宅建試験過去問題 平成22年試験 問22(改題)
問22
農地法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。- 農地を相続した場合、その相続人は、法第3条第1項の許可を受ける必要はないが、遅滞なく、農業委員会にその旨を届け出なければならない。
- 宅地に転用する目的で市街化区域外の農地を購入する場合は、農地の権利移動に係る法第3条第1項の許可のほか、農地転用に係る法第4条第1項の都道府県知事の許可を受ける必要がある。
- 会社の代表者が、その会社の業務に関し、法の規定に違反して転用行為をした場合は、その代表者が罰せられるのみならず、その会社も1億円以下の罰金刑が科せられる。
- 賃貸借の存続期間については、民法上は50年を超えることができないこととされているが、農地の賃貸借についても、50年を超えることができない。
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正解 2
問題難易度
肢16.5%
肢262.4%
肢310.5%
肢420.6%
肢262.4%
肢310.5%
肢420.6%
分野
科目:2 - 法令上の制限細目:4 - 農地法
解説
- 正しい。相続・遺産分割により農地を取得した場合、その相続人は3条許可を受ける必要はありません(農地法3条1項12号)。ただし、相続・遺産分割で取得した場合は、遅滞なく、その旨を農業委員会に届け出る必要があります(農地法3条の3)。この届出は実務上、被相続人の死亡を知った時からおおむね10ヶ月以内にすることとされています。
原則として3条許可を受けた権利取得、農地法3条1項各号で許可不要とされている場合は届出しなくても良いのですが、相続等にて権利取得した者は届出が必要です。農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第五条第一項本文に規定する場合は、この限りでない。
…
十二 遺産の分割、民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百六十八条第二項(同法第七百四十九条及び第七百七十一条において準用する場合を含む。)の規定による財産の分与に関する裁判若しくは調停又は同法第九百五十八条の三の規定による相続財産の分与に関する裁判によつてこれらの権利が設定され、又は移転される場合農地又は採草放牧地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得した者は、同項の許可を受けてこれらの権利を取得した場合、同項各号(第十二号及び第十六号を除く。)のいずれかに該当する場合その他農林水産省令で定める場合を除き、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その農地又は採草放牧地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。
自己所有の農地に住宅を建設する資金を借り入れるため、当該農地に抵当権の設定をする場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。(R3⑫-21-1)遺産分割によって農地を取得する場合には、法第3条第1項の許可は不要であるが、農業委員会への届出が必要である。(R3⑩-21-1)親から子に対して、所有するすべての農地を一括して贈与する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要はない。(R2⑫-21-2)相続により農地を取得することとなった場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。(R2⑩-21-3)農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。(R2⑩-21-4)金融機関からの資金借入れのために農地に抵当権を設定する場合、法第3条第1項の許可が必要である。(R1-21-2)遺産分割により農地を取得することとなった場合、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。(H30-22-2)銀行から500万円を借り入れるために農地に抵当権を設定する場合、法第3条第1項又は第5条第1項の許可を受ける必要がある。(H29-15-3)農業者が住宅の改築に必要な資金を銀行から借りるために、自己所有の農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要はない。(H26-21-3)砂利採取法による認可を受けた砂利採取計画に従って砂利を採取するために農地を一時的に貸し付ける場合には、法第5条第1項の許可を受ける必要はない。(H24-22-4)相続により農地を取得する場合は、法第3条第1項の許可を要しないが、遺産の分割により農地を取得する場合は、同項の許可を受ける必要がある。(H23-22-1)農業者が住宅の改築に必要な資金を銀行から借りるため、自己所有の農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受けなければならない。(H21-22-2)建設業者が、農地に復元して返還する条件で、市街化調整区域内の農地を一時的に資材置場として借りる場合は、法第5条第1項の許可を受ける必要がある。(H20-24-2)農業者が自ら居住している住宅の改築に必要な資金を銀行から借りるため、自己所有の農地に抵当権を設定する場合、農地法第3条第1項の許可を受ける必要はない。(H17-25-4)民事調停法による農事調停により農地の所有権を取得する場合には、農地法第3条の許可を受ける必要はない。(H16-24-4)遺産の分割により農地の所有権を取得する場合、農地法第3条の許可を得る必要はない。(H15-23-4)都道府県が、農林水産省令で定める農業振興上の必要性が高いと認められる施設の用に供するために農地を取得する場合には、農地法の許可を受ける必要はない。(H12-25-3) - [誤り]。購入(権利移動)+農地以外への転用のときには5条許可が必要です。5条許可を受ける場合、3条許可及び4条許可を受ける必要はありません。
- 正しい。会社の代表者が、その会社の業務に関し、法の規定に違反して転用行為をした場合は、その代表者だけでなく会社も1億円以下の罰金刑が科せられます(農地法67条)。
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一 第六十四条第一号若しくは第二号(これらの規定中第四条第一項又は第五条第一項に係る部分に限る。)又は第三号 一億円以下の罰金刑
二 第六十四条(前号に係る部分を除く。)又は前二条 各本条の罰金刑 - 正しい。賃貸借の存続期間については、民法上は50年を超えることができません。農地の賃貸借についてもこの規定が適用されるので、存続期間は50年が最長となります。
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