媒介契約(全29問中3問目)

No.3

宅地建物取引業者Aは、BからB所有の宅地の売却について媒介の依頼を受けた。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。なお、この問において「専任媒介契約」とは、専属専任媒介契約ではない専任媒介契約をいう。また、書面の交付には、依頼者の承諾を得て行う電磁的方法による提供を含むものとする。
  1. AがBとの間で専任媒介契約を締結した場合、AはBに対して、当該専任媒介契約に係る業務の処理状況を1週間に1回以上報告しなければならない。
  2. AがBとの間で専任媒介契約を締結した場合、Bの要望により当該宅地を指定流通機構に登録しない旨の特約をしているときを除き、Aは、当該専任媒介契約締結日から7日以内(休業日数を含まない。)に、指定流通機構に当該宅地の所在等を登録しなければならない。
  3. AがBとの間で一般媒介契約を締結した場合、AはBに対して、遅滞なく、宅地建物取引業法第34条の2第1項の規定に基づく書面を交付しなければならない。
  4. AがBとの間で一般媒介契約を締結した場合、AがBに対し当該宅地の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないが、根拠の明示は口頭でも書面を用いてもよい。
令和3年12月試験 問33
  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ

正解 2

問題難易度
肢117.8%
肢261.4%
肢318.4%
肢42.4%

解説

  1. 誤り。専属専任媒介契約ではない専任媒介契約なので、報告頻度は1週間に1回以上ではなく、2週間に1回以上が適切です。
    専任媒介契約では依頼者に対して定期的に業務の処理状況を報告する義務があります。報告頻度は、専任媒介契約の場合は2週間に1回以上、専属専任媒介契約の場合は1週間に1回以上です(宅建業法34条の2第9項)。
    専任媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、前項に定めるもののほか、依頼者に対し、当該専任媒介契約に係る業務の処理状況を二週間に一回以上(依頼者が当該宅地建物取引業者が探索した相手方以外の者と売買又は交換の契約を締結することができない旨の特約を含む専任媒介契約にあつては、一週間に一回以上)報告しなければならない。
  2. 誤り。専任媒介契約における指定流通機構への登録は、取引の相手方を探索するための措置であり宅地建物取引業者の義務です。これに反する特約は無効となるので、Aは特約の有無にかかわらず、契約締結日から7日以内(休業日を除く)に指定流通機構に登録をしなければなりません(宅建業法34条の2第5項宅建業法34条の2第10項)。
    宅地建物取引業者は、専任媒介契約を締結したときは、契約の相手方を探索するため、国土交通省令で定める期間内に、当該専任媒介契約の目的物である宅地又は建物につき、所在、規模、形質、売買すべき価額その他国土交通省令で定める事項を、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣が指定する者(以下「指定流通機構」という。)に登録しなければならない。
    第三項から第六項まで及び前二項の規定に反する特約は、無効とする。
  3. 正しい。一般媒介契約で義務となっていることは、①媒介契約書に記名押印して交付する義務、②評価額に意見を述べるときに根拠を明らかにする義務、③売買・交換の申込みがあったときに遅滞なく依頼者に報告する義務の3つです。媒介契約書面の交付は一般媒介契約であろうとも省略することはできません(宅建業法34条の2第1項)。
    宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約(以下この条において「媒介契約」という。)を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。
  4. 正しい。売買・交換の媒介契約を締結した宅地建物取引業者が、媒介対象となる宅地建物の価格について意見を述べるときは、依頼者に対して根拠を明らかにしなければなりません(宅建業法34条の2第2項)。根拠の明示は、口頭でも書面でも良いとされています(解釈運用-第34条の2関係)。
    宅地建物取引業者は、前項第二号の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。
    根拠の明示は、口頭でも書面を用いてもよいが、書面を用いるときは、不動産の鑑定評価に関する法律に基づく鑑定評価書でないことを明記するとともに、みだりに他の目的に利用することのないよう依頼者に要請すること。
したがって正しいものは「二つ」です。