業務上の規制(全85問中32問目)
No.32
宅地建物取引業者Aが行う業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定に違反しないものはいくつあるか。- Aは、法第49条に規定されている業務に関する帳簿について、業務上知り得た秘密が含まれているため、当該帳簿の閉鎖後、遅滞なく、専門業者に委託して廃棄した。
- Aは、宅地の売却を希望するBと専任代理契約を締結した。Aは、Bの要望を踏まえ、当該代理契約に指定流通機構に登録しない旨の特約を付したため、その登録をしなかった。
- Aの従業者Cは、投資用マンションの販売において、勧誘に先立ちAの名称を告げず、自己の氏名及び契約締結の勧誘が目的であることを告げたうえで勧誘を行ったが、相手方から関心がない旨の意思表示があったので、勧誘の継続を断念した。
- Aは、自ら売主として新築マンションを分譲するに当たり、売買契約の締結に際して買主から手付を受領した。その後、当該契約の当事者の双方が契約の履行に着手する前に、Aは、手付を買主に返還して、契約を一方的に解除した。
平成29年試験 問28
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- なし
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正解 4
問題難易度
肢121.6%
肢27.6%
肢33.4%
肢467.4%
肢27.6%
肢33.4%
肢467.4%
分野
科目:5 - 宅地建物取引業法等細目:5 - 業務上の規制
解説
- 違反する。宅地建物取引業者は、業務に関する帳簿を、各事業年度末日をもって閉鎖し、閉鎖後5年間は保存しなければいけません(宅建業法規則18条3項)。本肢は5年を待たずに廃棄しているので違反行為となります。
宅地建物取引業者は、法第四十九条に規定する帳簿(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は電磁的記録媒体を含む。)を各事業年度の末日をもつて閉鎖するものとし、閉鎖後五年間(当該宅地建物取引業者が自ら売主となる新築住宅に係るものにあつては、十年間)当該帳簿を保存しなければならない。
宅地建物取引業者は、帳簿を各事業年度の末日をもって閉鎖するものとし、閉鎖後5年間当該帳簿を保存しなければならないが、自ら売主となり、又は売買の媒介をする新築住宅に係るものにあっては10年間保存しなければならない。(R2⑫-41-3)宅地建物取引業者は、その業務に関する帳簿を、各取引の終了後5年間、当該宅地建物取引業者が自ら売主となる新築住宅に係るものにあっては10年間、保存しなければならない。(R1-40-2)宅地建物取引業者は、その業務に関する帳簿を、各事業年度の末日をもって閉鎖し、閉鎖後5年間(自ら売主となる新築住宅の売買については10年間)当該帳簿を保存しなければならない。(H12-42-2) - 違反する。宅地建物の売買・交換の代理を依頼する契約には媒介契約の規定が準用されます(宅建業法34条の3)。宅地建物取引業者が専任媒介契約を締結したときは一定の事項を指定流通機構に登録しなければなりません。指定流通機構に登録しない旨を定めた特約は無効となります(宅建業法34条の2第5項)。代理契約でも同様です。
前条の規定は、宅地建物取引業者に宅地又は建物の売買又は交換の代理を依頼する契約について準用する。
宅地建物取引業者は、専任媒介契約を締結したときは、契約の相手方を探索するため、国土交通省令で定める期間内に、当該専任媒介契約の目的物である宅地又は建物につき、所在、規模、形質、売買すべき価額その他国土交通省令で定める事項を、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣が指定する者(以下「指定流通機構」という。)に登録しなければならない。
Aは、宅地建物取引業者Bから宅地の売却についての依頼を受けた場合、媒介契約を締結したときは媒介契約の内容を記載した書面を交付しなければならないが、代理契約を締結したときは代理契約の内容を記載した書面を交付する必要はない。(H28-41-1) - 違反する。勧誘においては、宅地建物取引業者の商号または名称も告げる必要があります。自己の氏名と勧誘目的を告げるだけでは足りません(宅建業法規則16条の11第1号ハ)。本肢は「Aの名称を告げず」としているので違反行為となります。
当該勧誘に先立つて宅地建物取引業者の商号又は名称及び当該勧誘を行う者の氏名並びに当該契約の締結について勧誘をする目的である旨を告げずに、勧誘を行うこと。
