8種制限(全72問中11問目)

No.11

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で締結する建築工事完了前のマンション(代金3,000万円)の売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
令和元年試験 問37
  1. Aが手付金として200万円を受領しようとする場合、Aは、Bに対して書面で法第41条に定める手付金等の保全措置を講じないことを告げれば、当該手付金について保全措置を講じる必要はない。
  2. Aが手付金を受領している場合、Bが契約の履行に着手する前であっても、Aは、契約を解除することについて正当な理由がなければ、手付金の倍額を現実に提供して契約を解除することができない。
  3. Aが150万円を手付金として受領し、さらに建築工事完了前に中間金として50万円を受領しようとする場合、Aは、手付金と中間金の合計額200万円について法第41条に定める手付金等の保全措置を講じれば、当該中間金を受領することができる。
  4. Aが150万円を手付金として受領し、さらに建築工事完了前に中間金として500万円を受領しようとする場合、Aは、手付金と中間金の合計額650万円について法第41条に定める手付金等の保全措置を講じたとしても、当該中間金を受領することができない。

正解 3

問題難易度
肢17.0%
肢27.2%
肢376.3%
肢49.5%

解説

本問のマンションは未完成物件ですから「3,000万円×5%=150万円」を超える手付金等を受領する場合に保全措置が必要となります。
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  1. 誤り。受領しようとしている手付金(200万円)が150万円超なので保全措置の対象となります。書面で告げれば義務を免除されるという例外はありません。
  2. 誤り。宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約で手付を受領したときは、いかなる名目で受け取ったとしても解約手付として使うことができます。よって、買主Bが契約履行の着手前であれば、売主Aは手付金の倍額を現実に提供して契約を解除することができます。この場合に正当な理由は不要です(宅建業法39条2項)。
    宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであつても、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
  3. [正しい]。手付金は150万円ですので、手付金を受領する際には保全措置は不要です。その後、中間金50万円を受領すると手付金等の合計が150万円を超えるため、中間金の受領前に手付金と中間金の合計額につき保全措置を講じる必要があります。保全措置を講じた後ならば中間金を受領できます。
  4. 誤り。手付金は150万円ですので、手付金を受領する際には保全措置は不要です。肢3と同様に、中間金受領前に手付金と中間金の合計額につき保全措置を講じることで、中間金500万円を受領することが可能です。
したがって正しい記述は[3]です。