宅建試験過去問題 令和7年試験 問36

問36

宅地建物取引業者Aの業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、禁止されているものはいくつあるか。
  1. Aの従業者は、電話によりBに投資用マンションの購入の勧誘を行った際、Bから「Aから購入する意思は一切無いので、今後電話を含め勧誘はしないでほしい。」と告げられたが、その翌日、Bに対し、再度の勧誘を行った。
  2. 建物の購入希望者から「契約の締結についてしばらく考えさせてほしい。」という申し出があったので、Aの従業者は、他に買い手がいないにもかかわらず、「他に買い手がいるので、今日中しか契約の締結はできない。」と当該購入希望者に告げた。
  3. Aの従業者は、建物の購入希望者に対して、長時間にわたり契約の締結をするための勧誘を行い、当該購入希望者を困惑させた。
  4. 建物の売買を媒介しているAの従業者は、手持ち資金がない購入希望者に対して「手付金は当社が貸し付けるので後から返してくれれば構わない。」と告げて、契約の締結を誘引したが、契約には至らなかった。
  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ

正解 4

問題難易度
肢12.5%
肢23.9%
肢311.2%
肢482.4%

解説

  1. 禁止されている。相手方が、契約をしない意思、又はこれ以上勧誘を受けたくない意思を表示したにもかかわらず勧誘を継続する行為(再勧誘)は、宅建業法で禁止されています(宅建業法規則16条の11第1号ニ)。本肢のように、契約の意思のない相手方に対し、再勧誘を行うと違反となります。
    宅地建物取引業者の相手方等が当該契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続すること。
    Aの従業員Bが、Cが所有する戸建住宅の買取りを目的とした訪問勧誘をCに対して行ったところ、Cから「契約の意思がないので今後勧誘に来ないでほしい」と言われたことから、後日、Aは、別の従業員Dに同じ目的で訪問勧誘を行わせて、当該勧誘を継続した。R5-28-ア
    宅地建物取引業者が、マンション販売の勧誘をするに際し、相手方から購入を希望しない旨の返事があった後に、当該勧誘を継続することは法に違反しない。R2⑫-40-1
    Aは、投資用マンションの販売に際し、電話で勧誘を行ったところ、勧誘の相手方から「購入の意思がないので二度と電話をかけないように」と言われたことから、電話での勧誘を諦め、当該相手方の自宅を訪問して勧誘した。H30-40-エ
    宅地建物取引業者が、その従業者をして宅地の売買の勧誘を行わせたが、相手方が明確に買う意思がない旨を表明した場合、別の従業者をして、再度同じ相手方に勧誘を行わせることは法に違反しない。H26-41-2
    Aの従業者は、マンション建設に必要な甲土地の買受けに当たり、甲土地の所有者に対し、電話により売買の勧誘を行った。その際、売却の意思は一切ない旨を告げられたが、その翌日、再度の勧誘を行った。H26-43-3
  2. 禁止されている。正当な理由なく、契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒むことは、宅建業法で禁止されています(宅建業法規則16条の11第1号ロ)。本肢のように契約を締結するかどうか判断するための十分な時間を与えず、契約を急がせる行為がこれに該当します。虚偽の理由は、正当な理由として到底認められません。
    正当な理由なく、当該契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒むこと。
    宅地建物取引業者は、契約の締結の勧誘をするに際し、理由の如何を問わず、相手方に対して当該契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒んではならない。R2⑫-40-3
  3. 禁止されている。深夜の勧誘や長時間の勧誘など、相手方の私生活や業務の平穏を害する方法で勧誘を行うことは、宅建業法で禁止されています。また、相手方が迷惑と感じる時間に電話や訪問で勧誘することも禁止事項です(宅建業法規則16条の11第1号ホ・ヘ)。
    ホ 迷惑を覚えさせるような時間に電話し、又は訪問すること。
    ヘ 深夜又は長時間の勧誘その他の私生活又は業務の平穏を害するような方法によりその者を困惑させること。
    Aの従業員Gは、Hが所有する戸建住宅の買取りを目的とした電話勧誘をHに対して行おうと考え、23時頃にHの自宅に電話をかけ、勧誘を行い、Hの私生活の平穏を害し、Hを困惑させた。R5-28-ウ
    A社は、建物の販売に際して、短時間であったが、私生活の平穏を害するような方法により電話勧誘を行い、相手方を困惑させた。H23-41-イ
  4. 禁止されている。手付の貸付け・立替え・猶予・分割払いなどの手段を用いて、契約締結を誘引する行為は禁止されています(宅建業法47条3号)。契約時点での経済的負担がないという安心感や希薄な責任意識に乗じて、契約を誘い込んだり契約を拒否しがたい状況にしたりして、取引を行うのは不公正だからです。
    宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。

