宅建試験過去問題 平成26年試験 問21

問21

農地法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  1. 農地について法第3条第1項の許可があったときは所有権が移転する旨の停止条件付売買契約を締結し、それを登記原因とする所有権移転の仮登記を申請する場合には、その買受人は農業委員会に届出をしなければならない。
  2. 市街化区域内の農地について、耕作の目的に供するために競売により所有権を取得しようとする場合には、その買受人は法第3条第1項の許可を受ける必要はない。
  3. 農業者が住宅の改築に必要な資金を銀行から借りるために、自己所有の農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要はない。
  4. 山林を開墾し現に農地として耕作している土地であっても、土地登記簿上の地目が山林であれば、法の適用を受ける農地とはならない。

正解 3

問題難易度
肢110.8%
肢29.7%
肢377.2%
肢42.3%

解説

  1. 誤り。3条許可を受けた後の所有権移転ですので、改めて農業委員会に届け出る必要はありません。
  2. 誤り。3条許可は競売による取得でも必要です。
  3. [正しい]。農地法では権利移動として所有権の移転のほか、地上権、永小作権、質権、使用貸借、賃借権等の使用収益を目的とする権利を設定する場合としています(農地法3条1項)。抵当権の設定は権利移動に該当しない(使用収益権ではない)ため3条許可は不要です。
    農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第五条第一項本文に規定する場合は、この限りでない。
    自己所有の農地に住宅を建設する資金を借り入れるため、当該農地に抵当権の設定をする場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。R3⑫-21-1
    遺産分割によって農地を取得する場合には、法第3条第1項の許可は不要であるが、農業委員会への届出が必要である。R3⑩-21-1
    親から子に対して、所有するすべての農地を一括して贈与する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要はない。R2⑫-21-2
    相続により農地を取得することとなった場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。R2⑩-21-3
    農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。R2⑩-21-4
    金融機関からの資金借入れのために農地に抵当権を設定する場合、法第3条第1項の許可が必要である。R1-21-2
    遺産分割により農地を取得することとなった場合、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。H30-22-2
    銀行から500万円を借り入れるために農地に抵当権を設定する場合、法第3条第1項又は第5条第1項の許可を受ける必要がある。H29-15-3
    砂利採取法による認可を受けた砂利採取計画に従って砂利を採取するために農地を一時的に貸し付ける場合には、法第5条第1項の許可を受ける必要はない。H24-22-4
    相続により農地を取得する場合は、法第3条第1項の許可を要しないが、遺産の分割により農地を取得する場合は、同項の許可を受ける必要がある。H23-22-1
    農地を相続した場合、その相続人は、法第3条第1項の許可を受ける必要はないが、遅滞なく、農業委員会にその旨を届け出なければならない。H22-22-1
    農業者が住宅の改築に必要な資金を銀行から借りるため、自己所有の農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受けなければならない。H21-22-2
    建設業者が、農地に復元して返還する条件で、市街化調整区域内の農地を一時的に資材置場として借りる場合は、法第5条第1項の許可を受ける必要がある。H20-24-2
    農業者が自ら居住している住宅の改築に必要な資金を銀行から借りるため、自己所有の農地に抵当権を設定する場合、農地法第3条第1項の許可を受ける必要はない。H17-25-4
    民事調停法による農事調停により農地の所有権を取得する場合には、農地法第3条の許可を受ける必要はない。H16-24-4
    遺産の分割により農地の所有権を取得する場合、農地法第3条の許可を得る必要はない。H15-23-4
    都道府県が、農林水産省令で定める農業振興上の必要性が高いと認められる施設の用に供するために農地を取得する場合には、農地法の許可を受ける必要はない。H12-25-3
  4. 誤り。農地法上の農地であるかどうかは、土地登記簿上の地目ではなく、現況で判断します。よって、現に農地として耕作している土地であれば、法の適用を受ける農地となります。
したがって正しい記述は[3]です。