宅建試験過去問題 令和2年12月試験 問38
問38
宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法及び民法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
- 宅地建物取引業者は、事務所に置く唯一の専任の宅地建物取引士が退任した場合、その日から30日以内に新たな専任の宅地建物取引士を設置し、その設置の日から2週間以内に、専任の宅地建物取引士の変更があった旨を免許権者に届け出なければならない。
- 未成年者も、法定代理人の同意があれば、宅地建物取引業者の事務所に置かれる専任の宅地建物取引士となることができる。
- 宅地建物取引士は、重要事項説明書を交付するに当たり、相手方が宅地建物取引業者である場合、相手方から宅地建物取引士証の提示を求められない限り、宅地建物取引士証を提示する必要はない。
- 成年被後見人又は被保佐人は、宅地建物取引士として都道府県知事の登録を受けることができない。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- なし
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正解 1
問題難易度
肢152.3%
肢226.6%
肢33.9%
肢417.2%
肢226.6%
肢33.9%
肢417.2%
分野
科目:5 - 宅地建物取引業法等細目:2 - 宅地建物取引士
解説
- 誤り。30日・2週間が逆です。事務所に置くべき専任の宅地建物取引士の数が法定数を下回った場合、その日から2週間以内に補充等の措置をとらなければなりません(宅建業法31条の3第3項)。したがって、その事務所唯一の専任の宅地建物取引士が退任した場合、2週間以内に新たな専任の宅地建物取引士の設置が必要です。また、専任の宅地建物取引士の氏名は、宅建業者名簿の記載事項ではありませんが変更の届出を要する事項とされているので、当該宅地建物取引業者は30日以内に免許権者に変更を届け出なければなりません(宅建業法9条1項)。
宅地建物取引業者は、第一項の規定に抵触する事務所等を開設してはならず、既存の事務所等が同項の規定に抵触するに至つたときは、二週間以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置を執らなければならない。
宅地建物取引業者は、第四条第一項第一号から第五号までに掲げる事項について変更があつた場合においては、国土交通省令の定めるところにより、三十日以内に、当該変更に係る事項を記載した届出書をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。
宅地建物取引業者は、その事務所唯一の専任の宅地建物取引士が宅地建物取引士証の有効期間の経過により効力を失い宅地建物取引士でなくなったときは、2週間以内に法第31条の3第1項の規定に適合させるため必要な措置を執らなければならない。(R6-29-4)宅地建物取引業者は、その事務所ごとに一定の数の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならないが、既存の事務所がこれを満たさなくなった場合は、30日以内に必要な措置を執らなければならない。(R4-26-4)宅地建物取引業者Bは、その主たる事務所に従事する唯一の専任の宅地建物取引士が退職したときは、2週間以内に、宅地建物取引業法第31条の3第1項の規定に適合させるため必要な措置を執らなければならない。(R3⑫-41-2)Aは、その主たる事務所に従事する唯一の専任の宅地建物取引士Dが令和7年5月15日に退職したため、同年6月10日に新たな専任の宅地建物取引士Eを置いた。(R1-35-2)宅地建物取引業者は、宅地建物取引業法第31条の3に規定する専任の宅地建物取引士の設置要件を欠くこととなった場合、2週間以内に当該要件を満たす措置を執らなければ監督処分の対象となる。(H23-44-4)宅地建物取引業者は、その事務所ごとに一定の数の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならないが、既存の事務所がこれを満たさなくなった場合は、2週間以内に必要な措置を執らなければならない。(H22-29-4)宅地建物取引業者Dは、その事務所の専任の宅地建物取引士Eが3か月間入院したため、法第31条の3に規定する専任の宅地建物取引士の設置要件を欠くこととなったが、その間、同条の規定に適合させるために必要な措置を執らなかった。この場合、Dは指示処分の対象になるが、業務停止処分の対象にはならない。(H19-30-3)A社の唯一の専任の宅地建物取引士であるBが退職したとき、A社は2週間以内に新たな成年者である専任の宅地建物取引士を設置し、設置後30日以内にその旨を甲県知事に届け出なければならない。(H18-31-1)宅地建物取引業者は、既存の事務所に置かれている成年者である専任の宅地建物取引士の数が国土交通省令に規定する数を下回ったときは、直ちに、当該事務所を閉鎖しなければならない。(H18-36-1)宅地建物取引業者は、その「事務所」だけでなく国土交通省令で定める場所ごとに一定の専任の宅地建物取引士を置かなければならないが、これに抵触することとなった場合は、2週間以内に必要な措置を執らなければならない。(H14-36-3) - 誤り。専任の宅地建物取引士は、成年者であることが条件です。例外的に、業者個人または法人の役員が宅地建物取引士である場合には専任の宅地建物取引士とみなされますが、保護者の同意では専任の宅地建物取引士にはなれません(宅建業法31条の3第1項)。
