宅建試験過去問題 平成25年試験 問34

問34

宅地建物取引業者A社が、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結した宅地の売買契約について、Bが宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づき、いわゆるクーリング・オフによる契約の解除をする場合における次の記述のうち、正しいものはどれか。
  1. Bは、自ら指定した喫茶店において買受けの申込みをし、契約を締結した。Bが翌日に売買契約の解除を申し出た場合、A社は、既に支払われている手付金及び中間金の全額の返還を拒むことができる。
  2. Bは、月曜日にホテルのロビーにおいて買受けの申込みをし、その際にクーリング・オフについて書面で告げられ、契約を締結した。Bは、翌週の火曜日までであれば、契約の解除をすることができる。
  3. Bは、宅地の売買契約締結後に速やかに建物請負契約を締結したいと考え、自ら指定した宅地建物取引業者であるハウスメーカー(A社より当該宅地の売却について代理又は媒介の依頼は受けていない。)の事務所において買受けの申込みをし、A社と売買契約を締結した。その際、クーリング・オフについてBは書面で告げられた。その6日後、Bが契約の解除の書面をA社に発送した場合、Bは売買契約を解除することができる。
  4. Bは、10区画の宅地を販売するテント張りの案内所において、買受けの申込みをし、2日後、A社の事務所で契約を締結した上で代金全額を支払った。その5日後、Bが、宅地の引渡しを受ける前に契約の解除の書面を送付した場合、A社は代金全額が支払われていることを理由に契約の解除を拒むことができる。

正解 3

問題難易度
肢16.7%
肢216.2%
肢367.6%
肢49.5%

解説

次の条件のいずれかを満たす場合、クーリング・オフによる契約解除はできません。逆を言えば、どれにも該当しなければクーリング・オフできるということです(宅建業法37条の2)。
  1. 宅地建物取引業者の事務所等で買受けの申込みまたは売買契約(事務所等以外の場所で買受けの申込みをした場合を除く)をしている
  2. クーリング・オフについて書面で告げられた日から起算して8日を経過している
  3. 物件の引渡しを受け、かつ、代金全額を支払っている
  4. 買主が宅地建物取引業者である
  1. 誤り。本肢の場合、買受けの申込みをした場所が喫茶店であり、その翌日に解除を申し出ているためクーリング・オフできます。クーリング・オフによる申込撤回の場合、既に支払われている手付金及び中間金の全額の返還を拒むことはできません(宅建業法37条の2第3項)。
    申込みの撤回等が行われた場合においては、宅地建物取引業者は、申込者等に対し、速やかに、買受けの申込み又は売買契約の締結に際し受領した手付金その他の金銭を返還しなければならない。
  2. 誤り。クーリング・オフは書面で告げられた日から起算して8日を経過するまでは可能です。よって、クーリング・オフの期限は翌週の月曜日になります(宅建業法37条の2第1項1号)。
    買受けの申込みをした者又は買主(以下この条において「申込者等」という。)が、国土交通省令・内閣府令の定めるところにより、申込みの撤回等を行うことができる旨及びその申込みの撤回等を行う場合の方法について告げられた場合において、その告げられた日から起算して八日を経過したとき。
  3. [正しい]。当該ハウスメーカーの事務所は、売主Aから代理・媒介の依頼を受けていないためクーリング・オフの適用がある場所です(宅建業法規則第16条の5第1号ハ)。Bは、クーリング・オフについて告げられた日から8日以内に申し出ているためクーリング・オフできます。
    当該宅地建物取引業者が他の宅地建物取引業者に対し、宅地又は建物の売却について代理又は媒介の依頼をした場合にあつては、代理又は媒介の依頼を受けた他の宅地建物取引業者の事務所又は事務所以外の場所で継続的に業務を行うことができる施設を有するもの
  4. 誤り。テント張りの案内所はクーリング・オフの適用がある場所です。クーリング・オフ可能な期間内であっても、代金全額を支払い、かつ、引渡しを受けた場合には契約解除できませんが、本肢は、引渡しを受ける前なのでクーリング・オフできます(宅建業法37条の2第1項2号)。なお、契約の解除の書面を送付したのは買受けの申込みから「2日+5日=7日後」ですので有効な期間内です。
    申込者等が、当該宅地又は建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払つたとき。
したがって正しい記述は[3]です。