37条書面(全35問中25問目)

No.25

宅地建物取引業者A社が宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、法の規定に違反するものはどれか。なお、書面の交付には、契約の各当事者の承諾を得て行う電磁的方法による提供を含むものとする。
平成24年試験 問31
  1. A社は、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主との間で宅地の売買契約を締結した。この際、当該買主の代理として宅地建物取引業者B社が関与していたことから、37条書面を買主に加えてB社へも交付した。
  2. A社は、宅地建物取引業者C社が所有する建物について、宅地建物取引業者でない買主から購入の媒介の依頼を受け、当該建物の売買契約を成立させた。この際、C社と当該買主との間では、C社が法第41条の2に規定する手付金等の保全措置を講じており、A社もそのことを知っていたが、37条書面には当該措置の内容を記載しなかった。
  3. A社は、建築工事完了前の建物の売買を媒介し、当該売買契約を成立させた。この際、37条書面に記載する当該建物を特定するために必要な表示については、法第35条の規定に基づく重要事項の説明において使用した図書があったため、当該図書の交付により行った。
  4. A社は、居住用建物の貸借を媒介し、当該賃貸借契約を成立させた。この際、当該建物の引渡しの時期に関する定めがあったが、法第35条の規定に基づく重要事項の説明において、既に借主へ伝達していたことから、37条書面にはその内容を記載しなかった。

正解 4

問題難易度
肢14.9%
肢217.9%
肢39.9%
肢467.3%

解説

  1. 違反しない。宅地建物取引業者は、37条書面を契約の両当事者に交付しなければなりません(宅建業法37条1項)。本肢のケースでは、A社及び買主への交付のみで足りますが、B社に対して交付した場合でも宅建業法に違反するというわけではありません。
    宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
  2. 違反しない。手付金等の保全措置の概要は35条書面の記載事項ですが、37条書面の記載事項ではありません。
  3. 違反しない。法定の必要な表示を得ることができれば、重要事項説明で用いた図書を交付しても問題ありません(宅建業法37条1項2号)。
    当該宅地の所在、地番その他当該宅地を特定するために必要な表示又は当該建物の所在、種類、構造その他当該建物を特定するために必要な表示
  4. 違反する。宅地又は建物の引渡しの時期は、取引態様を問わず、37条書面の必要的記載事項です。重要事項として説明していた場合でも、37条書面への記載を省略することはできません。よって、宅建業法違反となります(宅建業法37条2項1号宅建業法37条1項4号)。
    宅地建物取引業者は、宅地又は建物の貸借に関し、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
    一 前項第一号、第二号、第四号、第七号、第八号及び第十号に掲げる事項
    宅地又は建物の引渡しの時期
したがって違反するものは[4]です。