宅建試験過去問題 平成19年試験 問4

問4

A、B及びCが、持分を各3分の1とする甲土地を共有している場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
  1. 共有者の協議に基づかないでAから甲土地の占有使用を承認されたDは、Aの持分に基づくものと認められる限度で甲土地を占有使用することができる。
  2. A、B及びCが甲土地について、Eと賃貸借契約を締結している場合、AとBが合意すれば、Cの合意はなくとも、賃貸借契約を解除することができる。
  3. A、B及びCは、5年を超えない期間内は甲土地を分割しない旨の契約を締結することができる。
  4. Aがその持分を放棄した場合には、その持分は所有者のない不動産として、国庫に帰属する。

正解 4

問題難易度
肢13.4%
肢212.7%
肢34.4%
肢479.5%

解説

  1. 正しい。共有者は、共有物の全部を持分に応じて使用することができます(民法249条1項)。よって、本肢のように当該共有者の持分に基づくものと認められる限度でDのような第三者に甲土地を占有使用させることもできます(最判昭63.5.20)。
    各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
    共有者の一部の者から共有物を占有使用することを承認された第三者に対して、その余の共有者は、当然には、共有物の明渡しを請求することができない。
  2. 正しい。共有物の賃貸借契約を解除する行為は「管理行為」に該当します。管理行為を行う場合は、共有者の持分価格の過半数により決することとなります(民法252条)。
    AとBの持分を合わせると全体の3分の2となるため、Cの合意がなくてもEとの賃貸借契約を解除できます。
    共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。
  3. 正しい。共有者は、5年以内で共有物を分割しない期間を定める契約を締結することができます(民法256条1項)。
    各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
  4. [誤り]。他の共有者がいる場合、放棄した持分は他の共有者に帰属することとなります(民法255条)。国庫に帰属ではありません。
    共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
したがって誤っている記述は[4]です。