宅建試験過去問題 平成25年試験 問9
問9
Aに雇用されているBが、勤務中にA所有の乗用車を運転し、営業活動のため顧客Cを同乗させている途中で、Dが運転していたD所有の乗用車と正面衝突した(なお、事故についてはBとDに過失がある。)場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。- Aは、Cに対して事故によって受けたCの損害の全額を賠償した。この場合、Aは、BとDの過失割合に従って、Dに対して求償権を行使することができる。
- Aは、Dに対して事故によって受けたDの損害の全額を賠償した。この場合、Aは、被用者であるBに対して求償権を行使することはできない。
- 事故によって損害を受けたCは、AとBに対して損害賠償を請求することはできるが、Dに対して損害賠償を請求することはできない。
- 事故によって損害を受けたDは、Aに対して損害賠償を請求することはできるが、Bに対して損害賠償を請求することはできない。
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正解 1
問題難易度
肢184.4%
肢24.7%
肢33.9%
肢47.0%
肢24.7%
肢33.9%
肢47.0%
分野
科目:A - 権利関係細目:11 - 不法行為・事務管理
解説

- [正しい]。B・Dは共同して、Cに損害を与えているので共同不法行為となります。共同不法行為があった場合、加害者はそれぞれの過失割合を負担部分として連帯して不正行為責任を負います(民法719条1項)。また、使用者であるAも使用者責任により連帯責任を負います。A・B・Dが連帯債務の関係にあるので、被害者Cに全額の損害賠償をしたAは、Dに対し、求償をすることができます。
数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
- 誤り。Dの損害に対しては、加害者Bとその使用者Aが連帯して不正行為責任を負います。このとき損害の全額の賠償をしたAは、Bに対し求償することができます(民法715条3項)。ただし、被用者に求償できる額には信義則上相当と認められる限度までに制限されます(最判昭51.7.8)。
前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
- 誤り。B・Dは共同不法行為によってCに損害を与えており、Aにも使用者責任があるので、A・B・Dは連帯してCに対する不正行為責任を負います(民法719条1項民法715条1項)。連帯債務では、債権者は連帯債務者の誰に対しても全部又は一部の履行を求めることができるので、Cは、A・B・Dの誰に対しても、損害賠償を請求することができます。
数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
- 誤り。従業員Bが業務中に起こした事故なので、使用者であるAも、Dに対して連帯して不正行為責任を負います(民法715条1項)。A・Bは連帯債務の関係にあるので、Dは、Aに対してもBに対しても損害賠償を請求することができます。
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
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