Aの従業員Bが、Cが所有する戸建住宅の買取りを目的とした訪問勧誘をCに対して行ったところ、Cから「契約の意思がないので今後勧誘に来ないでほしい」と言われたことから、後日、Aは、別の従業員Dに同じ目的で訪問勧誘を行わせて、当該勧誘を継続した。(R5-28-ア)Aはアンケート調査を装ってその目的がマンションの売買の勧誘であることを告げずに個人宅を訪問し、マンションの売買の勧誘をした。(R5-36-エ)宅地建物取引業者が、アンケート調査をすることを装って電話をし、その目的がマンションの売買の勧誘であることを告げずに勧誘をする行為は、法に違反する。(H29-34-2)Aの従業者は、投資用マンションの販売において、相手方に事前の連絡をしないまま自宅を訪問し、その際、勧誘に先立って、業者名、自己の氏名、契約締結の勧誘が目的である旨を告げた上で勧誘を行った。(H26-43-2) - 違反する。売買契約で手付が交付され場合、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄して、売主は手付の倍額を買主に現に提供することで契約を解除することができます(宅建業法39条2項)。本件の場合、売主である宅地建物取引業者は手付の倍額を提供しなければなりませんが、手付の額そのまましか返還していないので違反行為となります。
宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであつても、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
Aが、宅地又は建物の売買契約に際して手付を受領した場合、その手付がいかなる性質のものであっても、Aが契約の履行に着手するまでの間、買主はその手付を放棄して契約の解除をすることができる。(R4-43-1)AB間の建物の売買契約において、Bが当該契約の履行に着手した後においては、Aは、契約の締結に際してBから受領した手付金の倍額をBに現実に提供したとしても、契約を解除することはできない。(R2⑩-32-1)Aが手付金を受領している場合、Bが契約の履行に着手する前であっても、Aは、契約を解除することについて正当な理由がなければ、手付金の倍額を現実に提供して契約を解除することができない。(R1-37-2)Aは、建築工事完了前のマンションの売買契約を締結する際に、Bから手付金500万円を受領したが、Bに当該手付金500万円を現実に提供して、契約を一方的に解除した。(H28-28-ウ)Aは、Bとの間で建築工事完了後の建物に係る売買契約(代金3,000万円)において、「Aが契約の履行に着手するまでは、Bは、売買代金の1割を支払うことで契約の解除ができる。」とする特約を定め、Bから手付金10万円を受領した。この場合、この特約は有効である。(H27-40-ア)「手付放棄による契約の解除は、契約締結後30日以内に限る」旨の特約を定めた場合、契約締結後30日を経過したときは、Aが契約の履行に着手していなかったとしても、Bは、手付を放棄して契約の解除をすることができない。(H26-31-ウ)A社は、Bとの間における土地付建物の売買契約の締結に当たり、手付金100万円及び中間金200万円を受領する旨の約定を設けた際、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、売主は買主に受領済みの手付金及び中間金の倍額を支払い、また、買主は売主に支払済みの手付金及び中間金を放棄して、契約を解除できる旨の特約を定めた。この特約は有効である。(H25-38-ウ)当該契約の締結に際し、BがA社に手付金を支払い、さらに中間金を支払った場合、Bは、A社が契約の履行に着手しないときであっても、支払った手付金を放棄して契約の解除をすることができない。(H23-37-1)Aが、当該売買契約の解除を行う場合は、Bに対して「手付の倍額を提供して、契約を解除する。」という意思表示を書面で行うことのみをもって、契約を解除することができる。(H22-39-3)Aが当該マンションの売買契約締結時に、手付金として500万円をBから受領している場合において、Bが契約の履行に着手していないときは、Aは、Bに500万円を現実に提供すれば、当該売買契約を解除することができる。(H19-34-1)宅地建物取引業者Fが自ら売主となって、宅地建物取引業者でないGと宅地の売買契約を締結するに際して手付金を受領する場合において、その手付金が解約手付である旨の定めがないときは、Fが契約の履行に着手していなくても、Gは手付金を放棄して契約の解除をすることができない。(H19-43-4)当該契約に「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、Aは受領した手付を返還して、契約を解徐することができる」旨の特約を定めた場合、その特約は無効である。(H18-39-3)相手方が契約の履行に着手するまでは、Bは手付金のうち250万円を放棄して、また、Aは1,000万円を現実に提供して、契約を解除することができる旨の定めをすることができる。(H15-41-1)Bが手付を支払った後、代金の一部を支払った場合は、Aは、手付の倍額を現実に提供することによる契約解除はできない。(H14-40-2)AB間の契約においては、「Aがマンションの引渡しができない場合には、当該手付金の全額を返還するので、Bの履行着手前にAが契約を解除してもBは損害賠償その他の金銭を請求しない」旨の特約をすることができる。(H13-41-3)
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