8種制限(全74問中12問目)

No.12

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として締結する売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
令和2年10月試験 問42
  1. Aが宅地建物取引業者ではないBとの間で締結する宅地の売買契約において、当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間をBがその不適合を知った時から2年とする特約を定めた場合、この特約は有効である。
  2. Aが宅地建物取引業者ではないCとの間で建築工事の完了前に締結する建物(代金5,000万円)の売買契約においては、Aは、手付金200万円を受領した後、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じなければ、当該建物の引渡し前に中間金300万円を受領することができない。
  3. Aが宅地建物取引業者Dとの間で造成工事の完了後に締結する宅地(代金3,000万円)の売買契約においては、Aは、法第41条の2に定める手付金等の保全措置を講じないで、当該宅地の引渡し前に手付金800万円を受領することができる。
  4. Aが宅地建物取引業者ではないEとの間で締結する建物の売買契約において、Aは当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を一切負わないとする特約を定めた場合、この特約は無効となり、Aが当該責任を負う期間は当該建物の引渡日から2年となる。

正解 4

問題難易度
肢112.2%
肢210.6%
肢321.1%
肢456.1%

解説

  1. 正しい。宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約では、売買目的物の契約不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間について、引渡し日から2年以上とする場合を除き、民法の規定よりも買主に不利な特約は無効となります(宅建業法40条)。民法では、売主の担保責任を追及するには、買主がその不適合を知った時から1年以内に通知すれば良いされているので、民法の規定より買主が追及できる期間を伸長する本肢の特約は有効です。
    本肢は出題ミスとして公式解答で誤りとなりましたが、本サイトでは出題の本旨に沿って正しい肢となるように「担保すべき責任を負う期間」から「担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間」に改題しています。
    宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
    2 前項の規定に反する特約は、無効とする。
    Aが宅地建物取引業者ではないEとの間で締結する建物の売買契約において、Aは当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を一切負わないとする特約を定めた場合、この特約は無効となり、Aが当該責任を負う期間は当該建物の引渡日から2年となる。R2⑩-42-4
    宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、取引の相手方が同意した場合に限り、買主がその不適合を売主に通知すべき期間を当該宅地又は建物の引渡しの日から1年とする特約を有効に定めることができる。R1-27-イ
    Aは宅地建物取引業者であるが、Bは宅地建物取引業者ではない場合において、本件契約の目的物である建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に対して追及するには目的物の引渡しの日から1年以内に通知しなければならないものとする旨の特約を定めた。H30-29-4
    Aは、Bとの間における建物の売買契約において、「AがBに対して、当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間は、建物の引渡しの日から1年間とする」旨の特約を付した。この場合、当該特約は無効となり、BがAに対して当該通知をする期間は、当該建物の引渡しの日から2年間となる。H27-34-2
    宅地建物取引業者でない買主Cとの間で土地付建物の売買契約を締結するにあたって、Cが建物を短期間使用後取り壊す予定である場合には、当該建物が契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負わない旨の特約を定めることができる。H27-39-2
    A社は、Bとの間で締結した中古住宅の売買契約において、引渡後2年以内に発見された雨漏り、シロアリの害、建物の構造耐力上主要な部分の不適合についてのみ担保責任を負うとする特約を定めることができる。H25-38-ア
    当該建物が中古建物である場合、宅地建物取引業者である買主Dとの間で、「中古建物であるため、A社は、当該建物が契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負わない」旨の特約を定めること。H24-39-2
    当該建物が中古建物である場合、宅地建物取引業者でない買主Eとの間で、「A社の担保責任を追及するためにEがA社に通知すべき期間を、売買契約締結の日にかかわらず引渡しの日から2年間とする」旨の特約を定めること。H24-39-3
    当該契約において、A社が当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、Bがその不適合をA社に通知すべき期間について、Bが知った時から2年間とする旨の特約を定めることができる。H23-37-4
    A社は、宅地建物取引業者である買主E社との間で、売買契約を締結したが、当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任について、「契約不適合による契約解除又は損害賠償の請求は、契約対象物件である宅地の引渡しの日から1年を経過したときはできない」とする旨の特約を定めていた。H23-39-4
    Aは、当該宅地の契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、Bがその不適合をAに通知すべき期間を当該宅地の引渡しの日から3年とする特約をすることができる。H22-40-1
    AがBとの間で締結した中古住宅の売買契約において、当該住宅を現状有姿で引き渡すとする特約と、Aが当該住宅の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負わないこととする特約とを定めた場合、その特約はいずれも有効である。H21-38-ア
    AがBとの間で締結した建物の売買契約において、Aは当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を一切負わないとする特約を定めた場合、この特約は無効となり、Aが当該責任を負う期間は当該建物の引渡しの日から2年間となる。H21-38-ウ
    Aは、自ら売主として行う中古建物の売買に際し、当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合をAに通知すべき期間を引渡しの日から2年間とする特約をした。H21-40-4
    Aは、当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間として、引渡しの日から2年で、かつ、Bが契約不適合を知った時から30日以内とする特約を定めることができる。H20-40-4
    「建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合、その不適合がAの責に帰すことのできるものでないときは、Aは担保責任を負わない」とする特約は有効である。H19-41-3
