宅建試験過去問題 令和5年試験 問28
問28
宅地建物取引業者Aの業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定に違反するものはいくつあるか。
- Aの従業員Bが、Cが所有する戸建住宅の買取りを目的とした訪問勧誘をCに対して行ったところ、Cから「契約の意思がないので今後勧誘に来ないでほしい」と言われたことから、後日、Aは、別の従業員Dに同じ目的で訪問勧誘を行わせて、当該勧誘を継続した。
- Aの従業員Eは、Fが所有する戸建住宅の買取りを目的とした電話勧誘をFに対して行った際に、不実のことと認識しながら「今後5年以内にこの一帯は再開発されるので、急いで売却した方がよい。」と説明した。
- Aの従業員Gは、Hが所有する戸建住宅の買取りを目的とした電話勧誘をHに対して行おうと考え、23時頃にHの自宅に電話をかけ、勧誘を行い、Hの私生活の平穏を害し、Hを困惑させた。
- Aは、Jとの間でJが所有する戸建住宅を買い取る売買契約を締結し、法第37条の規定に基づく書面をJに交付したが、Aの宅地建物取引士に、当該書面に記名のみさせ、押印させることを省略した。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- 四つ
広告
広告
正解 3
問題難易度
肢14.7%
肢23.8%
肢370.2%
肢421.3%
肢23.8%
肢370.2%
肢421.3%
分野
科目:5 - 宅地建物取引業法等細目:5 - 業務上の規制
解説
- 違反する。相手方が、契約をしない意思、又はこれ以上勧誘を受けたくない意思を表示したにもかかわらず勧誘を継続する行為(再勧誘)は、宅建業法で禁止されています(宅建業法規則16条の11第1号ニ)。同じ目的であれば、別の者に勧誘をさせてもアウトです。
宅地建物取引業者の相手方等が当該契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続すること。
Aの従業者は、電話によりBに投資用マンションの購入の勧誘を行った際、Bから「Aから購入する意思は一切無いので、今後電話を含め勧誘はしないでほしい。」と告げられたが、その翌日、Bに対し、再度の勧誘を行った。(R7-36-ア)宅地建物取引業者が、マンション販売の勧誘をするに際し、相手方から購入を希望しない旨の返事があった後に、当該勧誘を継続することは法に違反しない。(R2⑫-40-1)Aは、投資用マンションの販売に際し、電話で勧誘を行ったところ、勧誘の相手方から「購入の意思がないので二度と電話をかけないように」と言われたことから、電話での勧誘を諦め、当該相手方の自宅を訪問して勧誘した。(H30-40-エ)宅地建物取引業者が、その従業者をして宅地の売買の勧誘を行わせたが、相手方が明確に買う意思がない旨を表明した場合、別の従業者をして、再度同じ相手方に勧誘を行わせることは法に違反しない。(H26-41-2)Aの従業者は、マンション建設に必要な甲土地の買受けに当たり、甲土地の所有者に対し、電話により売買の勧誘を行った。その際、売却の意思は一切ない旨を告げられたが、その翌日、再度の勧誘を行った。(H26-43-3) - 違反する。契約の勧誘の際に、相手方の判断に重要な影響を及ぼす事項について、故意に事実を告げないこと、不実(事実でないこと)を告げる行為は、宅建業法で禁止されています(宅建業法47条1項1号)。本肢は、物件の将来の環境や利便について不実告知を行っているのアウトです。
宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の契約の締結について勧誘をするに際し、又はその契約の申込みの撤回若しくは解除若しくは宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため、次のいずれかに該当する事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為
- 違反する。深夜の勧誘や長時間の勧誘など、相手方の私生活や業務の平穏を害する方法で勧誘を行うことは、宅建業法で禁止されています。また、相手方が迷惑と感じる時間に電話や訪問で勧誘することも禁止事項です(宅建業法規則16条の11第1号ホ・ヘ)。
ホ 迷惑を覚えさせるような時間に電話し、又は訪問すること。
ヘ 深夜又は長時間の勧誘その他の私生活又は業務の平穏を害するような方法によりその者を困惑させること。 - 違反しない。令和4年5月より35条書面・37条書面への宅地建物取引士の押印義務は廃止されていて、記名さえ行えば足ります。したがって、押印を省略しても宅建業法違反にはなりません(宅建業法37条3項)。
宅地建物取引業者は、前二項の規定により交付すべき書面を作成したときは、宅地建物取引士をして、当該書面に記名させなければならない。
Aは、37条書面を作成したときは、専任の宅地建物取引士をして37条書面に記名させる必要がある。(R5-43-3)Aが建物の売買契約を成立させた場合においては、37条書面を買主に交付するに当たり、37条書面に記名した宅地建物取引士ではないAの従業者が当該書面を交付することができる。(R2⑫-35-ア)Aが事業用宅地の定期賃貸借契約を公正証書によって成立させた場合においては、公正証書とは別に37条書面を作成し交付するに当たり、契約の当事者が宅地建物取引業者であっても、宅地建物取引士をして37条書面に記名させなければならない。(R2⑫-35-エ)Aは、専任の宅地建物取引士をして、37条書面の内容を当該契約の買主に説明させなければならない。(R2⑩-37-ア)A及びBがともに宅地建物取引業者である場合において、Aは、本件契約の成立後、法第37条の規定により交付すべき書面を作成し、記名は宅地建物取引士ではない者が行い、これをBに交付した。(H30-29-1)宅地建物取引業者である売主Bは、宅地建物取引業者Cの媒介により、宅地建物取引業者ではない買主Dと宅地の売買契約を締結した。Bは、Cと共同で作成した37条書面にCの宅地建物取引士の記名がなされていたため、その書面に、Bの宅地建物取引士をして記名をさせなかった。(H29-40-2)宅地建物取引業者は、宅地建物取引士をして37条書面に記名させなければならないが、当該書面の交付は宅地建物取引士でない従業者に行わせることができる。(H28-30-4)A社は、媒介により建物の貸借の契約を成立させ、37条書面を借主に交付するに当たり、37条書面に記名をした宅地建物取引士が不在であったことから、宅地建物取引士ではない従業員に37条書面を交付させた。(H25-36-3)宅地建物取引業者は、37条書面の作成を宅地建物取引士でない従業者に行わせることができる。(H23-34-2)公正証書によってなされる売買契約の場合には、当該公正証書に宅地建物取引士の記名がなくても、法第35条に規定する書面に宅地建物取引士の記名があれば、当該公正証書をもって37条書面に代えることができる。(H22-37-2)37条書面に記名する宅地建物取引士は、法第35条に規定する書面に記名した宅地建物取引士と同一の者でなければならない。(H22-37-4)法人である宅地建物取引業者が37条書面を作成したときは、必ずその代表者をして、当該書面に記名させなければならない。(H21-35-1)宅地建物取引業者は、自ら売主として締結した建物の売買契約の相手方が宅地建物取引業者であっても、法第37条の規定に基づき交付すべき書面に宅地建物取引士をして記名させなければならない。(H18-36-3)宅地建物取引業者が土地売買における売主の代理として契約書面を作成するに当たっては、専任でない宅地建物取引士が記名してもよい。(H17-40-2)法第37条に規定する契約が成立したときに交付すべき書面を、相手方の承諾を得て、電磁的方法で提供するときには、宅地建物取引士の記名を省略できる。(H15-37-1)法第35条に規定する重要事項を記載した書面には、説明した宅地建物取引士Aが記名をしたが、法第37条に規定する書面には、Aが不在であったため、宅地建物取引士でない従事者Bが、Aの記名を行った。(H14-38-1)
広告
広告