    三 手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為
    Aは、売主としてマンションの売買契約を締結するに際して、買主が手付として必要な額を今すぐには用意できないと申し出たので、手付金の分割払いを買主に提案した。R5-36-イ
    マンションの販売に際して、買主が手付として必要な額を持ち合わせていなかったため、手付を分割受領することにより、契約の締結を誘引した。R3⑩-43-ア
    宅地建物取引業者は、建物の売買に際し、買主に対して売買代金の貸借のあっせんをすることにより、契約の締結を誘引してはならない。R2⑫-26-1
    宅地建物取引業者は、契約の相手方に対して資金不足を理由に手付の貸付けを行ったが、契約締結後償還された場合は法に違反しない。R2⑫-40-2
    Aは、自ら売主として、建物の売買契約を締結するに際し、買主が手付金を持ち合わせていなかったため手付金の分割払いを提案し、買主はこれに応じた。H30-40-ア
    宅地建物取引業者が、自ら売主として、宅地及び建物の売買の契約を締結するに際し、手付金について、当初提示した金額を減額することにより、買主に対し売買契約の締結を誘引し、その契約を締結させることは、法に違反しない。H29-34-1
    Aは、建物の売買の媒介に際し、買主に対して手付の貸付けを行う旨を告げて契約の締結を勧誘したが、売買は成立しなかった。H28-29-イ
    Aが、宅地の売買契約締結の勧誘に当たり、相手方が手付金の手持ちがないため契約締結を迷っていることを知り、手付金の分割払いを持ちかけたことは、契約締結に至らなかったとしても法に違反する。H28-34-4
    A:購入を検討している。貯金が少なく、手付金の負担が重いのだが。B:弊社との提携している銀行の担当者から、手付金も融資の対象になっていると聞いております。ご検討ください。H27-41-ウ
    Aは、買主Bとの間で建物の売買契約を締結する当日、Bが手付金を一部しか用意できなかったため、やむを得ず、残りの手付金を複数回に分けてBから受領することとし、契約の締結を誘引した。H26-43-1
    A社は、本件手付金の一部について、Bに貸付けを行い、本件売買契約の締結を誘引した。H24-34-ウ
    A社は、建物の販売に際して、買主が手付として必要な額を持ち合わせていなかったため、手付を貸し付けることにより、契約の締結を誘引した。H23-41-ア
    Aは、建物の売買の媒介に関し、買主に対して手付の貸付けを行う旨を告げて契約の締結を勧誘したが、売買契約は成立しなかった。H21-40-1
    Aは、自ら売主として、宅地の売却を行うに際し、買主が手付金100万円を用意していなかったため、後日支払うことを約して、手付金を100万円とする売買契約を締結した。H20-38-4
    建物の販売に際して、手付について貸付けをすることにより売買契約の締結の誘引を行ったが、契約の成立には至らなかった。H18-40-3
    Aは、Bとの間で3,000万円の宅地の売買契約を締結したが、契約当日、Bが手付金を一部しか用意できなかったため、残りの手付金をAが貸し付け、契約の締結を誘引した。H15-38-3
    買主Bも宅地建物取引業者であるので、AがBに対し手付金を貸し付けて契約の締結を誘引してもさしつかえない。H13-42-2
    Aは、建物の売買の媒介をするに当たり、買主が手付金を支払えなかったので、手付金に関し銀行との間の金銭の貸借のあっせんをして、当該建物の売買契約を締結させた。H12-35-4
    Aは、Bの要求があった場合は、契約の締結を誘引するためBの手付金の支払いについて分割払とすることができる。H12-40-3
したがって誤っているものは「四つ」です。