宅建試験過去問題 平成26年試験 問41
問41
次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
- 宅地建物取引業者が、他の宅地建物取引業者が行う一団の宅地建物の分譲の代理又は媒介を、案内所を設置して行う場合で、その案内所が専任の宅地建物取引士を置くべき場所に該当しない場合は、当該案内所には、クーリング・オフ制度の適用がある旨を表示した標識を掲げなければならない。
- 宅地建物取引業者が、その従業者をして宅地の売買の勧誘を行わせたが、相手方が明確に買う意思がない旨を表明した場合、別の従業者をして、再度同じ相手方に勧誘を行わせることは法に違反しない。
- 宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地建物売買契約成立後、媒介を依頼した他の宅地建物取引業者へ報酬を支払うことを拒む行為は、不当な履行遅延(法第44条)に該当する。
- 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備えなければならないが、退職した従業者に関する事項は従業者名簿への記載の対象ではない。
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正解 1
問題難易度
肢156.4%
肢23.8%
肢332.8%
肢47.0%
肢23.8%
肢332.8%
肢47.0%
分野
科目:5 - 宅地建物取引業法等細目:5 - 業務上の規制
解説
- [正しい]。案内所のうち、専任の宅地建物取引士の設置義務がない場所(=契約行為等を行わない場所)には、全てクーリング・オフの適用があります。これらの案内所に掲示すべき標識には『この場所においてした契約等については、宅地建物取引業法第37条の2の規定によるクーリング・オフ制度の適用があります』という記載が含まれています。
- 誤り。相手方が、契約をしない意思、又はこれ以上勧誘を受けたくない意思を表示したにもかかわらず勧誘を継続する行為(再勧誘)は、宅建業法で禁止されています(宅建業法規則16条の11第1号ニ)。当然ですが勧誘者を他の従業者に変えてもダメです。
法第四十七条の二第三項の国土交通省令・内閣府令及び同項の国土交通省令で定める行為は、次に掲げるものとする。
Aの従業者は、電話によりBに投資用マンションの購入の勧誘を行った際、Bから「Aから購入する意思は一切無いので、今後電話を含め勧誘はしないでほしい。」と告げられたが、その翌日、Bに対し、再度の勧誘を行った。(R7-36-ア)Aの従業員Bが、Cが所有する戸建住宅の買取りを目的とした訪問勧誘をCに対して行ったところ、Cから「契約の意思がないので今後勧誘に来ないでほしい」と言われたことから、後日、Aは、別の従業員Dに同じ目的で訪問勧誘を行わせて、当該勧誘を継続した。(R5-28-ア)宅地建物取引業者が、マンション販売の勧誘をするに際し、相手方から購入を希望しない旨の返事があった後に、当該勧誘を継続することは法に違反しない。(R2⑫-40-1)Aは、投資用マンションの販売に際し、電話で勧誘を行ったところ、勧誘の相手方から「購入の意思がないので二度と電話をかけないように」と言われたことから、電話での勧誘を諦め、当該相手方の自宅を訪問して勧誘した。(H30-40-エ)Aの従業者は、マンション建設に必要な甲土地の買受けに当たり、甲土地の所有者に対し、電話により売買の勧誘を行った。その際、売却の意思は一切ない旨を告げられたが、その翌日、再度の勧誘を行った。(H26-43-3) - 誤り。不当な履行遅延(宅建業法44条)に該当するのは、登記・引渡し・対価の支払いの3つです。他の宅地建物取引業者への報酬支払は、ここでいう「対価の支払い」には該当しません。不動産の購入者等を保護するという宅建業法の趣旨より、購入者等ではない宅地建物取引業者は保護対象外とされます。
宅地建物取引業者は、その業務に関してなすべき宅地若しくは建物の登記若しくは引渡し又は取引に係る対価の支払を不当に遅延する行為をしてはならない。
不当な履行遅延の禁止(法第44条)は、宅地若しくは建物の登記若しくは引渡し又は取引に係る対価の支払を対象とするのみである。(H24-40-ア) - 誤り。従業者名簿の記載事項は全部で6つです(宅建業法48条3項宅建業法規則17条の2第1項)。「従業員の退職年月日」が従業者名簿の記載事項となっていることからもわかるように、退職した従業者に関する事項も従業者名簿への記載の対象となります。

宅地建物取引業者は、国土交通省令で定めるところにより、その事務所ごとに、従業者名簿を備え、従業者の氏名、第一項の証明書の番号その他国土交通省令で定める事項を記載しなければならない。
法第四十八条第三項の国土交通省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
一 主たる職務内容
二 宅地建物取引士であるか否かの別
三 当該事務所の従業者となつた年月日
四 当該事務所の従業者でなくなつたときは、その年月日宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、従業者名簿を備えなければならず、当該名簿については最終の記載をした日から10年間保存しなければならない。(H24-40-ウ)宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備える業務を怠った場合、監督処分を受けることはあっても罰則の適用を受けることはない。(H22-29-2)宅地建物取引業者がその事務所ごとに備える従業者名簿には、従業者の氏名、生年月日、当該事務所の従業者となった年月日及び当該事務所の従業者でなくなった年月日を記載することで足りる。(H21-43-2)宅地建物取引業者は、主たる事務所には、設置しているすべての事務所の従業者名簿を、従たる事務所には、その事務所の従業者名簿を備えなければならない。(H20-42-3)宅地建物取引業者は、その事務所に備える従業者名簿に、従業者が宅地建物取引士であるか否かの別を記載しなかった場合、業務停止の処分を受けることがあるが、罰金の刑に処せられることはない。(H12-31-4)宅地建物取引業者は、その業務に関する各事務所の帳簿を一括して主たる事務所に、従業者名簿を各事務所ごとに備えなければならない。(H12-42-1)
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