宅建試験過去問題 平成12年試験 問42(改題)

問42

次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. 宅地建物取引業者は、その業務に関する各事務所の帳簿を一括して主たる事務所に、従業者名簿を各事務所ごとに備えなければならない。
  2. 宅地建物取引業者は、その業務に関する帳簿を、各事業年度の末日をもって閉鎖し、閉鎖後5年間(自ら売主となる新築住宅の売買については10年間)当該帳簿を保存しなければならない。
  3. 宅地建物取引業者は、その業務に従事する者であっても、アルバイトとして一時的に事務の補助をする者については、従業者名簿に記載する必要はない。
  4. 宅地建物取引業者は、宅地建物取引業法第49条の規定に違反して業務に関する帳簿を備え付けなかったときでも、罰金の刑に処せられることはない。

正解 2

問題難易度
肢111.0%
肢278.5%
肢34.8%
肢45.7%

解説

  1. 誤り。「一括して主たる事務所に」ではありません。従業者名簿と帳簿は事務所ごとに備えなければなりません(宅建業法48条3項)。
    宅地建物取引業者は、国土交通省令で定めるところにより、その事務所ごとに、従業者名簿を備え、従業者の氏名、第一項の証明書の番号その他国土交通省令で定める事項を記載しなければならない。
    宅地建物取引業者は、その業務に従事する者であっても、一時的に事務の補助のために雇用した者については、従業者名簿に記載する必要がない。H29-35-4
    宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備えなければならないが、退職した従業者に関する事項は従業者名簿への記載の対象ではない。H26-41-4
    宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、従業者名簿を備えなければならず、当該名簿については最終の記載をした日から10年間保存しなければならない。H24-40-ウ
    宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備える業務を怠った場合、監督処分を受けることはあっても罰則の適用を受けることはない。H22-29-2
    宅地建物取引業者は、主たる事務所には、設置しているすべての事務所の従業者名簿を、従たる事務所には、その事務所の従業者名簿を備えなければならない。H20-42-3
    宅地建物取引業者は、その事務所に備える従業者名簿に、従業者が宅地建物取引士であるか否かの別を記載しなかった場合、業務停止の処分を受けることがあるが、罰金の刑に処せられることはない。H12-31-4
  2. [正しい]。帳簿は各事業年度末をもって閉鎖し、原則として、閉鎖後5年間は当該帳簿を保存する必要があります(宅建業法規則18条3項)。各事業年度の末日には決算があるので、決算後5年間ということになります。また、履行確保法との関係で、自ら売主となる新築住宅の売買に関する帳簿については、10年間の保存が義務付けられています。
    宅地建物取引業者は、法第四十九条に規定する帳簿(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は電磁的記録媒体を含む。)を各事業年度の末日をもつて閉鎖するものとし、閉鎖後五年間(当該宅地建物取引業者が自ら売主となる新築住宅に係るものにあつては、十年間)当該帳簿を保存しなければならない。
    宅地建物取引業者は、帳簿を各事業年度の末日をもって閉鎖するものとし、閉鎖後5年間当該帳簿を保存しなければならないが、自ら売主となり、又は売買の媒介をする新築住宅に係るものにあっては10年間保存しなければならない。R2⑫-41-3
    宅地建物取引業者は、その業務に関する帳簿を、各取引の終了後5年間、当該宅地建物取引業者が自ら売主となる新築住宅に係るものにあっては10年間、保存しなければならない。R1-40-2
    Aは、法第49条に規定されている業務に関する帳簿について、業務上知り得た秘密が含まれているため、当該帳簿の閉鎖後、遅滞なく、専門業者に委託して廃棄した。H29-28-ア
  3. 誤り。常勤・非常勤問わず、一時的な雇用者であっても、宅地建物取引業に関与する者であれば「従業者の範囲」含まれます。したがって、アルバイトとして一時的に宅地建物取引業に関する事務の補助をする者も、従業者名簿に記載する必要があります(解釈運用-規則第15条の5の3関係)。
    原則として、代表者、役員(非常勤の役員を除く。)及びすべての従業員等が含まれ、受付、秘書、運転手等の業務に従事する者も対象となるが、宅地建物の取引に直接的な関係が乏しい業務に臨時的に従事する者はこれに該当しないこととする。
  4. 誤り。事務所ごとに業務に関する帳簿を備え付けなかったときは、指示処分の対象となるとともに50万円以下の罰金の刑に処せられます(宅建業法83条4号)。
    次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

    四 第四十九条の規定による帳簿を備え付けず、又はこれに同条に規定する事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をした者
したがって正しい記述は[2]です。