8種制限(全72問中10問目)

No.10

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として締結する売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
令和2年10月試験 問42
  1. Aが宅地建物取引業者ではないBとの間で締結する宅地の売買契約において、当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間をBがその不適合を知った時から2年とする特約を定めた場合、この特約は有効である。
  2. Aが宅地建物取引業者ではないCとの間で建築工事の完了前に締結する建物(代金5,000万円)の売買契約においては、Aは、手付金200万円を受領した後、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じなければ、当該建物の引渡し前に中間金300万円を受領することができない。
  3. Aが宅地建物取引業者Dとの間で造成工事の完了後に締結する宅地(代金3,000万円)の売買契約においては、Aは、法第41条の2に定める手付金等の保全措置を講じないで、当該宅地の引渡し前に手付金800万円を受領することができる。
  4. Aが宅地建物取引業者ではないEとの間で締結する建物の売買契約において、Aは当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を一切負わないとする特約を定めた場合、この特約は無効となり、Aが当該責任を負う期間は当該建物の引渡日から2年となる。

正解 4

問題難易度
肢112.2%
肢210.6%
肢321.1%
肢456.1%

解説

  1. 正しい。宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約では、売買目的物の契約不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間について、引渡し日から2年以上とする場合を除き、民法の規定よりも買主に不利な特約は無効となります(宅建業法40条)。民法では、売主の担保責任を追及するには、買主がその不適合を知った時から1年以内に通知すれば良いされているので、民法の規定より買主が追及できる期間を伸長する本肢の特約は有効です。
    本肢は出題ミスとして公式解答で誤りとなりましたが、本サイトでは出題の本旨に沿って正しい肢となるように「担保すべき責任を負う期間」から「担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間」に改題しています。
    宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
    2 前項の規定に反する特約は、無効とする。
  2. 正しい。未完成物件の場合は、受領しようとする手付金等の額が(受領済の額を含めて)代金の5%または1,000万円を超える場合に保全措置が必要となります。
    42_1.gif./image-size:472×123
    本肢の建物の代金は5,000万円ですから「5,000万円×5%=250万円」以下ならば保全措置不要で受領できます。手付金200万円の受領段階では保全措置は不要ですが、それに加えて中間金300万円を受領すると手付金等の額が250万円を超えます。よって、中間金の受領前に、既に受領した手付金と受領しようとしている中間金を合わせた500万円について保全措置を講じる必要があります。
  3. 正しい。相手方が宅地建物取引業者である場合には、保全措置および手付金の額を制限する規定は適用されません。よって、宅地建物取引業者Aは保全措置を講じずに800万円を受領することができます。
    42_2.gif./image-size:355×262
  4. [誤り]。宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約では、契約不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間について、引渡しから2年以上とする場合を除き、民法の規定よりも買主に不利な特約は無効となります(宅建業法40条)。契約不適合を担保すべき責任を負わないとする特約は、明らかに民法の規定より買主に不利ですから無効になります。無効になると特約が当初から存在しなかったことになるので、民法の規定が適用され、当該責任を負う期間は契約不適合を知った時から1年以内となります(民法566条)。
    宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
    2 前項の規定に反する特約は、無効とする。
    売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。
したがって誤っている記述は[1]と[4]です。