宅建試験過去問題 平成12年試験 問44(改題)

問44

宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  1. Aは、甲県知事の免許を受けた日から1月以内に、政令で定める額の営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託し、かつ、その旨を甲県知事に届け出なければ、事業を開始することができない。
  2. Aは、事業の開始後新たに事務所を設置したときは、2週間以内に政令で定める額の営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託し、かつ、その旨を甲県知事に届け出なければならない。
  3. Aは、宅地又は建物の売買契約を締結しようとするときは、当該契約が成立するまでの間に、宅地建物取引業者ではない相手方に対して、営業保証金を供託した供託所及びその所在地並びに供託金の額について説明しなければならない。
  4. Aが、営業保証金を金銭のみで供託している場合で、免許換えにより主たる事務所のもよりの供託所が変更したとき、Aは、遅滞なく、変更前の供託所に対し、変更後の供託所への営業保証金の保管替えを請求しなければならない。

正解 4

問題難易度
肢111.1%
肢217.5%
肢316.2%
肢455.2%

解説

  1. 誤り。免許を受けた日から1月以内に営業保証金を供託して届け出るという規定はありません。主たる事務所のもよりの供託所に営業保証金を供託した後、免許権者に届け出れば事業を開始することができます(宅建業法25条5項)。
    ただし、いつまでも遅らせていいのかと言えばそうではなく、免許を受けた日や事務所を新たに設置した日から3月以内に営業保証金を供託した旨の届出がない場合は、免許権者から催告を受け、その催告から1月以内に供託の届出がなければ免許を取り消されることがあります。また免許を受けてから1年以内に業務を開始しないときは免許を取り消されてしまいます。
    宅地建物取引業者は、前項の規定による届出をした後でなければ、その事業を開始してはならない。
    Aが甲県内に新たに支店を設置したときは、本店の最寄りの供託所に政令で定める額の営業保証金を供託すれば、当該支店での事業を開始することができる。R2⑩-35-2
    新たに宅地建物取引業の免許を受けようとする者は、当該免許の取得に係る申請をしてから当該免許を受けるまでの間においても、免許申請中である旨を表示すれば、免許取得後の営業に備えて広告をすることができる。H20-32-1
    宅地建物取引業の免許を受けた者は、事業を開始した日から3月以内に営業保証金を供託し、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。H18-34-1
  2. 誤り。事務所を新たに設置した場合も、免許を受けたときの営業保証金の供託と同じ手順です(宅建業法26条)。その事務所で業務を開始する前に、所定の営業保証金を供託し、その供託書の写しを添附して、免許権者に届け出る必要があります。なお、2週間以内に供託する必要があるのは、還付により営業保証金が不足することとなったときです。
    宅地建物取引業者は、事業の開始後新たに事務所を設置したとき(第七条第一項各号の一に該当する場合において事務所の増設があつたときを含むものとする。)は、当該事務所につき前条第二項の政令で定める額の営業保証金を供託しなければならない。
    2 前条第一項及び第三項から第五項までの規定は、前項の規定により供託する場合に準用する。
    A(国土交通大臣免許)は、甲県内にある主たる事務所とは別に、乙県内に新たに従たる事務所を設置したときは、営業保証金をその従たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。H29-39-ア
    A社は、甲県の区域内に新たに支店を設置し宅地建物取引業を営もうとする場合、甲県知事にその旨の届出を行うことにより事業を開始することができるが、当該支店を設置してから3月以内に、営業保証金を供託した旨を甲県知事に届け出なければならない。H23-30-1
    Aが新たに支店Zを甲県内に設置したときは、本店Xの最寄りの供託所に政令で定める額の営業保証金を供託すれば、支店Zでの事業を開始することができる。H20-34-1
    Aは新たに2つの支店を設置し、同時に1つの支店を廃止したときは、500万円の営業保証金を本店のもよりの供託所に供託し、業務を開始した後、遅滞なくその旨を甲県知事に届け出なければならない。H16-35-1
  3. 誤り。営業保証金を供託している(保証協会の社員でない)場合には、契約の相手方(宅地建物取引業者を除く)に対し、契約が成立するまでの間に、営業保証金を供託した供託所とその所在地を説明しなければなりません。しかし「供託金の額」は説明対象に含まれないので本肢は誤りです(宅建業法35条の2第1号)。
    営業保証金を供託した主たる事務所の最寄りの供託所及びその所在地
    宅地建物取引業者は、宅地建物取引業者の相手方に対して供託所等の説明を行う際に書面を交付することは要求されていないが、重要事項説明書に記載して説明することが望ましい。R3⑫-32-1
    宅地建物取引業者は、宅地建物取引業者が取引の相手方の場合においても、供託所等に係る説明をしなければならない。R3⑫-32-2
    宅地建物取引業者は、売買、交換又は貸借の契約に際し、契約成立後、速やかに供託所等に係る説明をしなければならない。R3⑫-32-3
