宅建試験過去問題 平成28年試験 問40

問40

宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、甲県に本店と支店を設け、営業保証金として1,000万円の金銭と額面金額500万円の国債証券を供託し、営業している。この場合に関する次の記述のうち宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. Aは、本店を移転したため、その最寄りの供託所が変更した場合は、遅滞なく、移転後の本店の最寄りの供託所に新たに営業保証金を供託しなければならない。
  2. Aは、営業保証金が還付され、営業保証金の不足額を供託したときは、供託書の写しを添附して、30日以内にその旨を甲県知事に届け出なければならない。
  3. 本店でAと宅地建物取引業に関する取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、1,000万円を限度としてAからその債権の弁済を受ける権利を有する。
  4. Aは、本店を移転したため、その最寄りの供託所が変更した場合において、従前の営業保証金を取りもどすときは、営業保証金の還付を請求する権利を有する者に対し、一定期間内に申し出るべき旨の公告をしなければならない。

正解 1

問題難易度
肢164.5%
肢211.4%
肢35.4%
肢418.7%

解説

  1. [正しい]。本店最寄りの供託所が変更になった場合には、営業保証金を移転後の本店の最寄りの供託所に移さなければなりませんが、従前の供託所への供託に有価証券が含まれていたか否かによってその方法が異なります。
    金銭のみの場合
    前の供託所に対して、新しい供託所への保管替えを請求する。
    有価証券が含まれる場合
    新しい供託所に新たに営業保証金を供託した後で、前の供託所に対して営業保証金の還付請求を行う。
    本肢では「金銭と国債」で供託しているため、営業保証金を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託しなければなりません(宅建業法29条1項)。
    宅地建物取引業者は、その主たる事務所を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合において、金銭のみをもつて営業保証金を供託しているときは、法務省令・国土交通省令の定めるところにより、遅滞なく、費用を予納して、営業保証金を供託している供託所に対し、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への営業保証金の保管替えを請求し、その他のときは、遅滞なく、営業保証金を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託しなければならない。
  2. 誤り。宅建業者は、営業保証金の不足額を供託したときは、供託書の写しを添附して、2週間以内に免許権者に届け出る必要があります(宅建業法28条2項)。
    宅地建物取引業者は、前項の規定により営業保証金を供託したときは、その供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、二週間以内に、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
  3. 誤り。本肢は「1,000万円」とする点が不適切です。取引した場所(本店・支店)にかかわらず、営業保証金全額の1,500万円を限度として弁済を受ける権利を有しています(宅建業法27条1項)。
    宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者(宅地建物取引業者に該当する者を除く。)は、その取引により生じた債権に関し、宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する。
  4. 誤り。本店の移転により最寄りの供託所が変更になった場合には従前の営業保証金を取りもどすときの公告は不要です(宅建業法30条2項)。
    また、「営業保証金を取り戻すことができる事由の発生から10年を経過したとき」及び「保証協会の社員となった場合(宅建業法64条の14)」にも公告不要と定められています。
    前項の営業保証金の取りもどし(前条第一項の規定により供託した場合における移転前の主たる事務所のもよりの供託所に供託した営業保証金の取りもどしを除く。)は、当該営業保証金につき第二十七条第一項の権利を有する者に対し、六月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかつた場合でなければ、これをすることができない。ただし、営業保証金を取りもどすことができる事由が発生した時から十年を経過したときは、この限りでない。
    宅地建物取引業者は、前条の規定により営業保証金を供託することを要しなくなつたときは、供託した営業保証金を取りもどすことができる。
    2 第三十条第三項の規定は、前項の規定により営業保証金を取りもどす場合に準用する。
したがって正しい記述は[1]です。