    買主Bとの売買契約において、物件が競売で取得した中古住宅であるため、現状有姿とし当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間を「引渡しから半年まで」と定めた契約書の条項は有効である。H14-41-1
    Aが、売買目的物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間について、その土地付建物の引渡しの時から1年間とする旨の特約をした場合は、その期間は、Bが契約不適合を知った時から1年間となる。H12-40-1
  2. 正しい。未完成物件の場合は、受領しようとする手付金等の額が(受領済の額を含めて)代金の5%または1,000万円を超える場合に保全措置が必要となります。
    本肢の建物の代金は5,000万円ですから「5,000万円×5%=250万円」以下ならば保全措置不要で受領できます。手付金200万円の受領段階では保全措置は不要ですが、それに加えて中間金300万円を受領すると手付金等の額が250万円を超えます。よって、中間金の受領前に、既に受領した手付金と受領しようとしている中間金を合わせた500万円について保全措置を講じる必要があります。
  3. 正しい。相手方が宅地建物取引業者である場合には、保全措置および手付金の額を制限する規定は適用されません。よって、宅地建物取引業者Aは保全措置を講じずに800万円を受領することができます。
  4. [誤り]。宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約では、契約不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間について、引渡しから2年以上とする場合を除き、民法の規定よりも買主に不利な特約は無効となります(宅建業法40条)。契約不適合を担保すべき責任を負わないとする特約は、明らかに民法の規定より買主に不利ですから無効になります。無効になると特約が当初から存在しなかったことになるので、民法の規定が適用され、当該責任を負う期間は契約不適合を知った時から1年以内となります(民法566条)。
    宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
    2 前項の規定に反する特約は、無効とする。
    売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。
    Aが宅地建物取引業者ではないBとの間で締結する宅地の売買契約において、当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間をBがその不適合を知った時から2年とする特約を定めた場合、この特約は有効である。R2⑩-42-1
    宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、取引の相手方が同意した場合に限り、買主がその不適合を売主に通知すべき期間を当該宅地又は建物の引渡しの日から1年とする特約を有効に定めることができる。R1-27-イ
    Aは宅地建物取引業者であるが、Bは宅地建物取引業者ではない場合において、本件契約の目的物である建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に対して追及するには目的物の引渡しの日から1年以内に通知しなければならないものとする旨の特約を定めた。H30-29-4
    Aは、Bとの間における建物の売買契約において、「AがBに対して、当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間は、建物の引渡しの日から1年間とする」旨の特約を付した。この場合、当該特約は無効となり、BがAに対して当該通知をする期間は、当該建物の引渡しの日から2年間となる。H27-34-2
    宅地建物取引業者でない買主Cとの間で土地付建物の売買契約を締結するにあたって、Cが建物を短期間使用後取り壊す予定である場合には、当該建物が契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負わない旨の特約を定めることができる。H27-39-2
    A社は、Bとの間で締結した中古住宅の売買契約において、引渡後2年以内に発見された雨漏り、シロアリの害、建物の構造耐力上主要な部分の不適合についてのみ担保責任を負うとする特約を定めることができる。H25-38-ア
    当該建物が中古建物である場合、宅地建物取引業者である買主Dとの間で、「中古建物であるため、A社は、当該建物が契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負わない」旨の特約を定めること。H24-39-2
    当該建物が中古建物である場合、宅地建物取引業者でない買主Eとの間で、「A社の担保責任を追及するためにEがA社に通知すべき期間を、売買契約締結の日にかかわらず引渡しの日から2年間とする」旨の特約を定めること。H24-39-3
    当該契約において、A社が当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、Bがその不適合をA社に通知すべき期間について、Bが知った時から2年間とする旨の特約を定めることができる。H23-37-4
    A社は、宅地建物取引業者である買主E社との間で、売買契約を締結したが、当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任について、「契約不適合による契約解除又は損害賠償の請求は、契約対象物件である宅地の引渡しの日から1年を経過したときはできない」とする旨の特約を定めていた。H23-39-4
    Aは、当該宅地の契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、Bがその不適合をAに通知すべき期間を当該宅地の引渡しの日から3年とする特約をすることができる。H22-40-1
    AがBとの間で締結した中古住宅の売買契約において、当該住宅を現状有姿で引き渡すとする特約と、Aが当該住宅の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負わないこととする特約とを定めた場合、その特約はいずれも有効である。H21-38-ア
    AがBとの間で締結した建物の売買契約において、Aは当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を一切負わないとする特約を定めた場合、この特約は無効となり、Aが当該責任を負う期間は当該建物の引渡しの日から2年間となる。H21-38-ウ
    Aは、自ら売主として行う中古建物の売買に際し、当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合をAに通知すべき期間を引渡しの日から2年間とする特約をした。H21-40-4
    Aは、当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間として、引渡しの日から2年で、かつ、Bが契約不適合を知った時から30日以内とする特約を定めることができる。H20-40-4
    「建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合、その不適合がAの責に帰すことのできるものでないときは、Aは担保責任を負わない」とする特約は有効である。H19-41-3
    買主Bとの売買契約において、物件が競売で取得した中古住宅であるため、現状有姿とし当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間を「引渡しから半年まで」と定めた契約書の条項は有効である。H14-41-1
    Aが、売買目的物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間について、その土地付建物の引渡しの時から1年間とする旨の特約をした場合は、その期間は、Bが契約不適合を知った時から1年間となる。H12-40-1
したがって誤っている記述は[4]です。