媒介契約(全29問中15問目)

No.15

宅地建物取引業者Aは、BからB所有の宅地の売却について媒介の依頼を受けた。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。なお、書面の交付には、依頼者の承諾を得て行う電磁的方法による提供を含むものとする。
  1. AがBとの間で専任媒介契約を締結し、Bから「売却を秘密にしておきたいので指定流通機構への登録をしないでほしい」旨の申出があった場合、Aは、そのことを理由に登録をしなかったとしても法に違反しない。
  2. AがBとの間で媒介契約を締結した場合、Aは、Bに対して遅滞なく法第34条の2第1項の規定に基づく書面を交付しなければならないが、Bが宅地建物取引業者であるときは、当該書面の交付を省略することができる。
  3. AがBとの間で有効期間を3月とする専任媒介契約を締結した場合、期間満了前にBから当該契約の更新をしない旨の申出がない限り、当該期間は自動的に更新される。
  4. AがBとの間で一般媒介契約(専任媒介契約でない媒介契約)を締結し、当該媒介契約において、重ねて依頼する他の宅地建物取引業者を明示する義務がある場合、Aは、Bが明示していない他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買の契約を成立させたときの措置を法第34条の2第1項の規定に基づく書面に記載しなければならない。
平成26年試験 問32
  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ

正解 3

問題難易度
肢16.2%
肢213.7%
肢370.9%
肢49.2%

解説

  1. 誤り。専任媒介契約を締結したときは、専属でない場合は契約日から7日、専属である場合には契約日から5日以内(いずれも休業日を除く)に指定流通機構に登録しなければなりません(宅建業法34条の2第5項)。指定流通機構への登録は、不動産取引の透明化と活発化を図るために業者に課された義務なので、たとえ買主から登録をしないでほしい旨の申出があったとしても登録を省略することはできません。
    宅地建物取引業者は、専任媒介契約を締結したときは、契約の相手方を探索するため、国土交通省令で定める期間内に、当該専任媒介契約の目的物である宅地又は建物につき、所在、規模、形質、売買すべき価額その他国土交通省令で定める事項を、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣が指定する者(以下「指定流通機構」という。)に登録しなければならない。
  2. 誤り。売買・交換の媒介契約を締結したときは、依頼者に法第34条の2に基づいて媒介契約書面を交付しなければなりません(宅建業法34条の2第1項)。媒介契約書面の作成と交付は、依頼者が宅地建物取引業者であっても省略することはできません。
    宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約(以下この条において「媒介契約」という。)を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。
  3. 誤り。専任媒介契約の有効期間は、依頼主の申出があった場合に限り更新することができます(宅建業法34条の2第4項)。よって、特に依頼主からの申出がなければ媒介契約が更新されることはありません。また、更新の申出はその都度行われる必要があるので、自動更新する旨の約定をしたとしても無効になります(解釈運用-第34条の2関係)。
    前項の有効期間は、依頼者の申出により、更新することができる。ただし、更新の時から三月を超えることができない。
    更新の申出は、有効期間満了の都度行われるべきもので、あらかじめ更新することを約定することは許されない。
  4. 正しい。一般媒介契約では、他の宅地建物取引業者に同じ物件の媒介を重ねて依頼することができますが、重ねて依頼する宅地建物取引業者を明示することが義務付けられている場合には、もし明示していない宅地建物取引業者との間で契約を成立したときの措置を媒介契約書に記載しなければなりません(宅建業法規則15条の9第3号)。
    依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することを許し、かつ、他の宅地建物取引業者を明示する義務がある媒介契約にあつては、依頼者が明示していない他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によつて売買又は交換の契約を成立させたときの措置
したがって誤っているものは「三つ」です。