宅建試験過去問題 平成21年試験 問34

問34

次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. 宅地建物取引業者が自ら売主となる場合において、宅地建物取引業者でない買主が、法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフによる契約の解除をするときは、その旨を記載した書面が当該宅地建物取引業者に到達した時点で、解除の効力が発生する。
  2. 宅地建物取引業者が宅地の売却の媒介依頼を受け、依頼者との間で一般媒介契約(専任媒介契約でない媒介契約)を締結した場合において、当該媒介契約の内容を記載した書面を作成するときは、契約の有効期間に関する事項の記載を省略することができる。
  3. 宅地建物取引業者が宅地建物取引業保証協会の社員であるときは、法第37条の規定による書面交付後は遅滞なく、社員である旨、当該協会の名称、住所及び事務所の所在地並びに法第64条の7第2項の供託所及びその所在地について説明をするようにしなければならない。
  4. 法第35条の規定による重要事項の説明及び書面の交付は、宅地建物取引士が設置されている事務所だけでなく、取引の相手方の自宅又は勤務する場所等、それ以外の場所で行うことができる。

正解 4

問題難易度
肢17.8%
肢26.3%
肢35.8%
肢480.1%

解説

  1. 誤り。クーリング・オフの効果は、書面到着時ではなく書面を発したときに生じます(宅建業法37条の2第2項)。本肢は「到達した時点で」としているため誤りです。
    申込みの撤回等は、申込者等が前項前段の書面を発した時に、その効力を生ずる。
    Cは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、その3日後にAの事務所でクーリング・オフについて書面の交付を受け、告げられた上で契約を締結した。Cは、その書面を受け取った日から起算して8日目に、Aに対しクーリング・オフによる契約の解除を行う旨の文書を送付し、その2日後にAに到達した。この場合、Aは契約の解除を拒むことができない。R3⑫-43-3
    AとCの間で、クーリング・オフによる契約の解除に関し、Cは契約の解除の書面をクーリング・オフの告知の日から起算して8日以内にAに到達させなければ契約を解除することができない旨の特約を定めた場合、当該特約は無効である。H30-37-ア
    BがAに対し、法第37条の2の規定に基づき、書面により買受けの申込みの撤回を行った場合、その効力は、当該書面をAが受け取った時に生じることとなる。H29-31-イ
  2. 誤り。契約の有効期間に関する事項は、媒介契約書の記載事項です。よって、省略はできません(宅建業法34条の2第1項5号)。
    媒介契約の有効期間及び解除に関する事項
    Aは、媒介契約の有効期間及び解除に関する事項を、法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に記載しなければならない。R2⑩-38-4
  3. 誤り。宅地建物取引業者は、売買・交換・貸借の契約が成立するまでに、営業保証金を供託しているときは供託所の名称と所在地、保証協会の社員であるときはその旨と保証協会及び供託所の名称・所在地について相手方(宅地建物取引業者を除く)に説明しなくてはなりません(宅建業法35条の2)。
    供託所及びその所在地に関する説明は、契約成立前に行う必要があります。本肢は「37条書面交付後」としていて契約成立後の説明となっているため誤りです。
    地建物取引業者は、宅地建物取引業者の相手方等(宅地建物取引業者に該当する者を除く。)に対して、当該売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、当該宅地建物取引業者が第六十四条の二第一項の規定により指定を受けた一般社団法人の社員でないときは第一号に掲げる事項について、当該宅地建物取引業者が同項の規定により指定を受けた一般社団法人の社員であるときは、第六十四条の八第一項の規定により国土交通大臣の指定する弁済業務開始日前においては第一号及び第二号に掲げる事項について、当該弁済業務開始日以後においては第二号に掲げる事項について説明をするようにしなければならない。
    宅地建物取引業者は、宅地建物取引業者の相手方に対して供託所等の説明を行う際に書面を交付することは要求されていないが、重要事項説明書に記載して説明することが望ましい。R3⑫-32-1
