宅建試験過去問題 平成19年試験 問5

問5

不法行為による損害賠償に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
  1. 不法行為による損害賠償の支払債務は、催告を待たず、損害発生と同時に遅滞に陥るので、その時以降完済に至るまでの遅延損害金を支払わなければならない。
  2. 不法行為によって名誉を毀損された者の慰謝料請求権は、被害者が生前に請求の意思を表明しなかった場合でも、相続の対象となる。
  3. 加害者数人が、共同不法行為として民法第719条により各自連帯して損害賠償の責任を負う場合、その1人に対する履行の請求は、他の加害者に対してはその効力を有しない。
  4. 不法行為による損害賠償の請求権の消滅時効の期間は、権利を行使することができることとなった時から10年である。

正解 4

解説

  1. 正しい。不法行為による損害賠償の支払債務は、催告を待たず、損害発生と同時に履行遅滞に陥ることとなります(民法412条3項最判昭39.2.25)。
    よって、完済までの期間に応じた遅延損害金が発生します。
    債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。
    不法行為に基づく損害賠償債務は、なんらの催告を要することなく、損害の発生と同時に遅滞に陥るものと解すべきである。
  2. 正しい。不法行為によって名誉を毀損された者は慰謝料請求権を取得します(民法710条)。被害者が生前に請求の意思を表明しなかった場合でも、一般債権と同じように相続の対象となります(最判昭42.11.1)。
    他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
    不法行為による慰藉料請求権は、被害者が生前に請求の意思を表明しなくても、相続の対象となる。
  3. 正しい。共同不法行為による債務は、加害者が連帯して損害を賠償する責任を負います(民法719条1項)。連帯債務では、連帯債務者の1人に対して生じた事由は、更改、相殺、混同を除いて他の債務者に対しても効力が生じませんから、その1人に対する履行の請求は、他の加害者に対しては効力を有しません(民法441条)。
    数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
    第四百三十八条、第四百三十九条第一項及び前条に規定する場合を除き、連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。ただし、債権者及び他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したときは、当該他の連帯債務者に対する効力は、その意思に従う。
  4. [誤り]。不法行為による損害賠償請求権は、原則として損害及び加害者を知った時から3年、または不法行為時から20年経過すると時効消滅します(民法724条)。本肢は「10年」としているので誤りです。
    不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
    一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
    二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。
したがって誤っている記述は[4]です。