37条書面(全37問中28問目)

No.28

宅地建物取引業法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において、「35条書面」とは、同法第35条の規定に基づく重要事項を記載した書面を、「37条書面」とは、同法第37条の規定に基づく契約の内容を記載した書面をいうものとする。
平成23年試験 問34
  1. 宅地建物取引業者は、抵当権に基づく差押えの登記がされている建物の貸借の媒介をするにあたり、貸主から当該登記について告げられなかった場合でも、35条書面及び37条書面に当該登記について記載しなければならない。
  2. 宅地建物取引業者は、37条書面の作成を宅地建物取引士でない従業者に行わせることができる。
  3. 宅地建物取引業者は、その媒介により建物の貸借の契約が成立した場合、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときには、その内容を37条書面に記載しなければならない。
  4. 37条書面に記名する宅地建物取引士は、35条書面に記名した宅地建物取引士と必ずしも同じ者である必要はない。

正解 1

問題難易度
肢168.7%
肢214.1%
肢311.6%
肢45.6%

解説

  1. [誤り]。取引対象の物件に関して不動産登記された権利がある場合、取引態様を問わず、その権利の種類、内容、所有者の氏名が、35条書面の記載事項となります(宅建業法35条1項1号)。しかし、これは37条書面の記載事項ではありません。
    宅地の売買の媒介を行う場合、登記された抵当権について、引渡しまでに抹消される場合は説明しなくてよい。R1-39-2
    宅地建物取引業者は、中古マンションの売買を行う場合、抵当権が設定されているときは、契約日までにその登記が抹消される予定であっても、当該抵当権の内容について説明しなければならない。H26-35-2
    宅地建物取引業者は、抵当権に基づく差押えの登記がされている建物の賃貸借を媒介するに当たり、貸主から当該建物の差押えを告げられなかった場合は、法第35条に基づき借主に対して当該建物の上に存する登記の内容を説明する義務はない。H15-37-4
    マンションの所有者についての登記名義人は説明したが、当該マンションに係る登記されている抵当権については説明しなかった。H13-36-1
  2. 正しい。37条書面への記名は、宅地建物取引士がしなければなりませんが、作成と交付は資格を有しない従業者でも行うことができます(宅建業法37条3項)。
    Aは、Jとの間でJが所有する戸建住宅を買い取る売買契約を締結し、法第37条の規定に基づく書面をJに交付したが、Aの宅地建物取引士に、当該書面に記名のみさせ、押印させることを省略した。R5-28-エ
    Aは、37条書面を作成したときは、専任の宅地建物取引士をして37条書面に記名させる必要がある。R5-43-3
    Aが建物の売買契約を成立させた場合においては、37条書面を買主に交付するに当たり、37条書面に記名した宅地建物取引士ではないAの従業者が当該書面を交付することができる。R2⑫-35-ア
    Aが事業用宅地の定期賃貸借契約を公正証書によって成立させた場合においては、公正証書とは別に37条書面を作成し交付するに当たり、契約の当事者が宅地建物取引業者であっても、宅地建物取引士をして37条書面に記名させなければならない。R2⑫-35-エ
    Aは、専任の宅地建物取引士をして、37条書面の内容を当該契約の買主に説明させなければならない。R2⑩-37-ア
    A及びBがともに宅地建物取引業者である場合において、Aは、本件契約の成立後、法第37条の規定により交付すべき書面を作成し、記名は宅地建物取引士ではない者が行い、これをBに交付した。H30-29-1
    宅地建物取引業者である売主Bは、宅地建物取引業者Cの媒介により、宅地建物取引業者ではない買主Dと宅地の売買契約を締結した。Bは、Cと共同で作成した37条書面にCの宅地建物取引士の記名がなされていたため、その書面に、Bの宅地建物取引士をして記名をさせなかった。H29-40-2
    宅地建物取引業者は、宅地建物取引士をして37条書面に記名させなければならないが、当該書面の交付は宅地建物取引士でない従業者に行わせることができる。H28-30-4
    A社は、媒介により建物の貸借の契約を成立させ、37条書面を借主に交付するに当たり、37条書面に記名をした宅地建物取引士が不在であったことから、宅地建物取引士ではない従業員に37条書面を交付させた。H25-36-3
    公正証書によってなされる売買契約の場合には、当該公正証書に宅地建物取引士の記名がなくても、法第35条に規定する書面に宅地建物取引士の記名があれば、当該公正証書をもって37条書面に代えることができる。H22-37-2
    37条書面に記名する宅地建物取引士は、法第35条に規定する書面に記名した宅地建物取引士と同一の者でなければならない。H22-37-4
