宅建試験過去問題 平成15年試験 問34

問34

宅地建物取引業者A(甲県知事免許)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。なお、本店と支店とは、もよりの供託所を異にする。
  1. Aは、1棟50戸のマンションの分譲を行う案内所を甲県内に設置し、その旨を甲県知事に届け出た後、営業保証金を追加して供託せずに当該案内所において分譲を開始した。
  2. Aは、甲県内に1つの支店を新設したので、1週間後に営業保証金として500万円を当該支店のもよりの供託所に供託した。
  3. Aは、甲県内に2つの支店を新設し、本店のもよりの供託所に1,000万円を供託し、営業を開始した後、営業保証金を供託した旨を甲県知事に届け出た。
  4. Aは、支店を廃止したため、Aの営業保証金につき、Aとの宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者は3カ月以内に申し出るべき旨の公告をしたが、申出がなかったので、営業保証金を取り戻した。

正解 1

問題難易度
肢163.2%
肢210.3%
肢313.0%
肢413.5%

解説

  1. [違反しない]。営業保証金は事務所(本店・支店)ごとに必要であり、案内所では不要です。よって、営業保証金を追加供託せずに当該案内所において分譲を開始しても違反ではありません(宅建業法25条2項)。
    前項の営業保証金の額は、主たる事務所及びその他の事務所ごとに、宅地建物取引業者の取引の実情及びその取引の相手方の利益の保護を考慮して、政令で定める額とする。
    AとBが、それぞれ主たる事務所のほかに3か所の従たる事務所を有している場合、Aは営業保証金として2,500万円の供託を、Bは弁済業務保証金分担金として150万円の納付をしなければならない。H27-42-3
    Aは、マンション3棟を分譲するための現地出張所を甲県内に設置した場合、営業保証金を追加して供託しなければ、当該出張所でマンションの売買契約を締結することはできない。H19-37-3
  2. 違反する。支店を新設する場合、営業保証金は当該支店のもよりの供託所ではなく、本店のもよりの供託所に供託する必要があります(宅建業法25条1項)よって、本肢の行為は宅建業法違反となります。
    宅地建物取引業者は、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。
    Aは甲県内にある主たる事務所とは別に、乙県内に新たに従たる事務所を設置したときは、営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。R6-27-4
    宅地建物取引業者は、事業の開始後、新たに従たる事務所を設置したときは、その従たる事務所の最寄りの供託所に政令で定める額の営業保証金を供託し、その旨を免許権者に届け出なければならない。R2⑫-33-1
    宅地建物取引業者は、事業の開始後新たに従たる事務所を設置したときは、その従たる事務所の最寄りの供託所に政令で定める額を供託し、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。H26-29-3
    A社は、営業保証金を本店及び支店ごとにそれぞれ最寄りの供託所に供託しなければならない。H24-33-2
    Aは、営業保証金を主たる事務所又はその他の事務所のいずれかの最寄りの供託所に供託することができる。H21-30-1
    宅地建物取引業者は、事業の開始後新たに支店を設置したときは、その支店の最寄りの供託所に政令で定める額を供託し、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。H18-34-2
  3. 違反する。支店新設時の順序としては、営業保証金の供託、免許権者への届出、営業開始となります(宅建業法25条4項宅建業法25条5項)。本肢は、免許権者への届出前に営業を開始しているので宅建業法違反となります。
    宅地建物取引業者は、営業保証金を供託したときは、その供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
    宅地建物取引業者は、前項の規定による届出をした後でなければ、その事業を開始してはならない。
    Aは、営業保証金を供託したときは、その供託物受入れの記載のある供託書の写しを添付して、その旨を甲県知事に届け出なければならず、当該届出をした後でなければ、その事業を開始することができない。R5-30-イ
    国土交通大臣から免許を受けた宅地建物取引業者が、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託した場合、当該供託所から国土交通大臣にその旨が通知されるため、当該宅地建物取引業者は国土交通大臣にその旨を届け出る必要はない。R3⑩-34-1
    宅地建物取引業者は、宅地建物取引業の開始後1週間以内に、供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、営業保証金を供託した旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。H30-43-3
    宅地建物取引業者は、事業の開始後新たに事務所を設置するため営業保証金を供託したときは、供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。H29-32-2
    Aが営業保証金を供託した旨は、供託所から国土交通大臣あてに通知されることから、Aがその旨を直接国土交通大臣に届け出る必要はない。H21-30-2
  4. 違反する。営業保証金の取戻しに際して行う公告では、債権者が申し出る期間を少なくとも6カ月以上にしなければなりません(宅建業法30条2項)。本肢は「3か月」としているので、宅建業法違反となります。
    前項の営業保証金の取りもどし(前条第一項の規定により供託した場合における移転前の主たる事務所のもよりの供託所に供託した営業保証金の取りもどしを除く。)は、当該営業保証金につき第二十七条第一項の権利を有する者に対し、六月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかつた場合でなければ、これをすることができない。ただし、営業保証金を取りもどすことができる事由が発生した時から十年を経過したときは、この限りでない。
    宅地建物取引業者は、一部の事務所を廃止し営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を請求する権利を有する者に対し、公告をすることなく営業保証金を取り戻すことができる。R6-36-4
    Aが免許失効に伴い営業保証金を取り戻す際、供託した営業保証金につき還付を受ける権利を有する者に対し、3か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、期間内にその申出がなかった場合でなければ、取り戻すことができない。R5-30-エ
    宅地建物取引業者は、免許の有効期間満了に伴い営業保証金を取り戻す場合は、還付請求権者に対する公告をすることなく、営業保証金を取り戻すことができる。R2⑫-33-3
    宅地建物取引業者は、一部の事務所を廃止し営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を請求する権利を有する者に対し、6月以上の期間を定めて申し出るべき旨の公告をしなければならない。H29-32-3
    Aは、本店を移転したため、その最寄りの供託所が変更した場合において、従前の営業保証金を取りもどすときは、営業保証金の還付を請求する権利を有する者に対し、一定期間内に申し出るべき旨の公告をしなければならない。H28-40-4
    一部の事務所を廃止した場合において、営業保証金又は弁済業務保証金を取り戻すときは、A、Bはそれぞれ還付を請求する権利を有する者に対して6か月以内に申し出るべき旨を官報に公告しなければならない。H27-42-2
    A社は、宅地建物取引業の廃業により営業保証金を取り戻すときは、営業保証金の還付を請求する権利を有する者(以下この問において「還付請求権者」という。)に対して公告しなければならないが、支店の廃止により営業保証金を取り戻すときは、還付請求権者に対して公告する必要はない。H23-30-3
    A社は、宅地建物取引業の廃業によりその免許が効力を失い、その後に自らを売主とする取引が結了した場合、廃業の日から10年経過していれば、還付請求権者に対して公告することなく営業保証金を取り戻すことができる。H23-30-4
    宅地建物取引業者は、免許の有効期間満了に伴い営業保証金を取り戻す場合は、還付請求権者に対する公告をすることなく、営業保証金を取り戻すことができる。H22-31-2
    宅地建物取引業者は、一部の支店を廃止したことにより、営業保証金の額が政令で定める額を超えた場合は、還付請求権者に対し所定の期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかったときに、その超過額を取り戻すことができる。H22-31-3
    Aが2つの支店を廃止し、その旨の届出をしたときは、営業保証金の額が政令で定める額を超えることとなるので、その超過額1,000万円について公告をせずに直ちに取り戻すことができる。H16-35-2
したがって違反しないものは[1]です。