農地法(全25問中8問目)

No.8

農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
平成29年試験 問15
  1. 市街化区域内の農地を耕作のために借り入れる場合、あらかじめ農業委員会に届出をすれば、法第3条第1項の許可を受ける必要はない。
  2. 市街化調整区域内の4ヘクタールを超える農地について、これを転用するために所有権を取得する場合、農林水産大臣の許可を受ける必要がある。
  3. 銀行から500万円を借り入れるために農地に抵当権を設定する場合、法第3条第1項又は第5条第1項の許可を受ける必要がある。
  4. 相続により農地の所有権を取得した者は、遅滞なく、その農地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。

正解 4

問題難易度
肢117.5%
肢29.0%
肢35.0%
肢468.5%

解説

  1. 誤り。市街化区域内の農地について許可ではなく届出で済むのは、4条許可または5条許可です。3条許可は、通常通り3条許可を受ける必要があります。
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  2. 誤り。転用する農地の規模にかかわらず、都道府県知事の許可を受けることになります。4ヘクタールを超える農地について農林水産大臣の許可を受ける必要があったのは旧農地法の定めであり、現在は撤廃されています。
  3. 誤り。農地法では権利移動として所有権の移転のほか、地上権、永小作権、質権、使用貸借、賃借権等の使用収益を目的とする権利を設定する場合としています(農地法3条1項)。抵当権では使用収益する権利は依然として抵当権設定者にありますから、権利移動には含まれません。よって、許可は不要です。
    農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第五条第一項本文に規定する場合は、この限りでない。
  4. [正しい]。相続による取得では3条許可が不要ですが、取得後に遅滞なくその旨を農業委員会に届け出る必要があります(農地法3条の3)。この届出は実務上、被相続人の死亡を知った時からおおむね10ヶ月以内にすることとされています。
    農地又は採草放牧地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得した者は、同項の許可を受けてこれらの権利を取得した場合、同項各号(第十二号及び第十六号を除く。)のいずれかに該当する場合その他農林水産省令で定める場合を除き、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その農地又は採草放牧地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。
したがって正しい記述は[4]です。