    法人である宅地建物取引業者が37条書面を作成したときは、必ずその代表者をして、当該書面に記名させなければならない。H21-35-1
    宅地建物取引業者は、自ら売主として締結した建物の売買契約の相手方が宅地建物取引業者であっても、法第37条の規定に基づき交付すべき書面に宅地建物取引士をして記名させなければならない。H18-36-3
    宅地建物取引業者が土地売買における売主の代理として契約書面を作成するに当たっては、専任でない宅地建物取引士が記名してもよい。H17-40-2
    法第37条に規定する契約が成立したときに交付すべき書面を、相手方の承諾を得て、電磁的方法で提供するときには、宅地建物取引士の記名を省略できる。H15-37-1
    法第35条に規定する重要事項を記載した書面には、説明した宅地建物取引士Aが記名をしたが、法第37条に規定する書面には、Aが不在であったため、宅地建物取引士でない従事者Bが、Aの記名を行った。H14-38-1
  3. 正しい。天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、取引態様を問わず、その内容を37条書面に記載しなければなりません(宅建業法37条2項1号)。
    既存住宅の貸借の媒介を行う宅地建物取引業者は、宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面に建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項を記載しなければならない。R5-27-4
    宅地建物取引業者は、その媒介により建物の貸借の契約を成立させた場合において、借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額や当該金銭の授受の時期だけでなく、当該金銭の授受の目的についても37条書面に記載し、当該契約の各当事者に交付しなければならない。R3⑫-26-3
    Aは、自ら貸主として、Gと事業用建物の定期賃貸借契約を締結した。この場合において、借賃の支払方法についての定めがあるときは、Aはその内容を37条書面に記載しなければならず、Gに対して当該書面を交付しなければならない。R3⑫-40-4
    借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的R3⑫-42-ア
    契約の解除に関する定めがあるときは、その内容R3⑫-42-ウ
    天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容R3⑫-42-エ
    Aが媒介により建物の貸借の契約を成立させたときは、37条書面に借賃の額並びにその支払の時期及び方法を記載しなければならず、また、当該書面を契約の各当事者に交付しなければならない。R2⑩-33-1
    Aが媒介により宅地の貸借の契約を成立させた場合において、当該宅地の引渡しの時期について重要事項説明書に記載して説明を行ったときは、その内容を37条書面に記載する必要はない。R2⑩-33-2
    借賃の支払方法が定められていても、貸主及び借主の承諾を得たときは、37条書面に記載しなくてよい。H28-39-3
    宅地建物取引業者でない買主Bが、法第37条の2の規定に基づくクーリング・オフについてAより書面で告げられた日から7日目にクーリング・オフによる契約の解除の書面を発送し、9日目にAに到着した場合は、クーリング・オフによる契約の解除をすることができない。H27-39-1
    借賃の額並びにその支払の時期及び方法H25-35-ウ
    借賃以外の金銭の授受の方法H25-35-e
    当該建物が種類若しくは品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任についての定めがあるときは、その内容H18-37-ア
    居住用建物の賃貸借契約において、貸主には代理の宅地建物取引業者Aが、借主には媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者Bがおり、Bが契約書面を作成したときは、借主及びAに契約書面を交付すればよい。H17-40-3
    貸主である宅地建物取引業者Cが、宅地建物取引業者Dの媒介により借主と事業用建物の賃貸借契約を締結するに当たって、Dが作成・交付した契約書面に法第37条違反があった。この場合、Dのみが監督処分及び罰則の対象となる。H17-40-4
    建物の賃貸借契約において、宅地建物取引業者(管理業務受託)が貸主代理として借主と契約締結した場合、法第37条に規定する契約が成立したときに交付すべき書面は、借主にのみ交付すれば足りる。H15-37-2
  4. 正しい。35条書面と37条書面には、いずれも宅地建物取引士が記名する必要があります。この記名をするのは宅地建物取引士であればよいので、同じ人物でなくても問題ありません。
したがって誤っている記述は[1]です。