宅建試験過去問題 令和7年試験 問37

問37

宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。
  1. 建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が都市計画法の準防火地域内にあり、建築基準法第61条第1項に基づく建物の構造に係る制限があるときは、その概要を説明しなければならない。
  2. マンションの分譲を行う場合、建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専用部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めが案の段階であるときは、説明する必要はない。
  3. 建物の貸借の媒介を行う場合、借賃以外に授受される金銭の額、授受の目的及び保管方法を説明しなければならない。
  4. 鉄筋コンクリート造の既存の共同住宅の販売を行う場合、宅地建物取引業法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を1年6か月前に実施したときは、建物状況調査を実施したこと、その結果の概要について説明しなくてはならない。

正解 4

問題難易度
肢114.5%
肢24.9%
肢329.8%
肢450.8%

解説

  1. 誤り。建物の貸借では、次の3つの規定に基づく制限を除き、法令上の制限に関する重要事項説明は不要です(宅建業法令3条3項)。したがって、建築基準法に基づく準防火地域内の建築物の制限を説明する必要はありません。
    • 新住宅市街地開発法32条
    • 新都市基盤整備法51条
    • 流通業務市街地の整備に関する法律38条
    建物の貸借の媒介を行う場合における、「都市計画法第29条第1項の規定に基づく制限」R3⑩-36-1
    建物の貸借の媒介において、建築基準法に規定する建蔽率及び容積率に関する制限があるときは、その概要を説明しなければならない。R1-41-3
    建物の賃借の媒介の場合、当該建物が新住宅市街地開発事業により造成された宅地上にあり、新住宅市街地開発法第32条第1項に基づく建物の使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転について都道府県知事の承認を要する旨の制限があるときに、その概要を説明しなかった。H27-31-イ
    建物の賃借の媒介の場合、当該建物が都市計画法の準防火地域内にあり、建築基準法第62条第1項に基づく建物の構造に係る制限があるときに、その概要を説明しなかった。H27-31-ウ
    建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が津波防災地域づくりに関する法律第23条第1項の規定に基づく津波防護施設区域に位置しているときはその旨を説明する必要があるが、同法第53条第1項の規定に基づく津波災害警戒区域に位置しているときであってもその旨は説明する必要はない。H26-34-2
    建築基準法に規定する容積率及び建ペい率に関する制限があるときは、その制限内容を説明しなければならない。H17-38-2
  2. 誤り。専有部分の利用制限に関する規約の定めは、区分所有建物に係る重要事項説明の内容です(宅建業法規則16条の2第3号)。規約の定めが重要事項説明の内容となる場合、まだ正式な規約として成立しなくても、案の段階のものがあればその内容が記載・説明の対象となります。
    【補足】
    新規分譲マンションでは、契約時に購入者それぞれから規約案に対する同意書を個別に提出してもらい、全員分がそろった段階で規約が成立する方式がよく採用されています。案が含むのは、このような方式を想定しています。
    宅地建物取引業者は、媒介により区分所有建物の賃貸借契約を成立させた場合、専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約においてペットの飼育が禁止されているときは、その旨を重要事項説明書に記載して説明し、37条書面にも記載しなければならない。R3⑩-37-1
    区分所有建物の売買の媒介を行う場合、建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容を説明しなければならないが、区分所有建物の貸借の媒介を行う場合は、説明しなくてよい。R2⑩-31-4
    当該建物が建物の区分所有等に関する法律第2条第1項に規定する区分所有権の目的であるものであって、同条第3項に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容を説明しなければならない。R1-28-4
    専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約において、ペットの飼育が禁止されている場合は、重要事項説明書にその旨記載し内容を説明したときも、37条書面に記載しなければならない。H28-39-1
    区分所有権の目的である建物の貸借の媒介を行う場合、その専有部分の用途その他の利用制限に関する規約の定めがあるときはその内容を説明する必要があるが、1棟の建物又はその敷地の専用使用権に関する規約の定めについては説明する必要がない。H26-34-4
    建物の貸借の媒介において、建物の区分所有等に関する法律に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め(その案を含む。)がなかったので、そのことについては説明しなかった。H18-35-4
    建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容を説明しなければならない。H17-38-3
    Aは、マンションの一室の賃貸借を媒介するに当たり、建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分の用途について、管理規約で「ペット飼育禁止」の制限があったが、借主に対し、そのことに関して法第35条の重要事項の説明を行わなかった。H15-45-1
    建物の区分所有等に関する法律に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め(その案を含む。)がなかったので、そのことについては説明しなかった。H13-36-3
  3. 誤り。重要事項説明の対象となるのは、代金や借賃以外に授受される金銭の額とその授受の目的です。保管方法については説明不要です(宅建業法35条1項7号)。
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    Aは、Bに対し、代金以外に授受される金銭の額だけでなく、当該金銭の授受の目的についても説明しなければならない。R3⑩-26-2
    重要事項説明では、代金、交換差金又は借賃の額を説明しなければならないが、それ以外に授受される金銭の額については説明しなくてよい。R1-41-4
    建物の売買の媒介を行う場合、当該建物の売買代金の額並びにその支払の時期及び方法について説明する義務はないが、売買代金以外に授受される金銭があるときは、当該金銭の額及び授受の目的について説明しなければならない。H28-36-ウ
    宅地建物取引業者は、マンションの1戸の貸借の媒介を行う場合、借賃以外に授受される金銭の定めがあるときは、その金銭の額、授受の目的及び保管方法を説明しなければならない。H25-33-4
    建物の貸借の媒介を行う場合、借賃以外に授受される金銭の額については説明しなければならないが、当該金銭の授受の目的については説明する必要はない。H23-32-1
    宅地建物取引業者が建物の貸借の媒介を行う場合、借賃以外に金銭の授受があるときは、その額及び授受の目的について、法第35条に規定する重要事項を記載した書面に記載しているのであれば、法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に記載する必要はない。H22-34-1
    敷金の授受の定めがあるときは、その敷金の額、契約終了時の敷金の精算に関する事項及び金銭の保管方法を説明しなければならない。H17-38-4
    敷金の額については説明したが、その敷金をどのように精算するかについては説明しなかった。H13-36-2
  4. [正しい]。既存建物の取引では、その建物が過去1年(鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の共同住宅等は2年)以内に建物状況調査を実施しているかどうか、実施している場合にはその結果の概要(劣化事象等の有無)を説明しなければなりません(宅建業法35条1項6号の2イ)。本肢は鉄筋コンクリート造の既存の共同住宅ですから、1年6か月前(2年以内)に実施した建物状況調査があるときは、説明の対象となります。
    賃貸借契約において、対象となる建物が既存の住宅であるときは、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要を説明しなければならない。R3⑫-44-イ
    建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が既存の住宅であるときは、建物状況調査を実施しているかどうかを説明しなければならないが、実施している場合その結果の概要を説明する必要はない。R2⑩-31-3
    当該建物が既存の住宅であるときは、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要を説明しなければならない。H30-39-2
したがって正しい記述は[4]です。