宅建試験過去問題 平成22年試験 問3
問3
所有権及びそれ以外の財産権の取得時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。- 土地の賃借権は、物権ではなく、契約に基づく債権であるので、土地の継続的な用益という外形的かつ客観的事実が存在したとしても、時効によって取得することはできない。
- 自己の所有と信じて占有している土地の一部に、隣接する他人の土地の筆の一部が含まれていても、他の要件を満たせば、当該他人の土地の一部の所有権を時効によって取得することができる。
- 時効期間は、時効の基礎たる事実が開始された時を起算点としなければならず、時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない。
- 通行地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
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正解 1
問題難易度
肢151.8%
肢211.0%
肢314.2%
肢423.0%
肢211.0%
肢314.2%
肢423.0%
分野
科目:1 - 権利関係細目:4 - 条件・期間・時効
解説
- [誤り]。所有権以外の財産権であっても一定の要件を満たせば時効取得できます(民法163条最判昭43.10.8)。土地賃借権は所有権ではありませんが時効取得の対象となります。
所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、前条の区別に従い二十年又は十年を経過した後、その権利を取得する。
土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されているときは、土地賃借権を時効により取得することができる。
甲土地が農地である場合、BがAと甲土地につき賃貸借契約を締結して20年以上にわたって賃料を支払って継続的に耕作していても、農地法の許可がなければ、Bは、時効によって甲土地の賃借権を取得することはできない。(H27-4-4) - 正しい。占有していた部分が土地の一部であったとしても、一定の要件を満たせばその一部を時効取得することも可能です(民法162条1項最判昭52.3.31)。
二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
乙が甲から耕地整理組合による耕地整理事業が施行された土地を買い受けるにあたり、丁所有地の一部(係争地)が買受地に含まれるものと信じて買い受け、更に、丙もその旨を信じて乙から係争地を含めて右土地を買い受けた場合において、乙の係争地についての占有期間も六年余にわたり、しかも、その間、丁から何らの異議の申出もなかつたなど判示の事実関係があるときは、丙において、事前に登記簿等に基づき実地を調査しなかつたとしても、丙は、係争地の占有の開始につき無過失であつたと認めることができる。
Bが父から甲土地についての賃借権を相続により承継して賃料を払い続けている場合であっても、相続から20年間甲土地を占有したときは、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することができる。(H27-4-1)20年間、平穏に、かつ、公然と他人が所有する土地を占有した者は、占有取得の原因たる事実のいかんにかかわらず、当該土地の所有権を取得する。(H26-3-4)Bが所有の意思をもって5年間占有し、CがBから土地の譲渡を受けて平穏・公然に5年間占有した場合、Cが占有の開始時に善意・無過失であれば、Bの占有に瑕疵があるかどうかにかかわらず、Cは10年の取得時効を主張できる。(H16-5-2)Cが期間を定めずBから土地を借りて利用していた場合、Cの占有が20年を超えれば、Cは20年の取得時効を主張することができる。(H16-5-4) - 正しい。時効の援用者が時効起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできません(最判昭35.7.27)。
時効期間は、時効の基礎たる事実の開始された時を起算点として計算すべきもので、時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない。
- 正しい。通行地役権とは、他人の土地を通行するために設定される地役権です。通行地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができます(民法283条)。
地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
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