宅建試験過去問題 令和5年試験 問40

問40

宅地建物取引業者Aが、BからB所有の中古住宅の売却の依頼を受け、専任媒介契約(専属専任媒介契約ではないものとする。)を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. Aは、当該中古住宅について購入の申込みがあったときは、遅滞なく、その旨をBに報告しなければならないが、Bの希望条件を満たさない申込みだとAが判断した場合については報告する必要はない。
  2. Aは、法第34条の2第1項の規定に基づく書面の交付後、速やかに、Bに対し、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施する者のあっせんの有無について確認しなければならない。
  3. Aは、当該中古住宅について法で規定されている事項を、契約締結の日から休業日数を含め7日以内に指定流通機構へ登録する義務がある。
  4. Aは、Bが他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買の契約を成立させたときの措置を法第34条の2第1項の規定に基づく書面に記載しなければならない。

正解 4

問題難易度
肢13.2%
肢210.8%
肢313.8%
肢472.2%

解説

  1. 誤り。申込みがあったときに報告しなければ違反となります。媒介契約で物件の売買等の申込みがあった場合には、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の別にかかわらず、その旨を依頼者に報告しなければなりません(宅建業法34条の2第8項)。当然のことといえるかもしれませんが、業界では契約金額を高めたり両手媒介にしたりして報酬を引き上げるために、申込みを伝えない行為が横行していたことから法で規制されるに至っています。
    媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、当該媒介契約の目的物である宅地又は建物の売買又は交換の申込みがあつたときは、遅滞なく、その旨を依頼者に報告しなければならない。
    宅地建物取引業者が、宅地の売却の依頼者と媒介契約を締結した場合、当該宅地の購入の申込みがあったときは、売却の依頼者が宅地建物取引業者であっても、遅滞なく、その旨を当該依頼者に報告しなければならない。H30-28-エ
  2. 誤り。媒介契約書には、建物状況調査を実施する者のあっせんの有無を記載しなければなりません(解釈運用-第34条の2関係)。書面の交付時点においてあっせんの有無が明らかになっている必要がありますから、書面の交付後に有無を確認するのでは遅いです。
    宅地建物取引業者は、媒介契約を締結するときは、媒介契約書に「建物状況調査を実施する者のあっせんの有無」について記載することとする。
  3. 誤り。休業日数は含みません。専任媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、契約締結の日から7日以内(休業日を除く)に一定の事項を指定流通機構に登録しなければいけません(宅建業法規則15条の10)。
    法第三十四条の二第五項の国土交通省令で定める期間は、専任媒介契約の締結の日から七日(専属専任媒介契約にあつては、五日)とする。
    2 前項の期間の計算については、休業日数は算入しないものとする。
    Aは、専任媒介契約の締結の日から7日以内に所定の事項を指定流通機構に登録しなければならないが、その期間の計算については、休業日数を算入しなければならない。R1-31-ア
    Aは、Bとの間で専属専任媒介契約を締結した場合、当該媒介契約締結日から7日以内(休業日を含まない。)に、指定流通機構に甲住宅の所在等を登録しなければならない。H30-33-2
    Aは、宅地建物取引業者でないEから宅地の売却についての依頼を受け、専属専任媒介契約を締結したときは、当該宅地について法で規定されている事項を、契約締結の日から休業日数を含め5日以内に指定流通機構へ登録する義務がある。H28-41-4
    Aは契約の相手方を探索するため、当該宅地に関する所定の事項を媒介契約締結日から7日(休業日を含む。)以内に指定流通機構に登録する必要がある。H15-43-3
    AB間の媒介契約が専任媒介契約である場合、Aは契約の相手方を探すため、当該物件につき必要な事項を、媒介契約締結の日から休業日数を除き7日以内(専属専任媒介契約の場合は5日以内)に指定流通機構に登録しなければならない。H13-38-2
  4. [正しい]。専任媒介契約は1つの宅地建物取引業者に限定して媒介を依頼する契約で、他の業者に重ねて依頼をすることは禁止されます。依頼者が、他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買・交換の契約を成立させる行為はこの契約の主旨に違反する行動ですので、専任媒介契約ではこの違反行為があったときの措置を契約書に記載することになっています(宅建業法規則15条の9第1号)。
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    専任媒介契約にあつては、依頼者が他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によつて売買又は交換の契約を成立させたときの措置
    Bが宅地建物取引業者である場合は、当該契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を、法第34条の2第1項に規定する書面に記載する必要はない。R6-32-2
    AがBとの間で一般媒介契約を締結し、当該契約において、Bが他の宅地建物取引業者に重ねて依頼するときは当該他の宅地建物取引業者を明示する義務がある旨を定める場合、Aは、Bが明示していない他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買の契約を成立させたときの措置を宅地建物取引業法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に記載しなければならない。R2⑫-28-ウ
    Aは、Bとの間で媒介契約を締結したときは、当該契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を、法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に記載しなければならない。R2⑩-29-イ
    AとBの間で専任媒介契約を締結した場合、Aは、法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に、BがA以外の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買又は交換の契約を成立させたときの措置について記載しなければならない。H30-33-4
    AがBと一般媒介契約を締結した場合、当該一般媒介契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を、法第34条の2第1項に規定する書面に記載する必要はない。H28-27-1
    AがBとの間で一般媒介契約(専任媒介契約でない媒介契約)を締結し、当該媒介契約において、重ねて依頼する他の宅地建物取引業者を明示する義務がある場合、Aは、Bが明示していない他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買の契約を成立させたときの措置を法第34条の2第1項の規定に基づく書面に記載しなければならない。H26-32-エ
    宅地建物取引業者Aが、宅地建物取引業者でないBから建物の売却の依頼を受け、AとBとの間で専属専任媒介契約を締結した場合、Aが探索した相手方以外の者とBとの間で売買契約締結したときの措置について、AとBとの間で取り決めがなければ、Aは法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に記載する必要はない。H22-34-4
    Aは、Bとの間に媒介契約を締結したときは、当該契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を、法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に記載しなければならない。H19-39-1
    AがBに交付した媒介契約書が国土交通大臣が定めた標準媒介契約約款に基づかない書面である場合、その旨の表示をしなければ、Aは業務停止処分を受けることがある。H16-39-1
    当該契約には、Bが、他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買又は交換の契約を成立させたときの措置を定めなければならない。H12-37-1
したがって正しい記述は[4]です。