宅建試験過去問題 平成22年試験 問4
問4
AがBから甲土地を購入したところ、甲土地の所有者を名のるCがAに対して連絡してきた。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。- CもBから甲土地を購入しており、その売買契約書の日付とBA間の売買契約書の日付が同じである場合、登記がなくても、契約締結の時刻が早い方が所有権を主張することができる。
- 甲土地はCからB、BからAと売却されており、CB間の売買契約がBの強迫により締結されたことを理由として取り消された場合には、BA間の売買契約締結の時期にかかわらず、Cは登記がなくてもAに対して所有権を主張することができる。
- Cが時効により甲土地の所有権を取得した旨主張している場合、取得時効の進行中にBA間で売買契約及び所有権移転登記がなされ、その後に時効が完成しているときには、Cは登記がなくてもAに対して所有権を主張することができる。
- Cは債権者の追及を逃れるために売買契約の実態はないのに登記だけBに移し、Bがそれに乗じてAとの間で売買契約を締結した場合には、CB間の売買契約が存在しない以上、Aは所有権を主張することができない。
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正解 3
問題難易度
肢16.1%
肢239.4%
肢349.6%
肢44.9%
肢239.4%
肢349.6%
肢44.9%
分野
科目:A - 権利関係細目:5 - 所有権・共有・占有権・用益物権
解説
- 誤り。不動産が二重に譲渡された場合は、2人の買主が両立し得ない所有権を主張し合う関係、いわゆる対抗関係になります。民法では、不動産の物権は登記を備えることによって第三者に対抗できるとしているので、この規定に則り登記の早い方が権利を主張できます。契約締結時刻の先後は関係ありません(民法177条)。
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
- 誤り。BA間の契約が取消しの前であるか後であるかによって権利関係が異なります。
- Cの取消し前にBA間の契約
- 元の所有者Cが権利を主張できる
- Cの取消し後にBA間の契約
- 元の所有者Cと転得者であるAで、先に登記した方が権利を主張できる
契約の取消後の第三者には、登記を備えなければ対抗することができない
- [正しい]。時効取得者は、時効完成前に移転登記を備えた第三者に対して、登記なくして所有権を主張することが可能です(最判昭41.11.22)。これは、Bから甲土地の譲渡を受けたAは時効完成時の所有者であり、取得時効により所有権を失う当事者であるとされているからです。
不動産の時効取得者は、取得時効の進行中に原権利者から当該不動産の譲渡を受けその旨の移転登記を経由した者に対しては、登記がなくても、時効による所有権の取得を主張することができる。
- 誤り。CB間の売買契約は両者が通じて行った仮装のものですので通謀虚偽表示に当たります。通謀虚偽表示があった場合、第三者が悪意であれば無効を主張できますが、第三者が善意であれば無効を主張できません(民法94条)。よって、第三者であるAが善意であるときには、Aは甲土地の所有権を主張できることになります。本肢は条件にかかわらず「できない」としているので誤りです。
相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

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