8種制限(全72問中42問目)

No.42

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で、建築工事完了前のマンションの売買契約を締結するに当たり、宅地建物取引業法第41条の規定に基づく手付金等の保全措置(以下この問において「保全措置」という。)が必要な場合における次の記述のうち、同法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。
  1. 売買契約において、当該マンションの代金の額の10%に相当する額の中間金を支払う旨の定めをしたが、Aが保全措置を講じないことを理由に、Bが当該中間金を支払わないときは、Aは、Bの当該行為が債務不履行に当たるとして契約を解除することができる。
  2. Aが受領した手付金の返還債務を連帯して保証することを委託する契約をAとAの代表取締役との間であらかじめ締結したときは、Aは、当該マンションの代金の額の20%に相当する額を手付金として受領することができる。
  3. Aが受領した手付金の返還債務のうち、保全措置を講じる必要があるとされた額を超えた部分についてのみ保証することを内容とする保証委託契約をAと銀行との間であらかじめ締結したときは、Aは、この額を超える額の手付金を受領することができる。
  4. 手付金の受領後遅滞なく保全措置を講じる予定である旨を、AがあらかじめBに対して説明したときは、Aは、保全措置を講じることなく当該マンションの代金の額の10%に相当する額を手付金として受領することができる。
平成22年試験 問41
  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ

正解 4

問題難易度
肢13.9%
肢29.7%
肢320.8%
肢465.6%

解説

まず、保全措置が不要となる金額を確認しておきましょう。
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本問で売買契約の目的物であるマンションは、建築工事完了前であるため、受領した手付金等(中間金を含む)の金額が、代金の額の5%以下、かつ、1,000万円以下までは保全措置が不要となります。
  1. 誤り。未完成物件の場合、手付金等の金額が、代金の額の5%以下、かつ、1,000万円以下なら保全措置を講じる必要はありません。
    本肢の場合、受領しようとする中間金の金額が代金の額の10%であるため、宅地建物取引業者Aは保全措置を講じる必要があり、保全措置を講じた後でなければ中間金を受け取ることはできません。よって、Aが保全措置を講じないことを理由に、Bが当該中間金を支払わない場合でも債務不履行には当たりません。
  2. 誤り。未完成物件の場合、保全措置の内容は「銀行等との保証委託契約」または「保険事業者との保証委託契約」のいずれかである必要があります(宅建業法41条1項1号、同2号)。
    よって、代表取締役の連帯保証は、手付金等の保全措置として認められず、代金の5%を超える手付金を受領することはできません。
  3. 誤り。保全措置を講じる場合、それまでに受領した手付金等を含めた全額について保全措置を講じる必要があります。本肢は「超えた部分についてのみ」としているため誤りです。
  4. 誤り。宅地建物取引業者は、保全措置を講じた後でなければ、買主から手付金等を受領してはいけません。講じる旨を伝えただけでは足りません。
したがって誤っているものは「四つ」です。
宅建業法41条1項
宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建築に関する工事の完了前において行う当該工事に係る宅地又は建物の売買で自ら売主となるものに関しては、次の各号のいずれかに掲げる措置を講じた後でなければ、買主から手付金等(代金の全部又は一部として授受される金銭及び手付金その他の名義をもつて授受される金銭で代金に充当されるものであつて、契約の締結の日以後当該宅地又は建物の引渡し前に支払われるものをいう。以下同じ。)を受領してはならない。ただし、当該宅地若しくは建物について買主への所有権移転の登記がされたとき、買主が所有権の登記をしたとき、又は当該宅地建物取引業者が受領しようとする手付金等の額(既に受領した手付金等があるときは、その額を加えた額)が代金の額の百分の五以下であり、かつ、宅地建物取引業者の取引の実情及びその取引の相手方の利益の保護を考慮して政令で定める額以下であるときは、この限りでない。