宅建試験過去問題 令和2年10月試験 問34

問34

宅地建物取引士の登録(以下この問において「登録」という)及び宅地建物取引士証に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. 甲県で宅地建物取引士資格試験に合格した後1年以上登録の申請をしていなかった者が宅地建物取引業者(乙県知事免許)に勤務することとなったときは、乙県知事あてに登録の申請をしなければならない。
  2. 登録を受けている者は、住所に変更があっても、登録を受けている都道府県知事に変更の登録を申請する必要はない。
  3. 宅地建物取引士は、従事先として登録している宅地建物取引業者の事務所の所在地に変更があったときは、登録を受けている都道府県知事に変更の登録を申請しなければならない。
  4. 丙県知事の登録を受けている宅地建物取引士が、丁県知事への登録の移転の申請とともに宅地建物取引士証の交付の申請をした場合は、丁県知事から、移転前の宅地建物取引士証の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする新たな宅地建物取引士証が交付される。

正解 4

問題難易度
肢15.2%
肢26.4%
肢325.1%
肢463.3%

解説

  1. 誤り。宅建士登録は、宅建士試験に合格した都道府県でしか行えないので、登録は合格した都道府県の知事に申請することになります(宅建業法18条1項宅建業法19条)。この場合、甲県知事が実施する法定講習を受講の上、甲県で登録を受けてから(甲県知事を経由して)乙県知事に登録の移転の申請をする必要があります(※実務経験がない場合は登録実務者講習も)。
    また、宅地建物取引業者に勤務することになったとしても、宅地建物取引士としての業務を行わないのであれば登録を受ける義務はありません。本肢は「しなければならない」としているので、この点でも誤りです。
    試験に合格した者で、宅地若しくは建物の取引に関し国土交通省令で定める期間以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものは、国土交通省令の定めるところにより、当該試験を行つた都道府県知事の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。
    前条第一項の登録を受けることができる者がその登録を受けようとするときは、登録申請書を同項の都道府県知事に提出しなければならない。
    甲県で宅地建物取引士資格試験を受け、合格したFは、乙県に転勤することとなったとしても、登録は甲県知事に申請しなければならない。R3⑩-28-4
    宅地建物取引士資格試験に合格した者は、宅地建物取引に関する実務の経験を有しない場合でも、合格した日から1年以内に登録を受けようとするときは、登録実務講習を受講する必要はない。R1-44-4
    宅地建物取引士の登録を受けるには、宅地建物取引士資格試験に合格した者で、2年以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものであり、法で定める事由に該当しないことが必要である。H29-37-3
    Xは、甲県で行われた宅地建物取引士資格試験に合格した後、乙県に転居した。その後、登録実務講習を修了したので、乙県知事に対し法第18条第1項の登録を申請した。H20-30-1
    宅地建物取引士資格試験に合格した者で、宅地建物の取引に関し2年以上の実務経験を有するもの、又は都道府県知事がその実務経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものは、法第18条第1項の登録を受けることができる。H20-33-2
    宅地建物取引士資格試験に合格した者でも、3年間以上の実務経験を有しなければ、法第18条第1項の登録を受けることができない。H13-31-2
  2. 誤り。宅地建物取引士である者は、宅建士登録簿の記載事項(氏名や住所等)に変更があった場合、登録を受けている都道府県知事に対して、遅滞なく変更の登録を申請する必要があります(宅建業法18条2項宅建業法20条)。
    前項の登録は、都道府県知事が、宅建士登録簿に氏名、生年月日、住所その他国土交通省令で定める事項並びに登録番号及び登録年月日を登載してするものとする。
    第十八条第一項の登録を受けている者は、登録を受けている事項に変更があつたときは、遅滞なく、変更の登録を申請しなければならない。
  3. 誤り。従事している宅地建物取引業者の名称免許証番号は宅建士名簿の記載事項ですが、勤務する事務所の所在地は記載されていません。よって、変更の登録申請は不要です(宅建業法20条)。
    宅地建物取引士(甲県知事登録)が本籍を変更した場合、遅滞なく、甲県知事に変更の登録を申請しなければならない。R3⑩-35-エ
    宅地建物取引業者A(甲県知事免許)に勤務する宅地建物取引士(甲県知事登録)が、宅地建物取引業者B(乙県知事免許)に勤務先を変更した場合は、乙県知事に対して、遅滞なく勤務先の変更の登録を申請しなければならない。R1-44-2
    登録を受けている者は、宅地建物取引士証の交付を受けていない場合は、その住所に変更があっても、登録を受けている都道府県知事に変更の登録を申請する必要はない。H22-30-2
    宅地建物取引士の登録を受けている者が本籍を変更した場合、遅滞なく、登録をしている都道府県知事に変更の登録を申請しなければならない。H21-29-2
    A社が事務所を乙県に移転したため、乙県知事の免許を取得した場合、Bは宅地建物取引士資格登録簿の変更の登録を申請しなければならない。H16-33-2
    宅地建物取引士Cが、宅地建物取引業者D社を退職し、宅地建物取引業者E社に就職したが、CはD社及びE社においても専任の宅地建物取引士ではないので、宅地建物取引士資格登録簿の変更の登録は申請しなくてもよい。H16-34-2
    Aは、その住所を変更したときは、遅滞なく、変更の登録の申請とあわせて、取引士証の書換え交付を甲県知事に申請しなければならない。H12-32-3
  4. [正しい]。移転後の都道府県知事から交付される取引士証の有効期間は、移転前の取引士証の残存期間と同じになります(宅建業法22条の2第5項)。
    前項に規定する場合において、登録の移転の申請とともに宅地建物取引士証の交付の申請があつたときは、移転後の都道府県知事は、前項の宅地建物取引士証の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする宅地建物取引士証を交付しなければならない。
    戊県知事登録の宅地建物取引士が、己県へ登録の移転の申請とともに宅地建物取引士証の交付を申請した場合、己県知事が宅地建物取引士証を交付するときは、戊県で交付された宅地建物取引士証の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする宅地建物取引士証を交付しなければならない。R4-33-エ
    宅地建物取引士(甲県知事登録)が、乙県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事することとなったため、乙県知事に登録の移転の申請とともに宅地建物取引士証の交付の申請をしたときは、乙県知事から、有効期間を5年とする宅地建物取引士証の交付を受けることとなる。R2⑫-29-2
    宅地建物取引士(甲県知事登録)が、乙県で宅地建物取引業に従事することとなったため乙県知事に登録の移転の申請をしたときは、移転後新たに5年を有効期間とする宅地建物取引士証の交付を受けることができる。H28-38-ア
    宅地建物取引業者(甲県知事免許)に勤務する宅地建物取引士(甲県知事登録)が、乙県知事に登録の移転の申請をするとともに宅地建物取引士証の交付の申請をした場合は、乙県知事は、登録後、移転申請前の宅地建物取引士証の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする宅地建物取引士証を交付しなければならない。H23-29-4
したがって正しい記述は[4]です。