    宅地建物取引業者は、自らが宅地建物取引業保証協会の社員である場合、営業保証金を供託した主たる事務所の最寄りの供託所及び所在地の説明をしなければならない。R3⑫-32-4
    営業保証金を供託している宅地建物取引業者が、売主として、宅地建物取引業者との間で宅地の売買契約を締結しようとする場合、営業保証金を供託した供託所及びその所在地について、買主に対し説明をしなければならない。H30-28-ウ
    区分所有建物の売買において、売主及び買主が宅地建物取引業者である場合、当該売主は当該買主に対し、法第35条の2に規定する供託所等の説明をしなければならない。H25-29-4
    A社は、営業保証金を供託している供託所及びその所在地を説明しないままに、自らが所有する宅地の売買契約が成立したので、買主に対し、その供託所等を37条書面に記載の上、説明した。H25-36-2
    A社は、自ら所有する宅地を売却するに当たっては、当該売却に係る売買契約が成立するまでの間に、その買主(宅地建物取引業者ではない)に対して、供託している営業保証金の額を説明しなければならない。H24-33-4
    宅地建物取引業者が宅地建物取引業保証協会の社員であるときは、法第37条の規定による書面交付後は遅滞なく、社員である旨、当該協会の名称、住所及び事務所の所在地並びに法第64条の7第2項の供託所及びその所在地について説明をするようにしなければならない。H21-34-3
    Aは、宅地建物取引業者ではない買主Dに対し、土地付建物の売買契約を締結する前に、営業保証金を供託した主たる事務所のもよりの供託所及びその所在地について説明するようにしなければならない。H17-33-4
    Aは、自己所有の宅地を宅地建物取引業者Bに売却する場合、売買契約が成立するまでの間に、Aが保証協会の社員である旨の説明をしなければならない。H15-42-1
  4. [正しい]。金銭のみで営業保証金を供託している場合において、主たる事務所の移転により営業保証金の供託先が変わった場合には、変更前の供託所に対し、変更後の供託所への保管替えの請求をしなければなりません。なお、金銭のみでない場合は、変更後の供託所に営業保証金全額を供託した後、変更前の供託所から取り戻すことになります(宅建業法29条1項)。
    宅地建物取引業者は、その主たる事務所を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合において、金銭のみをもつて営業保証金を供託しているときは、法務省令・国土交通省令の定めるところにより、遅滞なく、費用を予納して、営業保証金を供託している供託所に対し、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への営業保証金の保管替えを請求し、その他のときは、遅滞なく、営業保証金を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託しなければならない。
    Aが主たる事務所を移転したことにより、その最寄りの供託所が変更した場合において、金銭のみをもって営業保証金を供託しているときは、遅滞なく営業保証金を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託しなければならない。R6-27-1
    宅地建物取引業者は、主たる事務所を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合、国債証券をもって営業保証金を供託しているときは、遅滞なく、従前の主たる事務所の最寄りの供託所に対し、営業保証金の保管替えを請求しなければならない。R2⑫-33-2
    宅地建物取引業者は、主たる事務所を移転したことにより、その最寄りの供託所が変更となった場合において、金銭のみをもって営業保証金を供託しているときは、従前の供託所から営業保証金を取り戻した後、移転後の最寄りの供託所に供託しなければならない。H29-32-1
    Aは、本店を移転したため、その最寄りの供託所が変更した場合は、遅滞なく、移転後の本店の最寄りの供託所に新たに営業保証金を供託しなければならない。H28-40-1
    宅地建物取引業者が、営業保証金を金銭及び有価証券をもって供託している場合で、主たる事務所を移転したためその最寄りの供託所が変更したときは、金銭の部分に限り、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への営業保証金の保管替えを請求することができる。H26-29-4
    宅地建物取引業者は、本店を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合、国債証券をもって営業保証金を供託しているときは、遅滞なく、従前の本店の最寄りの供託所に対し、営業保証金の保管替えを請求しなければならない。H25-27-3
    Aが、Yを本店とし、Xを支店としたときは、Aは、金銭の部分に限り、Yの最寄りの供託所への営業保証金の保管替えを請求することができる。H20-34-2
    金銭のみをもって営業保証金を供託している宅地建物取引業者は、その本店を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合、遅滞なく、供託している供託所に対し、移転後の本店の最寄りの供託所への営業保証金の保管替えを請求しなければならない。H18-34-3
したがって正しい記述は[4]です。