    宅地建物取引業者は、宅地建物取引業者が取引の相手方の場合においても、供託所等に係る説明をしなければならない。R3⑫-32-2
    宅地建物取引業者は、売買、交換又は貸借の契約に際し、契約成立後、速やかに供託所等に係る説明をしなければならない。R3⑫-32-3
    宅地建物取引業者は、自らが宅地建物取引業保証協会の社員である場合、営業保証金を供託した主たる事務所の最寄りの供託所及び所在地の説明をしなければならない。R3⑫-32-4
    営業保証金を供託している宅地建物取引業者が、売主として、宅地建物取引業者との間で宅地の売買契約を締結しようとする場合、営業保証金を供託した供託所及びその所在地について、買主に対し説明をしなければならない。H30-28-ウ
    区分所有建物の売買において、売主及び買主が宅地建物取引業者である場合、当該売主は当該買主に対し、法第35条の2に規定する供託所等の説明をしなければならない。H25-29-4
    A社は、営業保証金を供託している供託所及びその所在地を説明しないままに、自らが所有する宅地の売買契約が成立したので、買主に対し、その供託所等を37条書面に記載の上、説明した。H25-36-2
    A社は、自ら所有する宅地を売却するに当たっては、当該売却に係る売買契約が成立するまでの間に、その買主(宅地建物取引業者ではない)に対して、供託している営業保証金の額を説明しなければならない。H24-33-4
    Aは、宅地建物取引業者ではない買主Dに対し、土地付建物の売買契約を締結する前に、営業保証金を供託した主たる事務所のもよりの供託所及びその所在地について説明するようにしなければならない。H17-33-4
    Aは、自己所有の宅地を宅地建物取引業者Bに売却する場合、売買契約が成立するまでの間に、Aが保証協会の社員である旨の説明をしなければならない。H15-42-1
    Aは、宅地又は建物の売買契約を締結しようとするときは、当該契約が成立するまでの間に、宅地建物取引業者ではない相手方に対して、営業保証金を供託した供託所及びその所在地並びに供託金の額について説明しなければならない。H12-44-3
  4. [正しい]。重要事項説明について、説明場所や交付場所の制限はありません。よって、事務所のみならず、相手方の自宅又は勤務する場所等、それ以外の場所で行うことも可能です(宅建業法35条1項)。
    甲宅地を所有する宅地建物取引業者Aが、乙宅地を所有する宅地建物取引業者ではない個人Bと、甲宅地と乙宅地の交換契約を締結するに当たって、Bに対して、甲宅地に関する重要事項の説明を行う義務はあるが、乙宅地に関する重要事項の説明を行う義務はない。R5-33-1
    売主及び買主が宅地建物取引業者ではない場合、当該取引の媒介業者は、売主及び買主に重要事項説明書を交付し、説明を行わなければならない。R5-42-イ
    宅地建物取引業者である売主は、他の宅地建物取引業者に媒介を依頼して宅地の売買契約を締結する場合、重要事項説明の義務を負わない。R1-41-2
    宅地の売買の媒介を行う場合、売買の各当事者すなわち売主及び買主に対して、書面を交付して説明しなければならない。H29-33-1
    宅地建物取引業者でない売主と宅地建物取引業者である買主が、媒介業者を介さず宅地の売買契約を締結する場合、法第35条の規定に基づく重要事項の説明義務を負うのは買主の宅地建物取引業者である。H25-29-1
    宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買について売主となる場合、買主が宅地建物取引業者であっても、重要事項説明は行わなければならないが、35条書面の交付は省略してよい。H25-30-1
    Bは、事業用地として当該宅地を購入する資金を金融機関から早急に調達する必要があったため、重要事項説明に先立って37条書面の交付を行うようA社に依頼した。これを受け、A社は、重要事項説明に先立って契約を締結し、37条書面を交付した。H24-32-2
    AとBどちらからも、早く契約したいとの意思表示があったため、Cは契約締結後に重要事項説明をする旨AとBの了解を得た後に契約を締結させ、契約書面を交付した。H17-39-4
    宅地の売買について、売主A、Aの媒介業者B及び買主の媒介業者Cの三者がいずれも宅地建物取引業者である場合は、B及びCのみならず、Aも、買主に対して法第35条に規定する重要事項の説明をすべき義務を負う。H15-37-3
    代金の額及びその支払の時期については、重要事項説明書に記載し内容を説明したが、契約書面には記載しなかった。H13-39-2
したがって正しい記述は[4]です。