国土利用計画法(全23問中1問目)

No.1

土地を取得する場合における届出に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問において「事後届出」とは、国土利用計画法第23条の届出をいい、「重要土地等調査法」とは、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律をいうものとする。
令和5年試験 問22
  1. 都市計画区域外において、国から一団の土地である6,000㎡と5,000㎡の土地を購入した者は、事後届出を行う必要はない。
  2. 市街化区域を除く都市計画区域内において、Aが所有する7,000㎡の土地をBが相続により取得した場合、Bは事後届出を行う必要がある。
  3. 市街化区域において、Cが所有する3,000㎡の土地をDが購入する契約を締結した場合、C及びDは事後届出を行わなければならない。
  4. 重要土地等調査法の規定による特別注視区域内にある100㎡の規模の土地に関する所有権又はその取得を目的とする権利の移転をする契約を締結する場合には、当事者は、一定の事項を、あらかじめ、内閣総理大臣に届け出なければならない。

正解 1

問題難易度
肢168.1%
肢29.6%
肢39.4%
肢412.9%

解説

  1. [正しい]。契約当事者の一方又は双方が、国、地方公共団体その他政令で定める法人である場合には、事後届出は不要となります(国土利用計画法23条2項3号)。よって、売主が国である本肢のケースは、事後届出を行う必要はありません。
    前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する場合には、適用しない。

