは、修理が可能か否かにかかわらず、BはAに対して、修理を請求することなく、本件契約の解除をすることができる。(R3⑩-7-3)債務不履行に対して債権者が相当の期間を定めて履行を催告してその期間内に履行がなされない場合であっても、催告期間が経過した時における債務不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、債権者は契約の解除をすることができない。(R2⑩-3-3)①の契約については、Bの債務不履行を理由としてAに解除権が発生する場合があるが、②の契約については、Bの負担の不履行を理由としてAに解除権が発生することはない。(R2⑩-9-4)建物の構造耐力上主要な部分の契約不適合については、契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるか否かにかかわらず、Bは契約不適合を理由に売買契約を解除することができる。(R1-3-2)本件建物に存在している契約不適合のために請負契約を締結した目的を達成することができない場合でも、AはBとの契約を一方的に解除することができない。(H26-6-4)売買の目的物である新築建物に、建て替えざるを得ないような重大な瑕疵があって契約の目的を達成できない場合には、買主は売買契約を解除することができる。(H23-9-2)請負契約の目的物たる建物に契約不適合があり、目的物の修補に要する費用が契約代金を超える場合でも、Aは原則として請負契約を解除することができない。(H18-6-3)Aは、一旦履行の提供をしているので、これを継続しなくても、相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内にBが履行しないときは土地の売買契約を解除できる。(H18-8-2)Aは、この売買契約を解除せず、Bに対し、残代金の支払を請求し続けることができる。(H14-8-1)Bは、この不適合が売買契約及び社会通念に照らして軽微でない場合に限り、この売買契約を解除できる。(H14-9-4) - 誤り。契約締結から1年以内ではありません。特約がない場合、買主は売買目的物の契約不適合を知ったときから1年以内に売主に通知すれば、担保責任を追及することができます(民法566条)。
売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。
目的物の引渡しの時点で目的物が品質に関して契約の内容に適合しないことをAが知っていた場合には、当該不適合に関する請求権が消滅時効にかかっていない限り、BはAの担保責任を追及することができる。(R3⑫-4-4)Bが甲土地の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を追及する場合には、不適合を知った時から1年以内にAの当該責任を追及する意思を裁判外で明確に告げていればよく、1年以内に訴訟を提起して当該責任を追及するまでの必要はない。(H20-9-3)売買契約で、甲土地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任について、Aは甲土地の引渡しの日から2年以内にその不適合についてBから通知を受けたときのみ当該責任を負う旨を合意したとしても、Aが知っていたのにBに告げなかった不適合については、当該責任に基づく損害賠償請求権が時効で消滅するまで、Bは当該損害賠償を請求できる。(H20-9-4)売買契約に、種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を通知すべき期間について特約を設けていない場合、Bが種類又は品質に関して担保責任を追及するときは、その不適合があることを知った時から1年以内にAに通知しなければならない。(H19-11-4)Bが、Aに対し、この不適合に基づく権利を行使するには、Bが不適合を知った時から1年以内にAに通知しなければならない。(H14-9-3) - 誤り。契約不適合による担保責任を追及することができるのは、売主であるBに対してであり、媒介業者であるCに対してはできません。
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