宅地建物取引業者は、その事務所その他国土交通省令で定める場所(以下この条及び第五十条第一項において「事務所等」という。)ごとに、事務所等の規模、業務内容等を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならない。
- 正しい。宅地建物取引士に取引士証の提示義務があるのは、①重要事項説明をするときと②取引関係者から請求があったときです(宅建業法35条4項宅建業法22条の4)。買主・借主が宅地建物取引業者の場合には重要事項説明は不要なので、相手方から請求がない限り、説明時の取引士証の提示についても不要です(宅建業法35条6項)。
宅地建物取引士は、前三項の説明をするときは、説明の相手方に対し、宅地建物取引士証を提示しなければならない。
宅地建物取引士は、取引の関係者から請求があつたときは、宅地建物取引士証を提示しなければならない。
宅地建物取引士は、重要事項説明をする場合、取引の相手方から請求されなければ、宅地建物取引士証を相手方に提示する必要はない。(R5-42-ア)宅地建物取引士は、重要事項の説明をするときは説明の相手方からの請求の有無にかかわらず宅地建物取引士証を提示しなければならず、また、取引の関係者から請求があったときにも宅地建物取引士証を提示しなければならない。(R2⑩-28-3)宅地建物取引士証を亡失した宅地建物取引士は、その再交付を申請していても、宅地建物取引士証の再交付を受けるまでは重要事項の説明を行うことができない。(R2⑩-41-3)宅地建物取引士は、取引の関係者から請求があったときは、物件の買受けの申込みの前であっても宅地建物取引士証を提示しなければならないが、このときに提示した場合、後日、法第35条に規定する重要事項の説明をする際は、宅地建物取引士証を提示しなくてもよい。(H29-37-1)宅地建物取引士は、重要事項の説明をする際に、相手方から求められない場合は、宅地建物取引士証を提示しなくてもよい。(H28-30-2)宅地建物取引業者が、宅地建物取引士をして取引の相手方に対し重要事項説明をさせる場合、当該宅地建物取引士は、取引の相手方から請求がなくても、宅地建物取引士証を相手方に提示しなければならず、提示しなかったときは、20万円以下の罰金に処せられることがある。(H25-30-2)宅地建物取引士は、法第35条の規定による重要事項説明を行うにあたり、相手方から請求があった場合にのみ、取引士証を提示すればよい。(H23-28-3)宅地建物取引士証を亡失し、その再交付を申請している者は、再交付を受けるまでの間、宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明をするときは、宅地建物取引士証に代えて、再交付申請書の写しを提示すればよい。(H22-30-3)宅地建物取引士は、法第35条に規定する重要事項の説明を行う際、取引の相手方から請求がない場合でも必ず宅地建物取引士証を提示しなければならない。(H18-36-2)Cの従業者である宅地建物取引士がBに対して重要事項説明を行う際に、Bから請求がなかったので、宅地建物取引士証を提示せず重要事項説明を行った。(H17-39-2)宅地建物取引士証を滅失した宅地建物取引士は、宅地建物取引士証の再交付を受けるまで、法第35条の規定による重要事項の説明をすることができない。(H13-31-4)宅地建物取引士は、法第35条の規定による重要事項の説明をするときに、その相手方から要求がなければ、宅地建物取引士証の提示はしなくてもよい。(H13-32-1) - 誤り。宅建士登録の欠格事由は、心身の故障により宅地建物取引業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるものです(宅建業法18条1項12号)。成年被後見人・被保佐人が一律で登録を受けられないということはなく、個別に審査されます。成年被後見人・被保佐人の登録申請に当たっては、契約の締結及びその履行にあたり必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができる能力を有する旨を記載した「医師の診断書」の提出が求められます。
【補足】
以前は「成年被後見人・被保佐人」であることが免許・宅建士登録の欠格事由とされていましたが、成年被後見人・被保佐人の人権を尊重するため改正が行われました(2019年9月)。試験に合格した者で、宅地若しくは建物の取引に関し国土交通省令で定める期間以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものは、国土交通省令の定めるところにより、当該試験を行つた都道府県知事の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。
…
十二 心身の故障により宅地建物取引士の事務を適正に行うことができない者として国土交通省令で定めるもの
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