宅建試験過去問題 令和2年12月試験 問22

問22

国土利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市にあってはその長をいうものとする。
  1. 都道府県知事は、事後届出に係る土地の利用目的及び対価の額について、届出をした宅地建物取引業者に対し勧告することができ、都道府県知事から勧告を受けた当該業者が勧告に従わなかった場合、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。
  2. 事後届出が必要な土地売買等の契約により権利取得者となった者が事後届出を行わなかった場合、都道府県知事から当該届出を行うよう勧告されるが、罰則の適用はない。
  3. 国が所有する市街化区域内の一団の土地である1,500㎡の土地と500㎡の土地を個人Aが購入する契約を締結した場合、Aは事後届出を行う必要がある。
  4. 個人Bが所有する都市計画区域外の11,000㎡の土地について、個人CがBとの間で対価を支払って地上権設定契約を締結した場合、Cは事後届出を行う必要がある。

正解 4

問題難易度
肢125.0%
肢217.6%
肢36.6%
肢450.8%

解説

  1. 誤り。都道府県知事は、事後届出があった場合、その届出から3週間以内に、届出者に対して「土地の利用目的を変更すべきこと」を勧告することができます。「対価の額」は監視区域または注視区域に係る事届出では勧告の対象となり得ますが、事届出では勧告の対象となることはありません(国土利用計画法24条1項)。なお、本肢後半の部分の、勧告に従わなかった場合に、その旨及びその勧告の内容を公表することができるという説明は適切です(国土利用計画法26条)。
    都道府県知事は、前条第一項の規定による届出があつた場合において、その届出に係る土地に関する権利の移転又は設定後における土地の利用目的に従つた土地利用が土地利用基本計画その他の土地利用に関する計画(国土交通省令で定めるところにより、公表されているものに限る。)に適合せず、当該土地を含む周辺の地域の適正かつ合理的な土地利用を図るために著しい支障があると認めるときは、土地利用審査会の意見を聴いて、その届出をした者に対し、その届出に係る土地の利用目的について必要な変更をすべきことを勧告することができる。
    都道府県知事は、第二十四条第一項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。
  2. 誤り。事後届出を怠った場合、国土利用計画法違反となり、都道府県知事からの勧告手続きを経ることなく即座に罰則(6カ月以下の懲役または100万円以下の罰金)が適用されます(国土利用計画法47条1号)。
    次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
    一 第二十三条第一項又は第二十九条第一項の規定に違反して、届出をしなかつた者
  3. 誤り。契約当事者の一方又は双方が、国、地方公共団体その他政令で定める法人である場合には、事後届出は不要となります(国土利用計画法23条2項3号)。よって、売主が国である本肢のケースは、事後届出を行う必要はありません。
  4. [正しい]。対価を伴う地上権の設定契約は、権利性・対価性・契約性があるので事後届出の対象取引です。都市計画区域外では10,000㎡以上の場合に事後届出をしなければならないので、Cは事後届出を行う必要があります。
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したがって正しい記述は[4]です。