宅建試験過去問題 令和6年試験 問32

問32

宅地建物取引業者Aが、BからB所有の中古住宅の売却の依頼を受け、Bと専任媒介契約(専属専任媒介契約ではないものとする。)を締結した。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. Aは当該中古住宅の売買契約が成立しても、当該中古住宅の引渡しが完了していなければ、売買契約が成立した旨を指定流通機構に通知する必要はない。
  2. Bが宅地建物取引業者である場合は、当該契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を、法第34条の2第1項に規定する書面に記載する必要はない。
  3. Aに対して当該中古住宅について買受けの申込みがなかった場合でも、AはBに対して、当該契約に係る業務の処理状況を2週間に1回以上報告しなければならないが、その報告は必ずしも書面で行う必要はない。
  4. Bが当該中古住宅について、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施する者のあっせんを希望しなかった場合は、Aは同項に規定する書面に同調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載する必要はない。

正解 3

問題難易度
肢14.3%
肢24.3%
肢387.1%
肢44.3%

解説

  1. 誤り。引渡し完了の有無とは関係なく通知する必要があります。宅地建物取引業者は、指定流通機構に登録した物件の契約が成立したときは、遅滞なく、①登録番号、②物件の取引価格、③契約成立日を指定流通機構に通知しなければなりません(宅建業法34条の2第7項)。
    前項の宅地建物取引業者は、第五項の規定による登録に係る宅地又は建物の売買又は交換の契約が成立したときは、国土交通省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を当該登録に係る指定流通機構に通知しなければならない。
  2. 誤り。媒介契約書には、当該媒介契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を、依頼者が一目で確認できるように記載しなければなりません(宅建業法規則15条の9第4号)。媒介契約制度の適切な普及を図るため、特殊な事情がある場合を除き、標準媒介契約約款を使用することが推奨されており、その施策の一環として標準媒介契約約款に基づくものであるかどうかの明示が義務化されています。これは相手方が宅地建物取引業者であっても省略できません。
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  3. [正しい]。専任媒介契約では2週間(専属専任媒介契約は1週間)に1回以上の頻度で、依頼主に業務の処理状況を報告することになっています。この報告方法は書面に限られていないので、電子メールや口頭などの方法ですることができます(宅建業法34条の2第9項)。
    専任媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、前項に定めるもののほか、依頼者に対し、当該専任媒介契約に係る業務の処理状況を二週間に一回以上(依頼者が当該宅地建物取引業者が探索した相手方以外の者と売買又は交換の契約を締結することができない旨の特約を含む専任媒介契約にあつては、一週間に一回以上)報告しなければならない。
  4. 誤り。媒介契約書には、建物状況調査を実施する者のあっせんの有無を記載しなければなりません(解釈運用-第34条の2関係)。この記載は建物状況調査の認知度向上と活用の促進を目指して義務化されたので、依頼主があっせんを希望しなかった場合でも記載を省略することはできません。
    宅地建物取引業者は、媒介契約を締結するときは、媒介契約書に「建物状況調査を実施する者のあっせんの有無」について記載することとする。
したがって正しい記述は[3]です。