宅建試験過去問題 令和2年12月試験 問31

問31

宅地建物取引業の免許に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. 宅地建物取引業者が、免許を受けてから1年以内に事業を開始せず免許が取り消され、その後5年を経過していない場合は、免許を受けることができない。
  2. 免許を受けようとしている法人の政令で定める使用人が、破産手続開始の決定を受け、復権を得てから5年を経過していない場合、当該法人は免許を受けることができない。
  3. 免許権者は、免許に条件を付することができ、免許の更新に当たっても条件を付することができる。
  4. 宅地建物取引業者の役員の住所に変更があったときは、30日以内に免許権者に変更を届け出なければならない。

正解 3

問題難易度
肢18.9%
肢25.0%
肢373.1%
肢413.0%

解説

  1. 誤り。免許取消処分を受けた後、その取消しの日から5年間免許を受けることができないのは以下の3つの事由(三大悪事)に該当するときです(宅建業法5条1項3号)。
    1. 不正の手段により免許を受けたとき
    2. 業務停止処分の事由に該当し、情状が特に重いとき
    3. 業務停止処分に違反したとき
    免許を受けてから1年以内に事業を開始しない、または引き続いて1年以上事業を休止することは免許取消処分の事由の1つですが、上記3つのいずれにも該当しないので、5年を待つことなく免許を受けることができます。
    免許を受けようとするA社に、刑法第204条(傷害)の罪により懲役1年(執行猶予2年)の刑に処せられ、その刑の執行猶予期間を満了した者が役員として在籍している場合、その満了の日から5年を経過していなくとも、A社は免許を受けることができる。H24-26-1
    宅地建物取引業者Cは、業務停止処分の聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間に、相当の理由なく廃業の届出を行った。この場合、Cは、当該届出の日から5年を経過しなければ、免許を受けることができない。H21-27-ウ
    E社は乙県知事から業務停止処分についての聴聞の期日及び場所を公示されたが、その公示後聴聞が行われる前に、相当の理由なく宅地建物取引業を廃止した旨の届出をした。その届出の日から5年を経過していない場合、E社は免許を受けることができない。H18-30-4
  2. 誤り。欠格事由となるのは「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」です。復権を得れば直ちに欠格事由ではなくなるので、5年を待つことなく免許を受けることができます(宅建業法5条1項1号)。
    免許を受けようとする個人Bが破産手続開始の決定を受けた後に復権を得た場合においても、Bは免許を受けることができない。R3⑩-27-2
    免許を受けようとするE社の取締役について、破産手続開始の決定があった場合、復権を得た日から5年を経過しなければ、E社は免許を受けることができない。R2⑩-43-4
    法人Aの役員のうちに、破産手続開始の決定がなされた後、復権を得てから5年を経過しない者がいる場合、Aは、免許を受けることができない。H22-27-1
    破産者であった個人Aは、復権を得てから5年を経過しなければ、免許を受けることができない。H21-27-ア
    宅地建物取引業者C社が業務停止処分に違反したとして、免許を取り消され、その取消しの日から5年を経過していない場合、C社は免許を受けることができない。H19-33-3
    D社の取締役が、かつて破産手続開始の決定を受けたことがある場合で、復権を得てから5年を経過しないとき、D社は免許を受けることができない。H19-33-4
    個人Dは、かつて破産手続開始の決定を受け、現在は復権を得ているが、復権を得た日から5年を経過していないので、Dは免許を受けることができない。H16-31-4
  3. [正しい]。免許権者は、免許を受けようとするときや免許の更新時に、免許に必要な最小限度の条件を付すことができます(宅建業法3条の2第1項)。この条件に違反した宅地建物取引業者は免許を取り消されることがあります(宅建業法66条2項)。
    国土交通大臣又は都道府県知事は、前条第一項の免許(同条第三項の免許の更新を含む。第二十五条第六項を除き、以下同じ。)に条件を付し、及びこれを変更することができる。
    国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が第三条の二第一項の規定により付された条件に違反したときは、当該宅地建物取引業者の免許を取り消すことができる。
    国土交通大臣又は都道府県知事は、免許に条件を付すことができるが、免許の更新に当たっても条件を付すことができる。H26-27-2
  4. 誤り。役員に関する情報のうち宅建業者名簿に記載されるのは「氏名」のみです。よって、役員の「住所」変更を免許権者に届け出る必要はありません(宅建業法8条2項3号)。宅建業者名簿は一般に公開されるので、個人の住所を記載することは個人情報保護の面での配慮に欠けますよね。
    宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、新たに宅地建物取引業を営む支店を甲県内に設置した場合、Aはその日から30日以内にその旨を甲県知事に届け出なければならない。R5-32-1
    宅地建物取引業者D(丙県知事免許)が、本店における専任の宅地建物取引士Eの退職に伴い、新たに専任の宅地建物取引士Fを本店に置いた場合、Dはその日から30日以内にその旨を丙県知事に届け出なければならない。R5-32-3
    宅地建物取引士の氏名等が登載されている宅地建物取引士資格登録簿は一般の閲覧に供されることとはされていないが、専任の宅地建物取引士は、その氏名が宅地建物取引業者名簿に登載され、当該名簿が一般の閲覧に供される。R3⑫-37-2
    いずれも宅地建物取引士ではないDとEが宅地建物取引業者F社の取締役に就任した。Dが常勤、Eが非常勤である場合、F社はDについてのみ役員の変更を免許権者に届け出る必要がある。H30-36-4
    宅地建物取引業者C社(甲県知事免許)の主たる事務所の専任の宅地建物取引士Dが死亡した場合、当該事務所に従事する者17名に対し、専任の宅地建物取引士4名が設置されていれば、C社が甲県知事に届出をする事項はない。H24-36-3
    法人である宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、役員の住所について変更があった場合、その日から30日以内に、その旨を甲県知事に届け出なければならない。H21-28-1
    宅地建物取引士ではないCがA社の非常勤の取締役に就任したとき、A社はその旨を甲県知事に届け出る必要はない。H18-31-2
    宅地建物取引業者B社(乙県知事免許)の政令で定める使用人Cが本籍地を変更した場合、B社は、その旨を乙県知事に届け出る必要はない。H16-32-2
    A社の専任の宅地建物取引士がBからCに交代した場合、A社は2週間以内に甲県知事に対して、宅地建物取引業者名簿の変更の届出を行わなければならない。H16-33-3
    a支店に専任の宅地建物取引士Cを置き、宅地建物取引業を行う場合、Aは、Cを置いた日から2週間以内に専任の宅地建物取引士の変更の届出を行う必要がある。H15-32-2
したがって正しい記述は[3]です。