    三 前二号に定めるもののほか、民事調停法による調停に基づく場合、当事者の一方又は双方が国等である場合その他政令で定める場合
    都市計画区域外において、A市が所有する面積15,000㎡の土地を宅地建物取引業者Bが購入した場合、Bは事後届出を行わなければならない。R4-22-1
    国が所有する市街化区域内の一団の土地である1,500㎡の土地と500㎡の土地を個人Aが購入する契約を締結した場合、Aは事後届出を行う必要がある。R2⑫-22-3
    乙県が所有する都市計画区域内の土地(面積6,000㎡)を買い受けた者は、売買契約を締結した日から起算して2週間以内に、事後届出を行わなければならない。H30-15-2
    市街化調整区域に所在する農地法第3条1項の許可を受けた面積6,000㎡の農地を購入したAは、事後届出を行わなければならない。H27-21-3
    国土利用計画法によれば、甲県が所有する都市計画区域内の7,000平方メートルの土地を甲県から買い受けた者は、事後届出を行う必要はない。H25-22-2
    C及びDが、E市が所有する都市計画区域外の24,000平方メートルの土地について共有持分50%ずつと定めて共同で購入した場合、C及びDは、それぞれ事後届出を行わなければならない。H24-15-3
    乙市が所有する市街化調整区域内の10,000平方メートルの土地と丙市が所有する市街化区域内の2,500平方メートルの土地について、宅地建物取引業者Dが購入する契約を締結した場合、Dは事後届出を行う必要はない。H22-15-3
    甲市が所有する市街化調整区域内の12,000平方メートルの土地について、宅地建物取引業者Cが購入する契約を締結した場合、Cは、その契約を締結した日から起算して2週間以内に事後届出を行わなければならない。H20-17-2
    Cは、市街化調整区域において、Dの所有する面積8,000㎡の土地を民事調停法に基づく調停により取得し、その後当該土地をEに売却したが、この場合、CとEはいずれも事後届出を行う必要はない。H17-17-2
    甲県が所有する都市計画区域外に所在する面積12,000㎡の土地について、10,000㎡をFに、2,000㎡をGに売却する契約を、甲県がそれぞれF、Gと締結した場合、FとGのいずれも事後届出を行う必要はない。H17-17-3
    Dが所有する市街化調整区域に所在する面積4,000㎡の農地をEに売却する契約を、農地法第5条の許可を停止条件としてDとEが締結した場合、Eは事後届出を行う必要がある。H15-16-2
    甲市が所有する市街化区域に所在する面積3,000㎡の土地をIに売却する契約を、甲市とIが締結した場合、Iは事後届出を行う必要がある。H15-16-4
  2. 誤り。事後届出の対象となる土地取引とは、契約性・権利性・対価性を満たすものです(国土利用計画法14条1項)。相続による取得には契約性・対価性がないので、土地の面積にかかわらず事後届出は不要です。似た論点として贈与も事後届出が不要なので覚えておきしょう。
    1. 権利の設定、権利の移動があること(権利性)
    2. 対価の授受があること(対価性)
    3. 契約によって行われること(契約性)
    土地に関する所有権若しくは地上権その他の政令で定める使用及び収益を目的とする権利又はこれらの権利の取得を目的とする権利(以下「土地に関する権利」という。)の移転又は設定(対価を得て行われる移転又は設定に限る。以下同じ。)をする契約(予約を含む。以下「土地売買等の契約」という。)
    個人Aが所有する都市計画区域外の12,000㎡の土地に、個人Bが地上権の設定を受ける契約を締結した場合、Bは一定の場合を除き事後届出を行う必要がある。R3⑫-22-1
    都市計画区域外においてAが所有する面積12,000㎡の土地について、Aの死亡により当該土地を相続したBは、事後届出を行う必要はない。H27-21-1
    個人Fが所有する都市計画区域外の30,000平方メートルの土地について、その子Gが相続した場合、Gは、相続した日から起算して2週間以内に事後届出を行わなければならない。H20-17-4
    Fが所有する市街化区域内に所在する面積4,500㎡の甲地とGが所有する市街化調整区域内に所在する面積5,500㎡の乙地を金銭の授受を伴わずに交換する契約を締結した場合、F、Gともに事後届出をする必要がある。H16-16-4
  3. 誤り。Cは事後届出の義務者ではありません。事後届出を行う義務があるのは土地の権利を取得する契約をした者です。市街化区域では2,000㎡以上の土地が事後届出の対象なので、3,000㎡の土地を購入するDが、契約日から2週間以内に事後届出を行う必要があります(国土利用計画法23条1項)。
    土地売買等の契約を締結した場合には、当事者のうち当該土地売買等の契約により土地に関する権利の移転又は設定を受けることとなる者(次項において「権利取得者」という。)は、その契約を締結した日から起算して二週間以内に、次に掲げる事項を、国土交通省令で定めるところにより、当該土地が所在する市町村の長を経由して、都道府県知事に届け出なければならない。
    事後届出において、土地売買等の契約に係る土地の土地に関する権利の移転又は設定の対価の額については届出事項ではない。R4-22-2
    土地売買等の契約を締結した場合には、当事者のうち当該契約による権利取得者は、その契約を締結した日の翌日から起算して3週間以内に、事後届出を行わなければならない。R3⑩-22-1
    Eが所有する市街化区域内の2,000㎡の土地をFが購入した場合、Fは当該土地の所有権移転登記を完了した日から起算して2週間以内に事後届出を行う必要がある。R2⑩-22-2
    指定都市(地方自治法に基づく指定都市をいう。)の区域以外に所在する土地について、事後届出を行うに当たっては、市町村の長を経由しないで、直接都道府県知事に届け出なければならない。H30-15-3
    国土利用計画法によれば、市街化区域内の3,000㎡の土地を贈与により取得した者は、2週間以内に、都道府県知事(地方自治法に基づく指定都市にあっては、当該指定都市の長)に届け出なければならない。H29-22-2
    市街化区域内の土地(面積2,500㎡)を購入する契約を締結した者は、その契約を締結した日から起算して3週間以内に事後届出を行わなければならない。H28-15-1
    国土利用計画法によれば、同法第23条の届出に当たっては、土地売買等の対価の額についても都道府県知事(地方自治法に基づく指定都市にあっては、当該指定都市の長)に届け出なければならない。H26-22-1
    土地売買等の契約による権利取得者が事後届出を行う場合において、当該土地に関する権利の移転の対価が金銭以外のものであるときは、当該権利取得者は、当該対価を時価を基準として金銭に見積もった額に換算して、届出書に記載しなければならない。H24-15-1
    宅地建物取引業者Aが、自ら所有する市街化区域内の5,000平方メートルの土地について、宅地建物取引業者Bに売却する契約を締結した場合、Bが契約締結日から起算して2週間以内に事後届出を行わなかったときは、A及びBは6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる場合がある。H22-15-1
    事後届出が必要な土地売買等の契約により権利取得者となった者は、その契約の締結後、1週間以内であれば市町村長を経由して、1週間を超えた場合には直接、都道府県知事に事後届出を行わなければならない。H19-17-4
    土地売買等の契約を締結した場合には、当事者のうち当該契約による権利取得者は、その契約に係る土地の登記を完了した日から起算して2週間以内に、事後届出を行わなければならない。H18-17-1
    事後届出においては、土地の所有権移転後における土地利用目的について届け出ることとされているが、土地の売買価額については届け出る必要はない。H16-16-2
    土地を交換する契約を締結した場合、金銭の授受がなければ、事後届出が必要となることはない。H12-16-1
    停止条件付きの土地売買等の契約を締結した場合には、停止条件が成就した日から起算して2週間以内に事後届出をしなければならない。H12-16-3
  4. 誤り。100㎡の規模なので届出は不要です。重要土地等調査法は令和4年9月に施行された法律で、防衛上重要な施設※1の周辺の土地や国境離島等※2について、それらの機能を阻害する土地等の利用を防止することを目的とした法律です。重要土地等調査法の特別注視区域内に所在する200㎡以上の土地・建物の所有権を取得する契約をする場合、当事者(売主・買主の両者)は、あらかじめ内閣総理大臣に届け出なければなりません(重要土地等調査法13条1項)。
    ※1 防衛関係施設、海上保安庁の施設及び生活関連施設
    ※2 国境離島や有人国境離島地域を構成する離島の区域
    特別注視区域内にある土地等(その面積(建物にあっては、床面積。第二号において同じ。)が二百平方メートルを下回らない範囲内で政令で定める規模未満の土地等を除く。以下この項及び第三項において同じ。)に関する所有権又はその取得を目的とする権利(以下この項において「所有権等」という。)の移転又は設定をする契約(予約を含み、当該契約に係る土地等に関する所有権等の移転又は設定を受ける者が国、地方公共団体その他政令で定める者である契約その他当該契約による土地等に関する所有権等の移転又は設定後における当該土地等が特定重要施設の施設機能又は特定国境離島等の離島機能を阻害する行為の用に供されるおそれが少ないものとして政令で定める契約を除く。以下この条及び第二十六条第一号において「土地等売買等契約」という。)を締結する場合には、当事者は、次に掲げる事項を、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ、内閣総理大臣に届け出なければならない。
    【参考】
    重要土地等調査法では注視区域と特別注視区域という2つの区域を指定することができます。
    注視区域
    • 土地等の利用状況について調査が行われ、必要な情報提供や報告を求めることができる
    • 機能を阻害する行為が行われ、または行われるおそれがあるときは必要な措置をとるよう勧告・命令できる
    • 勧告等に係る措置をとることで著しい支障が来たすときは、土地の所有者は国に買取りを申し出ることができる
    特別注視区域
    • 注視区域のうち特に重要な施設等がある場合に指定される
    • 区域内で面積が200㎡以上の土地や建物の所有権の移転をする契約をする場合、事前届出が必要となる
    • 事前届出が不要となる調停・和解・強制執行・競売で取得した場合、事後届出が必要となる
したがって正しい記述は[1]です。